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そのななじゅう ~彼女のデート 6 ~
『貴女はいらない』
彼の呟いたその言葉は、風に散らされ彼女達に届くことはなかった。しかしその不穏な空気は彼女の友人には届いたらしく、その身を守るように右手を左腕に寄せる。そんな友人に、彼女は心配そうな顔で話しかけた。
「どうしたの?寒い?大丈夫?」
友人は、曖昧な笑顔を浮かべ答えた。
「んー。大丈夫だよ。なんかちょっとだけ寒い気がしただけ!ほら、そんな顔しないで帰ろ?」
彼女は少し不安げな顔のまま友人に促され帰路を進む。そしてその帰り道、途中大きな河があった。丁度道路の曲道、道路が河に迫り出した形になる場所でそれは起こった。




