18/69
勸學
一時期、二度以上同じことを聞いたり、初歩的なことすら理解できない学生からの質問に対してキツくあたっていた。しかし荀子の一説を思い出してから丸くなった。荀子の初段である勧学にはこういう文がある、曰く「問楛者勿告也、告楛者勿問也、說楛者勿聽也、有爭氣者勿與辯也」と。粗暴な問い方をしてくる者に答えてはならない、粗暴な答え方をする者に問いかけてはならない、粗暴な講釈をする者に耳を傾けてはならない、争気がある者と弁論してはならない、だろうか。この中にある告楛者や說楛者にはなりたくないなとふと思ったのである。
少し思ったことがある。私のように高気ある人間は他者の言う事をなかなか聞かない。このエッセイで触れた覚えがあるが学振ポスドクから助教になる際に、送別会で受け入れ先の講座の准教授から「なんでこんなことも分からないのか」と学生に言わないほうがいいと忠告されたのだが私はそれを受け入れなかった。それが数年越しにふと自省したのである。皆も鼻が高い人間に直して欲しい性があるときは、古い書を引用して諌めるのが良いのではないだろうか。




