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都合の良い男

「髙橋さん!お客さんがお見えですよ?」


「はぁ?ったく、んな忙しい時に何処のどいつだよ」


来年には30歳の大台に乗る髙橋春正(たかはしはるまさ)は受付からの声に辟易していた。

何故ならって言うまでもないだろう。

つい先程、殺人事件が起きたからだ。

およそ1ヶ月前から今日のこれも含めて7人の被害者が出ている。

被害者は皆女性で腸を引き摺り出され、首に巻かれていた。


腹を裂き、腸を引き摺り出して首に巻く。

この作業にはある程度の時間がかかるはずなのだが、現場の周りで犯人の姿を見たという人は1人もいない。

おおよそ人の所業とは思えないソレの犯人の手がかりが一切ないなんてのは警察側としてあってはならないことだった。


だってのに、誰だ?こんな時に呼び出してきやがったのは。


春正は長いため息を吐きながらロビーへと向かうと見慣れた姿が目に入った。

それは1年前に出会った面倒臭い奴ら。

女子中高生3人と女子大生1人。

特に4人の中で2番目に背の高い少女。

シャツにスカートの至って普通の制服。

暑さからか髪を首の後ろで纏めていた。

特徴だけあげれば何処にでもいる高校生だろう。

だがしかし、その容姿は一般的な女子高生のものとは大幅にかけ離れていた。

切れ長の瞳に目を引かれる艶やかな唇。

対照的なぬばたまの髪と白い肌が美しい。

10人中10人が絶世の美女だと言うだろう。


「春正ァ!遅い!」


口を開かなければという前提さえあれば。


「お前ら何しに来たんだよ……」


「そりゃ、もちろん事件解決の為よ」


「事件解決?俺にはお前らがその為に来たとは思えねけどな」


そう言って日夏の後ろにいる三人に目を向けた。

寛ぎ方は三者三様。

足を組んでスマホを見ている琴葉。

ソファで寝ている紗南。

受付の女性と化粧品の話で盛り上がっている未来。

日夏の言葉に3人ともが興味ないといった様子だった。


「まあまあ、これは気にしないで。今暇だからさ、事件の概要教えてよ」


「何が欲しいんだ?」


日夏が何かをする時は大体おねだりがある。

前回の事件解決の時は冷蔵庫を買わされたし、その前は遊園地の年パスを買わされた。

まあ全部国の金で買ってるのだから春正にしてみてはどうでも良い事なのだが、なんだかんだ言って普通に調査するよりも日夏にやらせる方がコストパフォーマンスが良い。

だからこそ、先に報酬を聞いたわけだ。


「お!話が早い!うちのエアコン壊れたから明日までに直しておいて欲しいんだよね」


「了解。上に言っておくよ」


春正は脇に抱えていた捜査資料を日夏に投げ渡した。

資料を渡された日夏は資料を読みながら警視庁を出ていった。

それに追従する様に他の3人も出ていき、騒がしかったロビーはいつもの静けさを取り戻した。


「髙橋さん。捜査資料なんて渡しちゃって、あの子何者なんですか?」


「さあ?何も知らねえな。ただまあ事件の概要さえ教えれば何でも解決してくれるバケモンみてえな女だよ」



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