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異世界の英雄はもういない  作者: 天山竜


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5-⑤-2A.『冒険』開始~花~


 ━━シブレスタ武芸祭 決勝舞台内 「サハラ」━━



 「さっ!皆を探しま暑っ!?」


 他の場所に散ったであろうチームとの合流を宣言したティアを襲ったのは、突き刺す様な熱さと身を焦がす気温。

 辺りは砂で埋め尽くされた大地が延々と広がる砂漠地帯で、真上に座す太陽の熱を地面に敷き詰められた砂が反射している。

 オベリスクの『自層』、「サハラ」に放り出されたのは、ティアが率いるチーム雪月花『花』である。ティアの苦情を受け取り、メンバーであるニーナが太陽光を防ぐ防護膜を魔法に寄って展開した。

 その最中、周囲を見渡し、隠す事なく所感を漏らしたのはスレイ。 


 「うへぇ……一面砂だらけで気が滅入って来るねぇ」

 「気持ちは分かりますが入って一秒で弱音は吐かない方が宜しいのでは?」

 「ぐっ……まぁでも、遊興施設(アトラクション)で味わった暑さよりかはマシかしら」


 スレイに向けて刺した筈の釘が、何故かティアに刺さる。

 ティアは暑さに寄って動けなくなった『籠の中の冒険』の経験から、環境や地形での暑さを克服すべく、ヴィオレ達に頼んで灼熱や亜熱帯での戦闘訓練を地道に積み、その結果……こうしたカラッとした暑さにはある程度の耐性は獲得していた……が、この「サハラ」の暑さはそれ以上、ニーナの防熱がなければ入った瞬間と行かないまでも遠くない内に行動出来なくなる可能性は否めない。


 「あっ!そこアタイも行ってみたい!?クロとかリリーナから話聞いて興味あったんだよね!」


 話に聞いた程度の知識しか無いが、あの《英雄》が作ったとされる訓練施設。

 リリーナからその構造を聞いていたスレイの冒険者たる血が、その場に連れて行って欲しいとティアに向かって言葉を投げる。 


 「話すのは移動しながらに致しましょう。祝福(バフ)を掛けま━━」


 逸るスレイを嗜めるニーナの詠唱が終わり、魔法の発動をしようとした矢先、3人の居る場が影で覆われた。


 「GISYAAAAAAAA!!」

 「「「!!」」」


 砂漠に突然現れた獲物に向かい、魔物『サンド・ワーム』が口を開けて突っ込んで来た。

 Sランクに位置するこの魔物の被害は、砂漠がある地方では数え切れない冒険者や一般人の犠牲を出している。それ程速く、強いなのだが……慌てる者はこの場に居ない。

 皆が同じ方向に避け、先程より高まった緊張感を持って再び話し始めた。


 「そう言えば、普通に魔物もいるとか言ってたわね」


 戦闘が始まれば気が紛れるだろう。

 暑さより、戦いを選ぶティアが唇を吊り上げ、仲間に指示を出した。

 『サンド・ワーム』は勢いそのままに再び砂中に。


 「ニーナ、詠唱を始めてて。スレイは牽制……それと索敵ね?」

 「分かりました。【黒き小さな妖精から━━」

 「よっし!じゃんじゃん行くよ!!」


 ティアの言葉に従い、ニーナが新たな魔法を準備し始め、スレイが己が武器に矢を番える。

 再び砂中から姿を現した『サンド・ワーム』。

 直立すればティア達よりも遥かにデカい。

 だが……。


 「面白くなりそうじゃない……!」



 獲物を狙っていた筈の魔物が、逆に獲物になったのは言うまでもない。



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