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10章 by夏葵

赤城鳳凰?そいつが、目の前にいるアイツが黒幕か!

「皆フィールド能力を使って!!『風神:極限開放』!」

「能力『質問攻めクエスチョン』!」

ん?何だか力が強くなったか?今なら!!

「『糸の海マリオネット:粉雪が降る森』!」

俺は糸で木々を、森を作る。

「『水神:氷華世界』!」

「『鏡絵巻:イケニエの鏡』!」

氷の大地、空中に鏡、そして突然の暗闇。

「『猫目:全猫目』『闇夜の罠』!」

暗いけど、見える。流石だな、月。

「『生命の環:生物の進化』!」

うん?この能力は、優か?

「この能力は時間が経過する程能力が使いやすくなる。これで良いんだろう、佳奈。」

「ええ。全員、戦闘開始よ!」

そう佳奈が言いながら羊とダッシュする。

「...刀!」

佳奈のイヤリングが二振りの刀に変わる。

「氷我兄ちゃん!」

「ありがとう。」

羊に向かって佳奈が投げた刀を羊が受け取り、壁に向かって飛ぶ。

「『水神:竜宮王のご乱心ペインフル・トーチャ』!」

水のボールで赤城を溺れさせる気か。

「羊君、生かさず、殺さず、である!」

は!?琴息今なんつった!?てか、何どんどん壁を武器に変えてってるんだよ!

「使わせてもらうぜ。」

月も何呑気そうにしてるんだよ!

「......っ...!」

おお、美琴、ありがとな。

「琴息、そのようなことは判っています!」

はあ!?羊も何言ってんだ!しゃあねえ、俺が殺す!...特に佳奈には殺させねえ、何に変えてもだ。

「『糸の海:|石女神の笑顔(メデューサの首)』!」

糸でメデューサ作ってそいつ使って赤城を石にする。

「なっ!」

「ちょっ!」

琴息と羊が反応する。しかも羊は顔から血の気が引いて真っ青になって...

そんなにまずい事したか?

「ダメよ夏葵!そいつの能力は...っ!」

佳奈?何がダメなんだ?

「能力『不死鳥』」

何で............赤城が立ってるんだ...確かにあの時石にしたはず...。

「いいね、その顔。死ぬ時もその顔だといいんだけど。」

そう言って赤城は拳銃を取り出す。

「なっ!」

まずい、殺される!

そう思ったが、赤城は俺の顔を見た後、すぐさま照準をあわせ、

─────パァン!─────

美琴に向けて発砲した。

「ヤバイ!」

「美琴!」

「美琴くん!」

入ってくるバケモノを倒していた月、優、撫子が反応する。まずい、美琴は今動けねえ!

俺は間に合わねえ、佳奈と羊も今は赤城をどうにか抑えるので手一杯だ。助けられねえのか!?

「くそおぉっ!」

気が付けば叫んでいた。皆何も言わない。音一つしない。どうなったんだろうか。

─────ボウッ─────

「...あれ?」

俺の手にはいつの間に持っていたのか炎の刀。そして皆時が止まった様に動かない。

「その力は貴方のものだよ、夏葵。」

どこからか声が聞こえる。声の主が見当たらないんだが。

「!...もうじき時間が動き始めるよ。早くお友達を助けてあげて!」

力をくれるんなら...。

「言われなくてもやってやるよ!」

─────キンッ─────ボッ─────

「フレイズ・ヒストリア!」

時間が動き出す直前に銃弾を切る。

切った銃弾は炎を上げて燃え落ちる。

「なっ!」

「えっ!?」

「は...?」

皆驚くのは分かるけど1番驚いてんだからな!俺は!!

「え...火、炎......?」

赤城が静かに立ち上がる。よくよく考えれば椅子に座っててよく当てたもんだな。

「夏葵、今明らかに動揺してるわ。赤城を倒すなら今よ!」

え!?おい佳奈、何羊を気絶させてるんだよ!でも....

「分かってる!」

俺は赤城に向かって走る。赤城は炎が怖いのか動かない。と、

「っ!ぐ...」

急に赤城が頭を押さえてうずくまる。

「え、何が...。」

「えっ、どうしたのよ、コイツ...。」

佳奈が横に来る。けど、佳奈もこの状況についてこれないみたいだ。焦ってる佳奈をこの三日間で何回見たかな。

「何故...僕を見捨てるんだ...カラ」

─────ドサッ─────

「あの『カラ』ってなんだ?」

月が来る。確かに『カラ』って...

「『カラ』付きピーナッツ?」

いや何でだよ!佳奈ふざけないでくれ!

「『カラ』松?」

何故材木の名前なんだ!撫子もかよ!!

「『カラ』からヘビ?」

「それガラガラヘビ!」

ツッコミで疲労骨折させる気か!

「『から』紅に水くくるとは!」

「それ百人一首だろ!」

「『唐』揚げ!」

「また食い物かよ!」

「『カラ』シ!」

「今度は調味料!?...はあ、疲れた。」

「ん?」

えっ佳奈?なんでこっちに来て

「夏葵ひょっとして疲れてる?」

「だからそう言ってんだろ!そもそもお前らのせいだけどな!」

佳奈が言う。

「私達のせいってだけでも無いわ。夏葵、それ消せないの?」

あ、この炎の刀か。

「ちょっとだけ待ってくれ!」

「少しだけ待ってください!!」

月と美琴が止めに入る。何でだ?

