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そのななじゅうに ~彼女のデート 8 ~
伸ばされた彼の手が彼女の腕を掴む。投げ出された彼女が、本当に落ちてしまわないように。彼女が傷つかないように。死んでしまわないように。力一杯に彼女の腕を引いた。
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「びっ・・・くりしたぁ・・・」
バランスを崩しながらもその場に踏みとどまった彼女達。少しその場から離れお互いに顔を見合わせた。
「落ちなくて良かったね。落ちちゃってたら大惨事だよ!」
「ほんとにね!死んじゃうとこだったね。良くて骨折かな?」
軽く言い合っているが、彼女達は強張った表情で幾分顔色も悪い。
「早く帰って休んじゃおう」
そう言って、2人は足早に帰路に着いた。
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彼女の腕から手を放した彼。彼女の鞄から覗く桜の小枝に指を伸ばし、そっと引き抜く。
『お嬢様の傍に、他の男の臭いが付いたモノは要らない』
冷たい目でそう吐き捨て、彼は小さな勇者が彼女に贈った小枝を捨てた。




