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前に書いてる未だに不定期未完の空想作文もよければどうぞ
波の音がする…潮の香りがする…
ここは切り立った崖の上…
この前来た時は、この場所には何もなかった筈だ…
しかし、今私の目の前には小さなコテージのような建物があり、入口の上には
「海亀の御宿」
と書いてある。
(いつの間に、こんなところに…)
私は何を考えたのか、
意を決してその建物の扉を押し開けた…
時は遡り、数週間前……
社会に出てからというもの
自分の時間というものを作れず
平日は毎日夜遅くまで働き、
休みの日は身体を休める為と言い訳をしながら寝て過ごす
ストレス診断なるものは危険信号を灯していたが、
病院に行く時間も猶予もなかった…
そんな日々を送っていた私は、
とうとう精神を壊したらしい
病院に行くと医者からは療養を強制されてしまった…
私は療養を行う事を伝えにわざわざ会社に出勤したが、
会社にとって私は営業利益を上げる為の駒でしかなかったらしく、ドクターストップが掛かった事を上司に告げると
上司は私にクビを言い渡した…
私はそのまま療養をする事になったのだが、
一所懸命に働いていた仕事をたった一言で無碍にされたのが
思いの外ショックだったようで、私の症状は思ったより悪い方へ向かっているようだった
医者は
「君の場合、病院でじっとして薬を飲み続けるより
何処かへ出掛けて自分を見つめ直す時間を作る方が
よっぽど治療になるんじゃないだろうか」
と言うと、何故か私は病院の外へと出されていた
(結局、何処にも必要とされていないんだ)
(私はこの世にいない方がいいのだろう)
そう考えた私は自分の体を投げようと
色々な場所へ下見を兼ねて
人生最後の旅行と銘打って出かける事にした…
幾らかの場所を巡り、名所と呼ばれる場所を見学し準備を着々と進めていった
そして、決行日当日
私は下見を行い、前々から決めていた場所へと向かった
そして冒頭に至る