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そのきゅうじゅうなな
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痛いくらいに強く掴まれた腕。
ぐいっと身体が後ろへと引かれた。
でも、それと同時に感じた痛みに私は思わず息を止めた。
避けきれなかったソレが、私に与えた痛みにのどの奥から音が漏れた。
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目の前の人間がお嬢様に迫ってくる。
黒い影を纏った人間が。
この世のモノではないモノに取り憑かれた哀れな人間が。
お嬢様が傷付くのは本意ではない。例え、それでお嬢様が私の元へと堕ちて来るのだとしても。
お嬢様が私の元へと堕ちて来るその理由は、私の手に寄るものでなければ満足できない。
だから私は、敢えてその機会を手放した。
お嬢様を守る為に、その細い腕を引いたのだ。
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