1話/ゲームの準備
日本はたまに物騒な事件があったりするが、そこまで危険ではない平和な国だった。
俺は日本に生まれてこれて幸せ者だなとまで思ったこともある。
今はそんなことは思わない。前言撤回だ。
「どうしてこうなったんだよ」
先ほどのニュースでやっていたように、地震と警報音が鳴り響きながら壁が出てきたらしい。現在日本は正体不明の壁により、入ってくることはおろか、出て行くこともできない状況にある。
もちろんこの異常事態に学校は臨時急行である。これは嬉しい。
しかし、今日本が危険な状況なのはかわらない。
「そういえば来週、親が帰ってくるって言ってたけど帰ってこれんのか?」
伊織の両親は科学者で世界各国にある研究所で研究をしている。来週、一年ぶりに帰ってくる予定だったんだが.......
多少は楽しみだったがこの非常事態だ。仕方ない。
しかし、学校休みか。暇だな。
あいつら遊べるかな?あいつらとは幼なじみの龍平と彼女の梓だ。
とりあえず二人にメールをする。(今から遊べる?今外で遊ぶのは危険だから遊べるなら俺の家にきてくれ。)送信
すぐに返事がきた。二人ともOKらしい。
10分程で来ると思うから、一応床に落ちている漫画とかを片付けておく。
ちょうど片付け終わったとき
『ピーンポーン』
お、きたきた。
「ちょっとまて、今開ける」
扉を開けるとも二人ともいた。
「二人できたのか?」
「いや、そこで出会ったんだ。嫉妬か?」
「いや、そんなんじゃねぇよ」
本当に嫉妬ではない。
「とりあえず入ってくれ」
「おじゃましまーす」
梓と龍平の声がかさなる。
あいかわらず梓の声は可愛い。
3人は机を囲み腰をかける。
「てかよ、あの壁ってなんなの?」
龍平がみんなが思ってることを言い出した。
「たしかになんなんだろ。怖いよね。これがアニメだったらデスゲームがはじまったりしそうだけどね。」
梓が笑いながい答える。
「デスゲームってなに?」
俺と龍平はアニメにそんな詳しくない。
「デスゲームっていうのは人と人が殺しあったり。何かのミッションをクリアしないと死んでしまうとかのことだよ。」
さすがアニヲタである。しかし、デスゲームって怖いな。そんな俺の気持ちもつゆ知らずに龍平は
「デスゲーム楽しそうだな、はじまらねぇかな。」
「お前らまじかよ死ぬかもしれないんだぞ?」
「お前はやりたくないの?」
当たり前だ、1ミリもやりたいと思わない。
そんな会話をしていると......大音量で音が聞こえてきた。しかし今回は地震は無く、警報音でもない。合成音声のような音声だった。
『日本国民よ。おはよう。いきなりだがお前たちにはとあるゲームをしてもらう。その名もヒュールゲーム。簡単に説明すると、殺し合いをしてもらう。何歳であっても強制参加だ。今すぐとは言わない、1週間後からはじめる。今日中に、支給品を全員に届ける。それに詳しいルールなどが書いてあるから読んでおいてくれ。では、1週間後に会おう。』
部屋は静まり返った。
最初に声を出したのは龍平。
「え?さっき俺らが喋ってたことじゃん。」
「殺し合いなんてしたくないよ、私。」
おいおい、お前らなにビビってんだよ。さっきまでやりたそうだったじゃないか。え?俺?もちろんやりたくない。
「でもさ、さっき強制参加とか言ってなかった?」
「たしかに言ってた。」
強制じゃ参加するしかない。
「ま、怖がっててもしかたない。支給品が届くって言ってたからまた明日、支給品を持って俺の家まで来て。」
「わかった。」
二人ともおびえた様子で返事をした。
夜。
「配達でーす」
玄関から声が聞こえた。お、支給品とやらが来たのかな?
「今いきまーす」
玄関のドアを開けるとガタイのいい黒服が立っていた。全身黒の服でサングラスをかけている。
「梶谷伊織様ですね?ヒュールゲームの支給品をお届けしました。」
「あ、ありがとうございます。」
ほんとに開催されるんだ。
「こちらが支給品になります。ガイドブック等も入っておりますので確認してしてください。」
思ったより箱は小さい。が、重量はある。何が入ってるんだ?
