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34話 アイトさん、これが飛行船ですよー

「最後の百年王は浮遊島にいるよ」


 僕らが王狩りを了承するとイースは目的の場所を教えてくれた。


 浮遊島。

 そこはその名の通り空に浮いている島だ。

 亜人の一種族である鳥人たちが住んでいるらしい。


 果たすべき目的があるとはいえ、僕はその場所に行けることにワクワクしていた。


「浮遊島にはどうやって行くんですか?」


 僕の質問にイースは笑顔を浮かべる。


「それはナナのデーモン・ディメンションを使って飛行船なりを出してもらうのさ。もちろん代価は王家が支払うよ」

「当然だ」


 ナナさんは腕を組んで頷いている。


 イースは王家の財産も好きにできるということか?

 魔神とはいえ、王族の人たちはそれで納得しているのだろうか?


「ちなみに私とニニアリアはこの王都に残らせてもらうよ。必要な準備があるからね」


 それを聞いていたミミがピョンピョンと飛び跳ねて手を挙げる。


「ミミはー? ミミはどうすればいいー?」

「君も浮遊島に行っておいで。故郷だろう?」

「うぃ。わかったー」


 浮遊島がミミの故郷?

 その疑問をイースに尋ねる。


「彼女は元は妖精のシルフだからね。シルフは浮遊島に生息していたんだよ」


 彼は何気ない調子で答えてくれたが、僕は驚きを隠せなかった。


 ミミは元は妖精だった!?


「おや、もしかして君は魔神は魔神として生まれたと思っていたのかい? それは違うよ。みんな元はそれぞれ別の種族だった」


 イースはシシーを示す。


「彼女は元は亜人の吸血鬼だ」


 それからまだオドオドしているニニを示す。


「彼女はモンスターだった。そして私は人間。それからナナは……」


 イースはナナさんを見て肩を竦めた。

 彼女がいままで見たことがないくらい怒気に満ちた顔をしていたからだ。


「まぁ、いいさ。とにかく私たちは後天的に魔神になったんだよ。その要因は……はっきりわかってはいないけどね」


 そうだったのか。

 今更ながら僕は魔神について何も知らないんだなと気付かされた。

 それと、ナナさんのことも……


 一体彼女は何者だったのだろう?


 ◆


 僕らはキャンピングカーのところに戻ってきた。


「さーて、面倒ですけどさっさと終わらせてしまいましょう」


 ナナさんはnanazon専用端末を取り出すとポチポチと操作する。


「今度は何を注文したの?」

「このキャンピングカーの飛行オプションですよ」


 見るとキャンピングカーの上部に気嚢が出来上がりそれがどんどん膨らんでいく。


「これが飛行船ってヤツです!」


 ナナさんが自慢気に手で示す。

 僕は感嘆の声をあげる。


「これが彼女のデーモン・ディメンションの力か。改めてすごいな」


 イルヴァーナも驚いている。


「肝心の中身はどうなのかしら?」


 シシーがキャンピングカーを覗き込んでいる。


「ちょっと! お前たちも一緒に乗る気!?」

「当たり前でしょう」

「定員オーバーだから無理!」

「嘘おっしゃい!」


 ナナさんとシシーがいがみ合っている。


「まぁ、というわけでよろしく頼むよアイトくん」


 イルヴァーナが苦笑いを浮かべながら言う。


「ねぇねぇ、アイトー。お部屋広くしなくちゃだねー」


 ミミがキャンピングカーに乗り込みながら言う。


「そうだね」


 何だか賑やかな空旅になりそうだ。




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