スケーラー
スケーラー
今回の調査対象を透過性のある板の上に複数のスケーラーを載せて、廊下を歩いていた。コツコツと音をさせて歩く。
いつもの研究室の前に立ち、平行だった体の向きを変え、研究室の扉と相対する構図となった。
その場で、少しの間待つと扉が左右に自動で開いた。
「お疲れ様です」
「博士。受け取ってまいりましたわ」
「お、ご苦労さま」
スケーラーをの載せた板を持ったまま、室内を歩き台の前を向かい進んでいく。その数秒後には台の前に立ち、その中央にスケーラーが載った板を置いた。
「今回の対象はこの器具か」
「ここに何本もあるが、これでワンセットなんじゃろうか?」
「発見時、一つにまとまっていたそうですわ。だとするとワンセットと考えてもよろしいかと思いますわ」
博士は、スケーラーの中から、一本を手に持った。
「両端が非常に鋭利になってるのう」
「これで何かを削るのでしょうか」
「それが正解と言えそうですわ」
「何を削るのでしょう?」
「これだけの種類存在するとなればそれだけ細かいところでの作業が求められるということなんじゃろう」
博士は言葉を口にしつつも、考えを止めていなかった。
「博士はなんだとお考えですか?」
「わしは、こいつは芸術作品を政策するものだと考えておる。特に昔は像を制作するときに鋭利な器具をしようするという話があってな、これもその一種であろう」
「なるほど」
「博士。流石ですわ」
こうしてスケーラーは芸術制作器具として報告された。