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同じ時で違う成果を

「どうするの?はっきり言って私たちじゃ推理で日夏ちゃんに勝てるとは思えないよ?」


未来が隣を歩く琴葉に聞いた。

言葉にこそしていないが紗南も同じ事を考えていたのだろう。紗南も未来と同じように琴葉の顔を覗き込んでいる。


これは余談なのだが、日夏たち4人の最年長は琴葉である。

普段の行いや言動や面倒見の良さから日夏が年長者に見えるが、実の所このだらしない22歳が年長者なのである。

ちなみに1番幼いのは14歳の紗南である。


自身とって妹の様な2人に頼られているのだから琴葉も悪い気はしなかった。

その為か煙草を咥えた口の端を少し歪ませてニヤニヤと笑っていた。


「確かに日夏の推理力は目を見張るものがある。けど!私たちの方が優れているところもある!それは何だと思う?」


「胸の大きさ?」


「愛嬌?」


「残念2人とも不正解!正解は運の良さです!」


「?」「?」


想像の斜め上をいく回答に2人は呆然とした。


「日夏は不運(アンラッキー)と言うほどじゃないけど何かと()()()()()。犯人が分かっても、中々見つけられない。そういうタイプだ。そこに付け入る隙がある」


「けど私達、一般人が知っているレベルの情報しか知らないよ?」


「そこも問題ない。何故ならもう犯人の目星がついてるからね」


「「え!?」」


本日2度目の驚愕である。

何せさっきからアイスとタバコを貪り、死にかけていただらしない女が急に名探偵の雰囲気を纏い出したからだ。 

普段の琴葉を知っているが故に今とのギャップに大きく驚いていた。


「そ、それでその犯人っていうのは……?」


未来が恐る恐る聞くと琴葉は軽い口調で話した。


「ほらあれ」


琴葉の指差す方向へと目を向けると地蔵があった。


「じ、地蔵?」


「いや違う違う!その先!交差点の方!」


地蔵から視線をずらし、その奥を見た。

T字路になっているその交差点には横断歩道があり、そこに人が立っている。


天狗の面をしたロン毛の男だ。

パンツ以外の衣類をひとつも纏っていない。

そして真っ白なブリーフパンツに刀を差している。


これは誰がどう見ても────


「「あ、怪しい!」」





###




「最初に事件が起きたのは5月7日。予想犯行時刻はおおよそ23時。帰宅途中の32歳の男が路地裏で死体を発見。それ以降、似たような時間帯、場所で女性の死体が見つかっている」


2階建てのカフェ。

その窓際の席で日夏が捜査資料を広げている。

一応、機密情報であり人目につかれては不味いのだが、彼女にそれを言っても仕方がないだろう。


「さっき起きた7人目となる被害者は佐藤瞳。21歳の大学生。お金に困っていて夜職、というか売春していた。そして、この人もこれまでの被害者と同じように腸が首に巻かれていた、と」


日夏は頼んでいたメロンソーダを流し込み、んー、と声漏らして嘆息した。


「内容としては完全に通り魔殺人。女だけを執拗に狙い、犯人がどんな奴か見当もつかない。よし!コイツは今から切り裂きジャックと呼ぼう!」


日夏は残っていたオムライスと炒飯を食い、席を立った。


「店長!お金!置いとく!」


捜査資料片手に走って店を出た。

彼女の向かう先はひとつ。

犯行が起きたとされる事件現場である。


日夏が方針を固め、動き出したのは奇しくも琴葉達がブリーフ侍を見つけたのと同じ時間であった。


改稿済

次話は1週間以内に更新します

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