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家の中に入った途端、脱力してその場に座り込む。
病院で打ってもらった注射のおかげで、朝よりかなり楽になった。
それでも家という安心感からかしばらく玄関に座り込んだまま動けない。
その間昼間のことをぼんやりと考える。
社内では、まるで私が体調が悪いのに無理をして来たみたいな感じになっていた。
そして課長はそんな私の体調を気遣っている部下思いの上司、みたいな…。
課長のことを考えると途端に引いていたはずの頭痛が襲ってくる。
でもいくら考えたところで訳が分からないし、もうどうしようもできない。
「…寝よう」
重い体に鞭を打ってベッドまで歩く。
服を着替えるのも忘れてそのまま身を委ねると、私は意識を手放した。
ブブッブブッ
「…ん」
携帯の着信音で目が覚める。
時刻を見るとすでに午後7時を過ぎていた。
スマホに一件のメッセージ。課長からだった。
『お疲れ様です。体調が悪いようなら明日も休むように。今後は、こう言ったことがないように気をつけてください』
「…はは」
私が、悪いのか。
『お疲れ様です。今日はご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。大事をとって明日もお休みさせていただきます。今後はこのようなことがないように、体調管理も含めて注意致します』
送信ボタンを押す。
気付けば、スマホの画面は私の涙で濡れていた。
これが何の涙なのか、私には分からない。
「____。」
…寝よう。
私はそのまま気付けば深い眠りに落ちていた。
翌日は会社を休んだ。
しっかり寝たおかげか熱は微熱まで下がり体調もかなり良くなっていた。行こうと思えば仕事に行けるほど回復したけれど、会社に行く元気はなかった。
それに会社や課長のことを考える時だけは何故か少し頭痛がした。
これも熱のせい、だろうか?
とにかく、折角いただいた貴重な休みなんだから、今日はたっぷり寝て休もう。そしたらまた、明日から仕事がんばれば良いよね…。
少しの罪悪感と心のモヤモヤに蓋をするように私は瞼を閉じた。




