表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/15

7.5 その後

続きです。

これで海編終了となります。


「ふ〜、遊んだ遊んだ」


 暁の残した僅かな光が、夕闇に染まる時間帯。

 私たちは、ゆっくりと帰路についていく。

 それを後押しするように響くさざなみは、心が洗われる様で心地良い。

 しかし、風景と言うものは終わりがあるから美しいのだ。

 すなわち、ずっと見ていてたら記憶に残りづらく、その価値は落ちる。

  

「じゃあ帰るか」

 

「まってください! これ……買って行ってもいいですか?」


 煌めく海を背景に、颯爽とその場から立ち去ろうとした時。

 後ろから、コンクリートを駆ける音がした。

 振り返ると、風凛が小さめのキーホルダーを持ってきている。


「波に乗ってる……禿げたおじさん?」

 

「亀です!」


 疲れているからだろうか、まさか亀とおじさんを間違えるとは。

 いやまてよ、このツルツルの感じどこかで……。

 あ、よく見たらこれ”敷オジ”(河川敷おじさんの略)じゃん!

 どおりで間違えるはずだよ。

 うん、次会ったら服剥ぎ取ったろ。


「ほら、ふーちゃんの分もありますよ」


「あ、ありがとう」

 

 どうせくれるなら、ゲームか食べ物だったら良かったのに。

 海で魚を見てから、お腹が食べ物を求めてしょうがない。


……まあ、これでもいっか。



▲□●◎□



「1マッソ〜! 2マッソ〜! んんん〜3マッソ〜!」


 開店前の客席で、店長が奇声を上げている。

 まるで生まれたての子鹿が、自分を大きく見せようとするような。

 何か嫌な事でもあったのでしょうか、心配です。

 

「なにやってるんですか店長……。悩みがあるなら聞きますよ?」


 実際、ここ数日の店長は心配だ。

 無理に巷で流行っている音楽を流したり、可愛い物を身に着けてみたり。

 

……女でしょうか?


 いやいやないない。

 あの店長に限って、そんな事は絶対ない。

 この店の最長バイト歴である私がそう言ってるんだ。

 とはいっても、私含めて2人しか居ないんだけどね……。


「あぁ、風凛か。 いや、海行った日からフェルデリアがずっとマッソーが言ってるだろ? だから、仲良くなるためにも、俺もマッソーを始めようと思ってな」


「絶対やめてください。洒落になってませんから」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