6章 by夏葵
美琴と月の話を聞いてからなんだか佳奈の落ち着きが無いように見える。それにあの話の内容って、確か佳奈が中学時代に話してくれた話と似てるような気が...。
そう思って佳奈を見たら案の定、表情が険しくなっていた。やっぱり関係があるのか。
撫子を見ると同じことを考えてるっぽかった。
━━━━━バキバキッ━━━━ベチャッ━━━━
皆嫌な予感がした。
窓の外を見ると、昨日佳奈や、撫子、俺たちが会った大量の化物が館を囲んでた。
「え...何だよ、この数...?」
優が呟く。
「この数相手に一人で、って言うのは無謀だからね、佳奈ちゃん。」
撫子が言う。うん、流石に佳奈でも無理だろ。
「ちぇっ、バレてたのね。」
おう!っておいおい、ガチで殺る気だったのかよ?!
「みなさんはそこで見物しててください!!」
「俺らに任せとけ!!」
そう言って美琴と月が窓の縁に足をかけた。あぶねえぞ!!
「能力『猫目』!!」
辺りが一気に暗くなる。また明るくなった時には
「これは...。」
「なかなかやりますね。」
と優と羊が呟いた。無理ねえと思う。だって、
「あの化物達が、一瞬で、蜂の巣ですって?」
と、佳奈が呻くように言う。佳奈の言う通り、さっきまで化物だった物が転がっているだけなんだ。俺達は思った。コイツら、強い。俺らが警戒してたら、
「ああ、これひょっとして警戒されてんのか?」
「まああの一瞬でこの数倒してますから、警戒されてしかるべきなんでしょうが僕たちは味方です。もし仮に僕らが敵だったとして、あなた方に情報を渡したりしませんよ。」
うん、確かに...。
「そうだったとしても強すぎて怪しく見えちゃうのよ。疑われるような行動を取るほうが悪いと思うわ。」
「はぁ?!助けてもらってそれはねぇだろ!」
佳奈は相変わらず毒舌だな。月が佳奈に掴みかかり、美琴が止めに入る。少しだけホッとした。そしてどっと疲れが出てきた。
「佳奈、俺は少し休んでるぞ。何か疲れたから。」
そう言うと佳奈は少し安心した様に
「そう、私はその間に残りの化物殺っとくわ。今のうちに数減らしておかないと。」
そう言う佳奈の笑顔が兎に角怖い。俺だけか?と思って皆を見る。撫子と優と月は俺と同じみたいだ。ただ、美琴と羊は平気そう。何でだ?!
┅┅┅┅┅┅ドンッ┅┅┅┅┅┅バリバリッ┅┅┅┅┅
全員の表情が一気にひきつる。音の正体は
「何なんだよあのデカさ?!!」
月がそう叫ぶ。入り口辺りに立つ巨大な影。
「あの大きさ、さっきまでの化物の三倍くらいの高さだから二十七倍の大きさだよ、どう倒せばいいの?!」
撫子の絶叫を聞いてて思った。そんなサイズの奴何処に入ってたんだ!!でもって撫子はどんな驚き方だよ!
「このままだとこの館が壊されてしまうまうぞ!!」
優、そんなことは見て分かるだろ!!
「わかってる、任せて。『風神:紅葉旋風』!」
風が化物に当たったのに化物は何事もなかったみたいに動き始めた。
「嘘でしょ?!アイツどれだけ頑丈なのよ!!」
ホントだぜ、佳奈の風で壊せないモンなんて無いと思ってたんだけどな。
「それなら私達の出番だね、夏葵ちゃん!!」
撫子が俺のほうを向いて言った。
「ああ、『糸の海』!」
「『鏡絵巻』!!」
化物は鏡に吸い込まれて消えた。
「なんとか倒せたね。」
撫子は肩で息してる。
「おつかれ、撫子。」
「お疲れ様、夏葵ちゃん。」
「まさかあの子を倒してしまうなんてびっくりだね。少し君達を甘く見ていたみたいだ。」
次から次へと何なんだ、と見たのがいけなかった。
「まさか、こんなところでアンタと会えるなんて。」
と、佳奈が黒いオーラを纏ってニヤリと笑った。
このまま一気に最後まで走り抜けます。