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Prologue
夜の森を俺たちは駆ける、巨大な悪から逃れるために。
「急げ、少しでも早く遠くへ逃げるんだ!」
小学生だった俺は妹に声を掛ける。
「でもお母さんが!お母さんがまだ来てない よ!」
妹は声を荒げて言う。母さんの言葉が脳をよぎる。
『母さんは大丈夫。だから少しでも早くここを離れて!任せたわよ。』
母さんは「自分は平気だ」と言う事で俺たちを安心させようとしたのかもしれないが、今の状況では逆効果だ。けど行くほかに選択肢は無い。
「母さんなら大丈夫だ。そう簡単に死ぬ人じゃないからな。今は俺たちの方が危ない、急ぐぞ!」
そう言って走るスピードを上げる。が
-ガサガサ-
「こんなところにいたのか。」
こいつは…!
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「…夢か。」
俺はゆっくりと起き上がる。脳裏には大切な妹の笑顔がよぎる。
「どこにいるんだ?」