「それから、こちらの目薬を一滴、効き目にさしてください。」
「なんですか?これ?」
「詳しくはさしたらわかります。ま、今で言うスマホみたいなものですかね?」
スマホ?よくわからん。
「それでは失礼します」
黒服が闇の中に消えていった。
とりあえず開封してみよう。
しかし無駄に重たい。やっとの事でリビングまで運んだ。
開けようとするとガムテープでぐるぐるしされていて素手では空きそうにない。カッターはどこだったっけ?
カッターを探していると、LINEの届く音がした。
誰だ? スマホを見ると龍平からだった。
『支給品どうだった?
目薬すごいな。』
支給品は今から、目薬も今から。
っと、適当に返信しておく。
あったあった、カッター。
開封すると、一番に目に入ったのはルールブックみたいなもの。
これは後で見るとしてっと。
ルールブックをどけると、そこには小さな黒い玉?のような物体だった。
なんだこれ?みんなこれが届くのかな?明日確かめよう。
ルールブックを開くとかなり詳しく書いてあった。
『・ゲーム中以外で支給品を使用しないでください
・ゲーム中はどんな方法で人を殺しても大丈夫です。法律には問われません
・1人殺すとボーナス100万円を支給します。』
他にもいろいろ書いてあるが重要そうなのはこのぐらいだ。
やっぱ、人を殺さないといけないのか。法律に問われないって事は国は了承したのだろうか?なんか怪しいな。
難しいことを考えていても答えは分からない。
とりあえず例の目薬をさしてみる。
俺、目薬にがてなんだよな。
一滴さすと........
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁーー」
目が焼けそうに痛い。なんだよこれ。死ぬ。てか死ね。こんなことならささなければよかった。
本当に死にそうだった。だが少ししたら治ってきた。完全に視界がクリアになると本当に驚いた。
視界の右端の空間上にディスプレイが表示されていた。
近未来的なアニメとかでよく見るやつだ。
画面に触れてみると。
『こんにちは、梶谷様。』
喋った。
この後基本的な使用方法を教えてもらった。
支給品を一通り確認し終えると日付が変わる時間になっていた。
今日は寝よう。
朝。起きるとリビングに龍平と梓が座っていた?
「なんでお前らいるの?」
「来いって言ったのはお前だぜ。今何時だとおもってんの?寝すぎだよ。」
「いや、だって外まだあんなに暗い。」
「寝ぼけすぎだよ伊織?昨日のこと忘れたの?」
昨日のこと?あ!そうか壁があって、日光が入ってこないんだ。
「すまん、寝すぎた。ちょっとまって、着替えてくる。」
「伊織の着替え。みたいな....」
「梓なんか言ったか?」
「なんもないよ」
急いで着替る。
「わるいな待たせて。」
「気にするな、それより支給品はどうだった?」
「俺はよく分からんものだった。」
あの黒い玉を見せる。
「何これ。てか、重た。」
「使い物にならなさそうだ。お前らはどうだった?」
「私のはすごいよ。この本なんだけど。魔法の書だって。」
「魔法が使えるのか?」
「ゲーム中以外使っちゃダメらしいからまだ分かんない。」
「そっか。龍平は?」
「俺はこの2本の剣。二刀流だな。ちなみにレベル3」
「レベル?なにそれ。」
「支給品が入ってた箱に入ってる小さな紙に書いてあるぞ。 ちなみに最大は5らしい。」
ん?そんな紙入ってたか?
「あ、私のもレベル3だ。」
どうせ俺のは1だろな。 あ、この紙か。
「え?俺のレベル5なんだけど。」
「うそ、だろ/でしょ!」
「まじだよ、この紙見てみろよ。」
「本当だ。」
レベル5は嬉しいが使い方がよく分からん。何につかうんだ?
「しかし、ゲーム開始まで6日もあるぜ。みんな何する予定?」
俺が質問をすると、龍平が答えた。
「俺は食料を貯めようと思う。ゲームが始まるとすぐに食料が尽きると思う。お前らも手伝ってくれ。」
「別にいいけど。」
本当はディスプレイをいろいろ使いたかったんだけど.......
そしてゲーム開始の日。ついにゲームが始まる。
遅くなってすみません。
やっと、1話投稿できました。
ま、まだゲームすら始まってませんが