39/116
そのさんじゅうきゅう
アパート着くと、彼女は疲労の滲んだ顔で部屋の真ん中に座り込む。しかしすぐさまスマホを構えると母親にメールをした。
『無事にアパートに着いたよ』
送信して間をおかずに彼女のスマホがメールの受信を知らせる。
『無事に着いて良かったね!私たちも丁度帰り着いたところよ』
彼女はそのメールを読むと口元を緩め安堵の息を漏らす。
『お疲れ様!今日は早く休んでね。私はこれからお風呂に入って寝まーす』
そんな文を送信すると、彼女はすぐさまお風呂に入る準備を始めた。ちなみに時刻は23時である。アパートではあるが、ギリギリ許される時間であろう。
彼女がタオルと着替えを抱え浴室へと消えると、床に放置されていたスマホの画面が一瞬強い光を放った。光が消えるとそこには燕尾服を着こなした彼。
浴室へと視線を向け、水音が響いているのを確認すると部屋を見回した。
「あぁ。やはり数日とは言え部屋を空けると直ぐに湧いてしまいますね」
部屋の片隅の陰になった部分に視線を固定すると、彼は呟いた。




