黄昏
黄昏堂、宵闇堂。
狐の遊びは面白かったかい。
十円玉の、こっくりさん。
ほら、貴方の影はもう、薄くなっている。
戻れない。
夕連れ堂、黄昏堂。
お堂の傍で遊ぶと、狐の怪が現れるよ。
十円玉で遊ぶこっくりさんは面白いかい。
子の刻に幽霊列車を見たものは、あの世へ連れてゆかれる。
道端にお地蔵さん、曼殊沙華。
黒マント垢マント。
暗闇に、櫻が咲いている。
黒マントの男が、囁いた。
願い事をかなえてやろう。
その代わり、お前の周りには黒い影がうろつくよ、と。
鴉の七つの子。
可愛い子は、連れていかれる。
片足だけの靴が、雨ざらしに、濡れている軒端。
恋に破れて、泣いているのは、私ですか?
思い出は、懐かしい色を帯びて、記憶の中の街を彷徨います。
懐かしさの果てに…恋花火。
お祭りに行きましたね。
金魚すくい、りんご飴、だけど、貴方は闇の方は危ないと言って、
私の人差し指に赤い糸を巻きつけて放しませんでした。
闇の中の櫻。
息づいておるわ。
縁もたけなわ、小鬼が、閻魔が踊りだす。
屏風の裏では牛魔王が、のっぺらぼうと賭け事をしているよ。
嗚呼、そんな処に隠れていたから、頭に物の怪が沢山…ふうっと風が吹いてきて、黒い闇が抜けてゆく。
山彦が木霊してきて、おーいおーいと、人を喰らおうと呼んでいる。
山怪。
振り袖姿の娘が、八百比丘尼。
人魚の肉を喰らって、長く生き永らえたとさ。
木の亡霊が、山の者にしてしまおうと、袖を引っ張っているよ、
そっちの方にいっては危ない。
此処は宿場町。
街角に、小鬼がいて、綺麗なモノを奪おうと、此方を狙っているよ、蝉の声。
迎え火と送り火、もうそんな季節ですね、
彼岸と此岸の狭間で、夏桜が咲いている。
今日も、昨日の影踏み。
懐かしい想い出の中で、記憶は成熟して夜の夢。
まどろみの中に…
懐かしい、恋しい記憶。




