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そのさんじゅうご
楽しい時間と言う物は、あっと言う間に過ぎていく物で。彼女が家族と過ごした二泊三日の旅行は早くも終盤である。
彼女は再び家族と離れることに寂しさを覚えながらも、それを悟らせまいと明るく振る舞う。駅前で車から降りると、窓から覗く家族に明るく手を振った。
「それじゃ、また年末に。気を付けて帰ってね!私も帰り着いたら連絡するから、そっちも帰り着いたら連絡頂戴ね!」
そして、車が走り出すと同時に駅の中へと向かった。彼女の背中を見遣りながら、彼女の兄は小さく呟く。
「まったく・・・厄介なもんにくっつかれやがって・・・アレがくっついてるなら、そこらに居るヤツラは手出しできねぇだろうけど、ある意味ソイツが一番危険だぞ・・・無事に帰って来いよ・・・」
憂いた視線を姉に向ける兄を見て、彼女の妹は小声で兄に話しかけた。
「お兄ちゃん。お姉ちゃんにくっついてるモノって、そんなに厄介なの?」
「あぁ」
苦々しげに答える兄に妹は続ける。
「でも、他のモノからは守ってくれてるんだよね?お姉ちゃんが家から出ちゃって凄く心配だったけど、今は守られてるんでしょう?なら大丈夫だよ、きっと」
そう言って、妹は姉が居るであろう方へと視線を向けた。




