星座最強決定戦
なろうラジオ大賞 参加作品
テーマ「星座」です。
夜空に浮かぶ星座。
この星座の中で、いったいどれが最強なのか?
どの星座が初めに言い出したかは分からない。
だがある夜、そんな疑問が浮かんだ時、12の星座はお互い最強の座を賭けて競うことになった。
そして見事勝ち抜いた者には、全知全能の神から『願いを一つ叶えてもらう』こととなった。
各星座たちは、それぞれの願いを胸に秘め、今、立ち上がる!
いったいどの星座が、頂点に輝くのか?
二人組みという、数をいかしたふたご座か?
いや、百獣の王のしし座か?
それとも猛毒の針を持つさそり座か?
昼夜問わず三日三晩も続いた激しい戦いの末、勝ち抜いた星座……
それは……
上半身人間で下半身馬の、弓矢を携えた戦士。
いて座だった!
「俺が最強だ!!」
いて座は意気揚々と、神の鎮座する神殿へと足を運ぶ。
しかし、そこへ近づく謎の黒い影……
「「「われわれを忘れてもらっては困る!」」」
「誰だ!!」
周りを取り囲む不審な者たち!
「まさか星座が12種類しかないとでも思ったか!?」
「なんだと!?」
「最強という言葉は、この俺様を倒してから言ってもらおうか!」
目の前に現れた影の正体は、巨人狩人のオリオン座だった!
「俺のこと忘れちまったのか!」
それに続くのは、半人半馬の同族、ケンタウルス座!
「ヒヒ―ン」
ペガサス座!
「カー」
からす座!
「……」
顕微鏡座!
そう! 星座は全部で88種類あったのだ!!!
……そして再び繰り返される、熱い戦い。
その戦いも、ついに決着がつく。
88の星座の中から、最後まで勝ち抜いた星座は、神の御前まで辿り着く。
玉座に座るは、全知全能の神。
その前に跪く。
「……おぬしが勝ち上がって来た者か。面を上げるがよい」
「はい、すでに表です」
激しい戦いを制して88星座の頂点に立った星座とは……
盾座 !!?
銀色に輝く鋼鉄の逆三角形のボディ。中央には十字の文字が刻まれる。
「数々の英雄を退け、よくぞ勝ち抜いた!」
強者の攻撃をものともせず、根気負けさせてきた盾座には、無数の向かい傷が刻まれていた。
「そなたの望みとやらは、一体何なのだ?」
「はい。私は17世紀にトルコ軍を打ち破ったソビエスキー国王の盾で、その功績のために星座となりました。比較的新しく誕生した新参者の私には、知名度も神話もありません。どうか私に名誉と神話を!」
「うむ、よかろう」
こうして盾座は神の左手に握られることとなり、全ての攻撃をはじき返してきた最強の盾として、語り継がれるのであった。