「一回消させてあげて。このままじゃ夏葵が倒れるから。」

は、倒れる?ま、まあ消そう...。

「あ...。」

「そういう事だったのであるか。」

「え?琴息、何言ってんだ?」

俺はいつの間にか真顔になってたらしい。琴息にビクッとされる。

「今夏葵の見た目が紫っぽくなってたんだ。」

「だから気になってたんです。」

月と美琴が言う。紫っぽく?

「夏葵ちゃんの能力って『糸の海マリオネット』だよね?」

うん。撫子も混乱してるのな。俺もだけど。

「夏葵って『糸の海マリオネット』の技っていくつ持ってる?」

不意に佳奈が聞いてくる。ええと、『糸の海』と『蜘蛛の糸』と『粉雪が降る森』と

『|石女神の笑顔(メデューサの首)』だから...

「4つだな。」

「じゃあ2つ目の能力、5つ目の技ね。」

...へ!?

「はい!?」

佳奈が慌てた顔で

「大きい声出さないで、赤城が起きちゃう!」

そうだな。答えようとした時だった。

「...っ。」

赤城がおきちまった...。

「あっ。」

「やべえ...。」

美琴、月が呟く。

「大丈夫よ、赤城。」

佳奈が赤城に話しかける。

「......」

まあ赤城は警戒心MAXなわけだが。.........どうするんだ?

「私が誰か分かる?」

赤城は少し迷って、

風切かざきり 紫園しおんの娘か?」

佳奈は表情も変えず

「大正解。なんで分かったの?」

「そのアホ毛と身につけているスペードのイヤリングで。まあ昔はネックレスとして使っていたようだが。」

「何でそんな事を?」

「......」

「答えて、赤城。」

そう言う佳奈の顔は必死そうで、何も言えない。

「......」

「答えなさいよ!」

えっ、ちょっ!佳奈、胸ぐら掴んだらダメだろ!それに、なんでそんなに泣いてるんだ。

「佳奈何してんだ!」

月が佳奈を止めにかかる。流石に佳奈のやり方は強引すぎる。月ナイス。

「氷我兄ちゃんの方が酷いんだから!氷我兄ちゃんは拷問しようとしてたんだからまだマシよ!!」

は、拷問!?何考えてるんだよ羊のやつ!あ、だから佳奈は羊気絶させたのか。って、納得してる場合じゃねえ!!

「赤城、だっけか。」

こっち見てビクッとする赤城。俺今日だいぶビクビクされてねえか?

「俺たちでいつまであいつらを止められるか分からねえんだ。だから話してくれねえかな。」

「......分かった。」

よっぽど怖いのかなあ、......火。

「僕は四歳の時に火事で家族をなくしているんだ。その時にこっちは火傷で見えなくなった。」

そう言って左目を隠していた前髪の奥にはむごいぐらいの火傷。

「その時に親を亡くして孤児院にいたんだが、そこに『カラス』と名乗る人が来て、僕の保護者になった。カラスは色々な事を教えた。普通の勉強だけじゃなく、対人暗殺ころしの技も教えられた。」

「それで?」

佳奈の声。見てみると正気に戻っている。

「なんで人を殺してるのよ。教えられたとしても使わなければ良かったのに。」

た、確かに............。

「それは、僕の家族を殺した火事が意図的に発生したものだと知ったからだ。カラスに言われて初めて人を殺した。」

美琴がビビりながら言う。

「その殺した人って...。」

「ああ、放火犯人だ...まあ、半分は強制だったんだが。」

ん?ゴニョゴニョ言ってちゃ聞こえねえよ。って、佳奈、お前今すげえ怖い顔してるぞ!そんな残忍な笑顔してるのがすげえ怖い!鏡見てこい!!

「あ・か・ぎ・くーん、今一体何をゴニョゴニョと言ってたのかなー?教えて欲しいんだけどなあ?」

パキッと右腕を鳴らす佳奈。まさか...。

「教えてくれないんなら強制的に聞き出すけ

「『半分は強制だったんだが』と言った。」

はやっ!まあ嫌なのはよく分かるよ。って言うか、どういう事?

「どういう事なの?」

赤城の顔が曇る。

「半ば洗脳だったと言うことだ。」

洗脳?そのカラスって何者なんだ?

「......ああ、そういう事でしたか。」

うわあああああ!?急に後ろに立つな!羊何でこんなに早く起きてんだよ!佳奈の拳ってすげえ痛いはずだぞ!

「お前化け物かよ!」

「半分当たっていますよ、夏葵さ」

「うるっせえ!」

「今のは理不尽ですよ...。」

凹む羊を無視し、赤城の話に耳を傾ける。

「『カラス』は能力者?」

「分からない。ただ、僕はカラスに言われて『魔の水晶デビル・ジェム』という組織に入った。僕が8歳の時に佳奈の母親である紫園を切りつけた。。その時に絶望して無感情になっていく佳奈の顔を見て正気に戻ったんだ。」

そうだったのか。

「ああ、私が8歳の時ね。」

「ああ、私が13歳の時ですか。」

おい、佳奈、羊、同時に話さないでくれ。聞き取りづらい...

