読ませる努力シリーズ、プロローグインパクト
今回のエッセイに関してはプロローグに関してである。
例題は先程と同じ「終末世界を変態が行く」から取らせていただく。
連載中だし、分かりやすいし、よそ様の作品を勝手にここで叩くわけにはいかないので、ご了承していただきたい。
さて、タイトル、あらすじと来たら、次はプロローグの話だ。
タイトルを見て、あらすじを読んだ読者が「おっ、面白そうだし、読んでみるか!」となった後の話である。
プロローグと言うのは、小説の成り立ちでもあり、読者の心をつかむ、最も大事な部分である。
大体、長くても三千文字以内にまとめるようにしよう。
何故かと言うと、しょっぱなから長文を見せられると、大抵の読者はだれるか。プロローグで満足して、「あー、面白かった、もういいや!」となる。
プロローグを書くのが、小説としては最も難しいと言えよう。
何故なら、プロローグはこの三つが成り立っていないと、上述のようになってしまうからだ。
まず一つ目に、読者の心をつかむ動きを三千文字以内で書かなくてはならない。
例えば、私の終末世界を変態が行くは二作あるのだが、どちらも最初の手法はインパクトを大事にしている。
鏡かヒロインかの違いはあるが、ムキムキマッチョの大男が全裸でちんこを振ると言う、インパクト以外何もない動きを行っている。
要するに、主人公がどんな人間か、世界がどんな風であるのかを、物語としてインパクトあるように書き込むのが一番いい。
次は二つ目。
ヒロインを出すか否かの選択である。
例題では、打ち切りの方はヒロインを出さず、主人公だけを伝え、後作の方ではヒロインを出した。
結果と言うと、ヒロインを出さない方が楽であった。
ヒロインを出すと、その女の子が主人公にどうやって興味を抱くかないし、主人公と共にある理由を書かなくてはならない。
ヒロインを出した方が物語に深みが出る上に読者を引き込めるが、少ない文字数が足かせとなる。
最後に三つ目。
続きを読みたくなる文末。
プロローグは小奇麗にまとめる必要はない。
起承転結の体裁を取っていれば、物語としてはなんの問題もない、文章の美しさなんかも関係ない。そう言うのは文学でやれ。
忘れてはいけないのは、私達は物語を読ませているのであって、文章を読ませているわけじゃない。
さて、本題。
謎を残せなんて難しい事は言わない、主人公が歩む続きを見せたくなる終わりにしようと言っているのだ。
ここで有利になるのが、ヒロインの有り無しであり、主人公と共に物語を歩んでいく女の子が居ると、ずっと続きが読みたくなる訳だ。
この三つを統合すると。
主人公や世界観をアピールしつつ、ヒロインを出すならヒロインの魅力アピールを加えて、さぁ、物語の始まりだ! と言う雰囲気を三千文字以内で出せ、と言う難題である。
三千文字以内余裕と考えている作者は、悔い改める事をお勧めする。
その文字数内に収まっちゃうプロローグは、世界観の練りも、主人公設定の練りも足りない。書けなくなってエタるか、矛盾が出て読者に突っ込まれまくってガバガバアヘアヘになるぞ。
ここで、このエッセイを終えてもいいが、中にはいるだろう。
「どうしても三千文字超えちゃって、読者ダレちゃってるんですけどー! 無敵のスタンドでなんとかしてくださいよー!」
と言う悲痛な叫びをあげる作者が、ちなみに私はスタンドなんて持ってない、持っていたとしても、しょぼい能力だろう、でも欲しい。
亜細万流に物語の書き方を講座しよう。
まずは物語を書く、一話丸々書き上げてしまう。
その後で見直して、いる文章といらない文章で分ける。
ここで、例題を使って、私が最初書き上げた文章と較正し直した文章を比べてみよう、最初の一行だけであるが、それは我慢してほしい。
終末世界を変態が行く、掲載文。
「傾いた総合病院の隔離棟にある一室、そこには不可思議な棺が安置してあった。」
終末世界を変態が行く、原文。
「嘗て、千葉市と呼ばれた廃墟街の中心部にある傾いた総合病院、その隔離棟にある一室、そこには青い光を湛えた不可思議で、白い棺が安置してあった。」
ほぼ倍である。
掲載文の方が簡潔で、分かりやすく、何があるかわかるだろう。
原文の方は細かく書きすぎである、わかった、わかったから! と言いたくなる出来だ。
と、このようにいらない部分と言うか、細かく書きすぎな部分を削っていく行為だ。
私はこの一文に、どんな世界観であり、主人公の出発点がどんな状態かを書き記した。
病院は頑丈な建物であり、傾いているのはまずない。ここで、読者はおや? っと思ってくれる。
次に不可思議な棺と書かれて、なんじゃらほい? と思ってくれている。
これが、読者の心をつかむ書き方だ。
ちなみに、この終末世界を変態が行く、序文は失敗である。
改稿、空白含まない文字数で約3800文字あり、削り切れなかった文章が多かった。
どうしてもヒロインを出したかったので、無理をしたが、これを書いた当初にもっと私の文章がうまかったらと考えてしまい、後悔が立たない。
まあ、私の事はどうでもいいか。
もう書くこともあまりない。
これ以上は大盤振る舞いであり、私の心が痛い。
実際、私の「終末世界を変態が行く」の序文を読んだ方は少しダレているのに気が付くだろう。
これを利用して素敵な小説ライフを送ってくれ。
ちなみに、どうしても超えちゃう人は諦めるべきだ。
それはよく設定を練った証でもあるのだから。