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24話 アイトさん、魔神ミミですよー

「ナナしゃん、久しぶりー。あと、えーと、うにゅは?」


 魔神ミミが僕の方を向いて尋ねてきた。


「僕はアイトだよ」

「アイトー、うにゅがナナしゃんを解放してくれたの?」


 解放?

 あぁ、ランプから出してあげたことか。


「うん、そうだよ」

「おぉ。アイトーは優しいんだねー」


 どこか間延びした言い方。

 ミミはナナさんやシシーとはまた違ったタイプの魔神のようだ。


 改めてミミを観察してみる。

 着ているローブはダボダボで、足下までスッポリと覆われている。


「ちょっといい加減に離れなよ!」


 ナナさんがミミを引き剥がす。


「何であんたがここにいるわけ?」

「んー? 何でだっけ?」


 ミミが首を傾げる。


「何でだっけって、あんたの物忘れの多さは相変わらずみたいね」


 ナナさんが呆れたように言う。


「ねぇ、ミミさん。君は誰に解放してもらったの?」


 ナナさんは僕に、シシーはイルヴァーナに解放された。きっとミミにも解放者がいるはずだが。


 僕が尋ねると、ミミは自らのローブを覗き込んだ。


「ミミを解放してくれたのはこの子だよー」


 彼女のローブの中から可愛らしい黒猫が頭を覗かせている。


「え、猫?」

「そうだよー」


 その意外すぎる解放者に唖然とする僕。


「まぁ、この娘はそんなものなんで、あまり深く考えない方がいいですよ」


 ナナさんはどうでもよさ気に言う。


 彼女がそう言うのだから、そんなものとして納得しておこう。


「あ、思い出した! ここにはイースに言われて来たんだよ」


 突然、ミミがポンと手を叩いて言った。

 すると、ナナさんの顔付きが険しくなる。


「……イースに?」


 彼女の顔には嫌悪感がありありと浮かんでいる。


「一体なんで……」


 と、彼女は僕にチラリと視線を向けて、言い淀む。

 その仕草で僕は察した。


「僕、もうちょっと街を探索してみるよ」

「え、アイトさん?」

「ほら、久しぶりに会ったんでしょ。積もる話もあるだろうからさ」


 僕は2人を残して街の探索を再開した。

 と、言っても何か見つかることを期待しているわけではない。


 ナナさんたち魔神にも何らかの事情があるのだろう。その事情に僕が首を突っ込むのは気がひける。

 もし、その気があるならば、彼女の方から話をしてくれるだろう。



 建物内を調べて外に出てみると、いきなり若い女性が走り寄って来た。


「助けて!」


 女性の背後から狼モンスターが迫って来ていた。


「僕の後ろに隠れて!」


 女性にそう言って僕は短剣を引き抜いた。

 これくらいのモンスターであればクロスボウを使う必要はない。


 飛びかかって来たモンスターに短剣を突き刺す。

 怯んだところをさらに短剣を突き刺して息の根を止めた。


「大丈夫ですか?」


 女性に声を掛ける。

 彼女の肌は異常に白い。モンスターに襲われたショックと寒さのせいだろうか?

 だけど、その唇だけは鮮やかな赤色だった。


 怪しい。

 そもそもさっきまで人の気配なんてなかったはずだ。


 僕は警戒して後退った。

 と、急に後頭部に衝撃が走る。

 背後から何者かに殴られたらしい。


 僕は意識を失った。



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