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その執事人外につき  作者: 文月 譲葉
本編

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33/116

そのさんじゅうさん



「お母さんっ!」


 母の姿を見つけた彼女は、小さな声で叫んで早足で母の元に向かう。


「お待たせしました」


 そう言って、母に笑顔を向ける。


「道中無事に移動できたみたいね」


 彼女の母は笑いながらからかう。


「勿論!殆ど迷わずに来れたよ!ちゃんと駅員さんに訊いたもの」


 彼女は自信満々に答える。・・・心なしか胸を張っているようだ。


******


もう一度言おう。

彼女は方向音痴である。彼女の言う「殆ど」は「全て」と取って良いだろう。普通は駅の表示なんかでわかる。胸を張るな。威張れる内容じゃないんだから。


******


 母親はそんな彼女を見て笑う。


「良かったわね」


「うん!」


 彼女はまるで幼子のようにニコニコしながら頷いたのであった。


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