ラバーカップ
ラバーカップ
博士、ミサキ、タクミの三人はそれぞれの順路を通り、研究室へと向かう。ぐんぐん前進する三人。右側の通路からタクミ。左側の通路からミサキ。扉正面の通路から博士がつかつかと歩いて来た。
一番距離が近かったタクミが扉の前に立つと同時に扉が開いた。開いたと同時に研究室に入室していく。タクミを先頭にミサキ、そして、博士の順に研究室内へと進んでいく。
三人が入室し終えると自動ドアが閉まっていく。
研究室のテーブルにはラバーカップが、今回の研究対象として鎮座していた。
「おつかれさまです。今回の対象ですか」
「おつれさまですわ。また特徴的な形ですこと」
ラバーカップの形状をまじまじと見ながら、ミサキは呟いた。
腕組みをしながらじっくりと見ている博士。
「博士? この形なんの意味があると思います?」
腕を組みまじまじと見つめる博士。
「非常に独特な形状をしておるの。この形状になんの意味があるのか」
右手でラバーカップの柄の部分を握り持ち上る。そして、ラバーの部分に近い柄の部分を握り、鉄棒を逆手で握るような構えで持っていた。
「博士。その柔らかそうな部分にはどんな役割があるんでしょうね?」
そのタクミの言葉に促され丸いラバーの部分を顔に向けた。そのままラバーの部分をまじまじと見つめていた。それが数秒の間続いていた。
「博士?」
「どうされたのですわ博士?」
まだ見続ける博士。そして、視線を外し何もデザインされていていない壁に向けた。
「?」
博士の行動に二人はきょとんとしてみていた。
「せーの」
博士はその掛け声と共に壁にラバーカップをやり投げのように投げつけた。
宙を飛ぶラバーカップが、音を立ててラバーカップがゴムの部分がへこみ壁の側面に張り付いた。
「博士!?」
「これは!?」
ミサキとタクミは驚きの表情をする。
博士はにやっとした表情を作る。
壁に張り付いたラバーカップはぷらぷらと上下に揺れている。
「この柔らかい部分を見て、わしは何かを想像させると気づいたんじゃ。それはタコじゃ。タコは地球の海に棲んでいた生物じゃが、わしはタコという生物の触手に吸盤と呼ばれる部位を持っており、それは丸く相手に張り付くと文献で記載されていたことに気づいたのじゃよ」
「なるほど」
「ですが博士。それではこの部分の役割がわかっただけですわ。この対象が一体何にに使用されているのかを探らないとですわ」
ミサキは博士に向け、現状を投げかけた。
「その通りじゃ。この部分がわかっただけじゃ。ただ、この動きをして効果があったということは」
「ということは?」
「今回の使用方法は、ゲームじゃ」
「ゲームですの?」
「そうじゃ。これも過去の文献に記載されていたのじゃが、昔は趣味の一つに、的当てというものがあったそうじゃ。それは、的に何かを当てて得点を稼ぐ決まりだそうじゃ。これはその的に当てるゲームのアテイムなんなじゃよ」
「博士! その通りですわ!」
「絶対そうですよ!」
研究室でラバーカップについて喜ぶ三人。
こうして、ラバーカップはゲームアイテムの一つとして報告されたのだった。