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15話 アイトさん、次はどこに行きますか?

 僕らは広場の近くにある食堂に入った。

 数脚の円形テーブルがいくつも並んでいる。壁際にちょうど良い席があったので、僕らはそこに座った。


「いらっしゃいませ」


 ウェイトレスの女の子が愛想の良い笑顔を浮かべながらメニューを置いていく。


「何を食べようかなぁ?」


 僕はメニュー表に目を通した。

 だけど、僕はこんな食堂には来たことがなかったので、名前を見てもそれがどんな料理なのかわからない。


「アイトさん、おススメを調べてみますねぇー」


 ナナさんは例の端末を取り出して何やら調べ始めた。


「お、この卵料理が良いみたいですねー」

「じゃあ、それにするよ」


 2人で同じモノを注文する。しばらくすると、確かに美味しそうな卵料理が運ばれてきた。


「わぁ、まるでオムレツみたいですねっ!」

「オムレツ?」

「はい、ほとんどそっくりです」


 食べてみると、フワフワでとろけるような美味しさだった。

 オムレツ。

 また一つ、良いことを知った。


 2人共オムレツを食べ終わったところで、僕は今後のことについて話し合いをすることにした。


「アイトさんはどこか行きたいところはありますか?」


 小首を傾げて尋ねてくるナナさん。


「そうだなぁ」


 僕はふと壁際に目を向けた。

 そこには一枚の絵が額縁に入れられて掛けられている。

 一本の木が描かれている絵だ。しかし、よく見るとその木の根元に建物のようなモノがいくつも描かれているではないか!

 一体この木はどれ程の大きさなんだろう?


「あぁ、その絵ですか?」


 ちょうど通りかかったウェイトレスの女の子がにこやかに絵を指し示す。


「これは古代樹の絵らしいです」

「古代樹?」


 これまた聞いたことがない言葉だ。


「ここから北の方角に進んだ先にあるそうです。この絵を描いた方が仰っていたそうです」


 再び絵に視線を向けると、右端の方にサインがしてあった。

 そこにはアルゴン・クリプトンと書いてある。


「えっと、このアルゴン・クリプトンって人?」

「はい、何年か前に来られたそうで。無償でこの絵を提供してもらったそうです」


 画家のアルゴン・クリプトン。

 一体どんな人なんだろう?


「でも、不思議なんですよね。古代樹は何十年も前には既に枯れてしまっていたらしいんです。だから、こんな絵は描けないはずなんですけど」


 描かれている古代樹は青々とした葉に覆われている。とても枯れているようには見えない。そのクリプトンという画家は想像で古代樹を描いたのだろうか?


「調べてみましたが、この小娘の言う通り古代樹は枯れてしまっているようですね」


 ナナさんが例の端末を操作しながら言った。

 どうやら古代樹のことを調べてくれていたらしい。


「昔は多くの旅人たちで溢れていたそうですが、今はすっかり閑散としているようですよ、アイトさん」


 それは残念だ。

 この目で絵のような古代樹を見たかった。だけど、


「僕、ここに行ってみたい!」


 その一言で次の行き先が決まった。


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