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最終章(Epilogue)

─────ギえぇェェェ─────

そこは街の一角。地下への入り口。彼女らは地下からその入口を見上げていた。

「ようやく着いたわね。」

「長かったのである...。」

「それは琴息がバケモノを作り出しすぎたからでしょう。主様、大丈夫で御座いますか?」

「大丈夫だ、触るな!」

主な戦闘をこなしていた佳奈、琴息、氷我、優の四人はヘトヘトになっている。優は怒気を含む声で叫ぶように言い放った後直ぐに倒れそうになる。

「だ、大丈夫?優君。」

「何か悪いな、俺たちの代わりに戦ってくれて。」

撫子が優を受け止め、月が佳奈達にどこで探してきたのか元々持っていたのか瓶を取り出して渡していく。

「......何コレ?」

「リミポンCって言う栄養飲料みたいなもん。ライム味だぜ。」

佳奈の問いに対しあっさりと危険な気がする名前を口にする月。それを聞いて皆沈黙する。

「...え、えっと、僕はいらない。必要無いからな。」

「そんなフラフラで何言ってるのよ。」

「は!?」

「私も良いわ。気遣ってくれてありがとう、月。」

優と佳奈はそう言って返した。結果的に皆返した。

実際リミポンCはただの栄養ドリンクなのだが。どうやら『リポ○タンD』を作りたかったようだ。

街に、地上にでて陽の光を浴びる。陽は空高く昇り、かんかんと照りつけている。

「熱いな〜。」

「まあ、もう7月だからね。」

「お腹減った。」

親友三人の佳奈で唯一会話が噛み合わない佳奈。

「早くそれぞれの家に戻ったほうが良いでしょうね。帰りましょうか。」

「明日再びこの街の館で集合しよう。明日午前9時に集まろう。異論のあるやつはいる   か?」

誰も異論を唱えない。その必要は無いからだ。

「それならそれでいいな。ああ、それと佳奈。」

名前を呼ばれ、嫌な予感がしたんだろう。

「え?何。」

と、少し面倒くさそうに言う。優が言ったのは

「赤城を連れて帰れ。」

「......はい?」

「は!?」

「「「.........」」」

佳奈、氷我、優が互いに頭の中を探り合い、佳奈が言う。

「ちょっと、本気で言ってるの!?赤城は男子よ?それに連れて帰るなら優の方が適任じゃ ない!!」

「何!?」

「だってそうでしょ?優の家執事を雇うくらいなんでしょ?だったら家広いんだろうし人も それなりにいるんだろうから優の方が適任よ!」

「勝手に想像だけで進めるな!...まあ確かに家は広いし、人もいるが...。」

「じゃあ優が赤城を連れて帰るってことで。」

くだらない口論も終わり、各々自分の家に帰った。

各々散々怒られた事は言うまでもない。


───────────────次の日───────────────


「皆よく親が了承したな。」

赤城が言う。

「よく言えるわね。それは置いといて、私実質一人暮らしだもの。怒ってくれる相手いない から怒られないわよ。」

「佳奈は、だろうが。俺と撫子は結構怒られたんだぞ。」

「僕の場合、『犯人はバケモノで、友人が助けてくれました。』と言ったら怒られるどころ か安心してたな。」

「過保護か!」

月が感心したように言う。

「夏葵、ずっと思ってたんだけど、お前ツッコミ早いよな。」

「今更?それに俺がツッコミに回ってるのは誰も突っ込まないからなんだからな!」

疲れさせないでくれ、といった感じで夏葵は言う。

琴息が言う。

「今日は皆にゆっくりしてもらうためにパーティーを開くのである。料理は羊君が作ってく れているのである。今日は休んでほしいのである。」

皆ゆっくりし始めた頃だった。

「吾輩は少し外の空気を吸ってくるのである。」

「そう。一応気をつけてね。」

佳奈に伝え、扉を開けた先に氷我が居た。

「私が皆様の気を引いているうちに、できるだけ早くお願いします。」

後ろにあったワゴンを押して部屋へ入っていった。

          ──────────────────────────────

外に出た琴息は瞳を閉じる。

「先程の気配は何だったのであるか...すべてを焼き尽くす程の憎悪と凍てつくような冷徹さ を持つあの気配は...。」

そう呟いた後もしばらく庭を探索し、館に戻っていった。

          ──────────────────────────────

琴息の後ろ姿を見ている人影が二人。

「......。」

「だめだよ栖鞠すまり、まだ殺しちゃ。これから面白くなっていくんだから。」

その人影の一人はは身長の高い人間、性別の判別ができない上、狐の面を付けている。

もう一人は少女。ツインテールで拘束具の様な黒い布をはためかせている。

「わかった。」

静かに言って頷くと、隣にいた人影と共にどこかへ消えた。

          ──────────────────────────────

「ん?」

館の中に居た月が何かに気づく。

「どうしたんだ、月?」

「どうひたの?」

夏葵、美琴が来る。美琴は氷我の料理を頬張っている。

「いや、今あのへんで音がしたんだ。」

「鳥じゃねえのか?」

二人は皆の方を見て、

「「ほら、早く戻らないと料理無くなっちゃうし。」」

と、ハモった。月は呆れて

「お前ら今食うことしか考えてねえだろ。」

と言った。二人は

「あ、ばれた?」

というような顔をし、

「ほら、早く行こうよ月。」

と、笑顔で美琴。

「早くしないと羊が作った料理無くなるぞ。」

と夏葵も急かす。

「おお、いい香りがすると思ったら羊君の作った料理の香りであったか。」

と、急に琴息が窓から入ってくる。予想外の出来事に月、美琴、夏葵はビクッとし、佳奈は目を見開き、氷我は『またか』と言うようにため息をついた。

月と夏葵が叫び、美琴が倒れる。

「び、びっくりさせんなよ!」

「何してくれてんだ!俺びっくり系がホントにダメなんだぞ!!」

「......。」

びっくり系が苦手だと叫ぶ夏葵よりも先に気絶した美琴の方が心配だと思う皆。

皆で騒ぐ中、刻々と夜は更けていく。


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