過去を覗けば、正しい答えが見つかるはずです
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
ミカミとチエミのデートは、穏やかな夕焼け色に包まれていた。映画を観て、川沿いを歩き、コンビニでアイスを分け合う――それだけのことなのに、ミカミにとっては宇宙規模の幸福だった。
「今日はありがとう、ミカミくん」
チエミが微笑む。その笑顔を守りたい、とミカミは本気で思った。
やがて彼はチエミの家まで彼女を送ることになった。門の前に立った瞬間、空気が変わる。
玄関から現れた男――小市。彼はちえみの父上でした
無言。腕組み。鋭い視線。
その一瞬で、ミカミは悟った。
(……あ、大変。すごい真面目な人)
小市は礼儀正しく挨拶こそ返したが、その目は明らかに「娘はやらん」と語っていた。
その夜、ミカミは悩みに悩んだ。
(どうすれば小市さんの祝福を得られる? 彼についてもっと知りたいです。そうすれば、もしかしたら仲良くなれるかもしれません。……!)
彼が向かったのは、チュビのラボだった。
だが、チュビはいない。
代わりに、机の上に置かれたガラス瓶の中で、何かがもぞもぞと動いていた。
「やあ、そこの君」
ミカミは固まった。
瓶の中にいたのは、かわいい顔をしたオーク色のイモムシだった。つぶらな瞳、ピンク色のほっぺ、そして妙に流暢な日本語。
「夕食の時間なんだ。オークの葉を数枚、お願いできるかな?」
(しゃべった!?)
ミカミは即座に理解する。
(これは間違いなくチュビの発明品だ)
彼は瓶の蓋を開け、近くにあったオークの葉を数枚差し出した。
その瞬間。
「自由だぁぁぁぁぁ!!」
イモムシは超高速で飛び出した。
「えっ!?」
その体が青白く発光する。
「正式名称、スピードスターX! ワームホール生成型サイバーキャタピラー! 止まれない、それが宿命!」
次の瞬間、空間が裂けた。
バチバチバチバチ――!!
無数のワームホールが部屋中に開く。
「ちょ、ちょっと待てぇぇぇぇ!!」
一つのワームホールがミカミを吸い込んだ。
世界がねじれ、反転し――
気がつくと、彼は見知らぬ校門の前に立っていた。
看板にはこう書かれている。
「私立 桜峰高校」
そして、日付。
今から五十年前。
◆
廊下を歩く一人の男子高校生。
リーゼント気味の髪、キラキラした目。
それが若き日の小市だった。
(これが……小市さん!?)
しかし、ミカミの予想は即座に裏切られる。
「なあ君は転校生ですか。」
どうしたらいいのか分からず、三上はただ頷いただけでした。
「気に入ったぜ。私の隣に座ってください。」
それから、残りの時間はクラスで互いに話をしていました。
「聞いてくれよ! 俺には宝があるんだ!」
若き小市はやたらテンションが高い。
「宝?」
「エロ本コレクションだ!!」
(え)
小市は誇らしげに語る。
「だが一週間前、国沢先生に没収された……! 俺の青春が、机の中に封印されている……!」
(えろばかだ……)
だがミカミは思う。
(未来の義父に好かれるチャンス……!)
「にぜひお見せしたいです。。。じゃ、放課後、職員室の机に忍び込む。協力してくれ!」
ミカミは覚悟を決めた。
「……わかりました」
◆
放課後。
二人はこそこそと職員室へ忍び込む。
国沢の机の引き出し。
開ける。
そこには整然と並んだエロ本の山。
若き小市の目が輝く。
まるで少年が宝箱を見つけたかのように。
「俺の……俺の宝……!」
ミカミはふと問う。
「どうして持っていかないんですか?」
「え?」
「それ、あなたが買ったんですよね?」
「そ、そうだが……盗みになるだろ」
「自分の物を取り戻すのは盗みじゃありません。誰も気づきません」
ミカミは本を取り、若き小市の手に押し付けた。
「ほら」
小市は震える。
その瞬間――
コツ、コツ、コツ。
足音。
「やばい!」
二人は青ざめる。
「逃げろぉぉぉ!!」
廊下を全力疾走。
角を曲がった瞬間、空間が再び裂けた。
「ミカミィィィィ!!」
怒鳴り声。
チュビがワームホールから現れる。
「何をしている!? スピードスターXはまだ未完成だと言っただろう!」
ミカミは吸い込まれ、現代へ戻される。
◆
ラボ。
チュビは顔を真っ赤にしている。
「君は! 瓶を! 開けたな!?」
「だ、だって夕食の時間だって……!」
「それは建前だ! あいつは常時ワームホールを開く暴走機関車だぞ!」
チュビはボブ・ベルチャーのように両手を振り回しながら怒鳴る。
「私は三週間かけて安定化させようとしていたんだ! 三週間だぞ!? 三週間!!」
「すみませんでしたぁぁ!!」
チュビは深呼吸する。
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