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そのななじゅうさん ~彼女のデート9 ~
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焦りました。ほんっとうに焦りました。お嬢様が無事で良かった。恐怖なんて感じる筈の無い私が、貴女を喪ってしまうと思っただけで目の前が真っ暗になった。
いえ。死んでしまえばこの世界に縛られなくなった貴女を私に繋いでしまう事が出来る。喜ばしい事の筈なんですが・・・
邪魔者だけが居なくなるのであれば、そのまま手を伸ばす事無く見ていたのに。貴女までもが落ちそうになったから手を出してしまいました。しかし後悔はしていません。邪魔者を消し損ねはしましたが、愛しい貴女が無事なのですからね―――
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友人と別れ、無事に帰り着いた彼女。荷物を放り出すと浴室に向かった。
「今日はもうお風呂入って寝るんだ―――!!!」
ドアの向こうから響きだした水音。鞄の隙間から漏れ出る光。光が消えると、鞄の傍らには彼が立っていた。はぁ、と悩まし気な溜息を一つ吐いた。その視線は彼女の消えた扉の向こうに固定されたまま・・・