「それで組織から、『魔の水晶デビル・ジェム』から抜け出して羊と佳奈を探したんだ。少なからず、あいつらが羊と佳奈を放っておく訳がない。佳奈は消息不明になっていたから、もしかしたら羊が守っているかもしれないと思って...。」

羊が『理解した』という風に言う。

「まあ再会した時に私が『佳奈を殺したのか?』と聞きましたから、その時に分かったんでしょうね。」

「へえ、ならそこで思いついたのね?『お前の妹は捕らえたぞ』って?」

皆黙って赤城、佳奈、羊、俺の話を聞く。

「ああ、羊を守るためにも、その手しか思いつかなかったんだ。自分の支配下に置いたと思わせておけば、奴らも羊を狙わない。奴らには佳奈は殺したと伝えておいた。」

ご丁寧なこったな。けど、それのお陰で佳奈の狙われなかったんだろうな。

「今はその話を聞いて感謝できますが、当時は殺そうと思っていましたから、その選択は正解でしたね。」

なるほどな。けど、

「何でそのデビル...ジェム?が私達を狙ってきたのよ?」

佳奈の質問ごもっとも。

「そう言う目的の組織だからだ。『この国から半人、妖怪の類を一掃する』という目的らしい。僕にはその目的は合わない。」

「あれほど残忍だったのに『合わない』ですか。」

羊が少し殺気立つ。

「氷我兄ちゃん、コイツは私達と同じなのよ。違ったのは事件の後に最初に出会った人が誰だったか、よ。」

ちらっとこっちを見てくる佳奈。コイツの言うことだから良い意味だな。

「ねえ佳奈ちゃん、私少し気になってる事があるんだけど。」

撫子だ。俺も一つある

「「半人って何?」」

…...だよな。ハモった。

「よく綺麗にハモれたわね。」

聞いて欲しいのそこじゃねえ!

「...全く、佳奈もきちんと話して差し上げれば良いのに。半人とは、人間ではない者と人間との混血者ハーフのことなんですよ。例えば吸血鬼との半人である佳奈や私が良い例ですよ。」

月がワクワクしている風に聞く。

「じゃあ他にも何か半人がいるのか?」

「狼男とか?」

美琴もそこが気になるのか?でも俺は...。

「俺はそれよりも赤城は起きる前にしてた話の方が気になってるんだが。」

「...」

佳奈が黙る。まさか忘れてたなんてことは

「忘れてたわ。」

「忘れんな!」

「そこ普通忘れないよ!?」

俺と撫子がまた同時に叫ぶ。

「また同時に喋る。聞き取りづらいのよ、できれば話すタイミングをづらしてくれないかしら。言おうとしてたのは『アビリティ』についてよ。」

「何だ、その『アビリティ』ってやつは?」

「能力使いの中でもごく一部の者しか扱えない特別な能力、だったか。なんでも、普通の能力とは違うと聞いたが...。」

「赤城も知っていましたか。」

えっ、羊と赤城も知ってるのかよ。って佳奈、何でこっち来て

「夏葵、持ち物にクリスタル無い?」

「え?は?クリスタル?」

ゴソゴソ探すと...あった。紫色の...炎か?

さっきの力から察すると、そうだよな。

「ふーん。紫の炎の刀に紫の炎のクリスタルにアビリティ使用中の紫の夏葵ね...。」

何か思い当たる節があるのか黙る佳奈。ん?

「...フレイズ・ヒストリア。」

「え?」

「この力の名前だ。何かそんな気がしたんだ。」

皆を見回したら月、撫子が同時に青ざめる所だった。何だ、何があった!?

「おい、皆。俺今すげえ嫌な話思い出したぞ。」

「私も...多分同じものだと思う。」

「では月様、撫子様、同時におっしゃってください。せーの。」

という羊の指示に合わせ二人が呟いたのは

「「バケモノ」」

ん?バケモノ達がどうしたんだ?

「あー、なるほどね。」

「面倒な事になったのである。」

え、佳奈、琴息、わかったのかよ!

「皆、行くわよ。『風神』!」

うわわっ!佳奈も乱暴な事するよな、風神で全員を一気にプロブレンの部屋まで連れ戻るとは...。

──────ギエエェェ─────

おーお、いたな。

「いましたね。」

「完っ全に暴れてましたね。」

美琴、羊が言う通り、部屋にあった機械はあらかた壊され、四方八方に散らばっている。

バケモノがこの部屋だけで80体はいるぞ。

「86体ってとこかな。」

佳奈が呟く。得意の気配察知だな。

「まあ倒さないと帰れないですし、頑張ってやりましょう!」

そうだな、美琴。

「さっさと終わらせて帰るぞ!」

「うん!」「ええ。」「「はい!」」「おう!」「「ああ。」」

「任せるのである。」

そう言い合って皆でバケモノに走っていった。


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