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そのにじゅうさん
翌朝、目覚ましが鳴り響くよりも早くに目覚めた彼女。布団から身を起こすも、暫くそのままぼーっと過ごす。そして、夜更けに見たユメを思い出していた。
誰かが居た気がする。
知っている人だったような。
知らない人だったような。
夢だったのかもしれない。
ホントだったのかもしれない。
そんな曖昧な記憶に思いを馳せる。夢で見た『彼』を思うと、彼女の顔は痛みを堪えているような、哀しみに襲われているような、そんな風に歪む。
彼女自身は気づいてはいない。けれど、確かにその顔に浮かぶのは痛み、哀しみ、そして思慕。言葉を交わしたことも、声を聴いたこともない。顔すらも合わせたことのない『彼』に、彼女は惹かれていた。
彼に、彼女の心を知る術はない。




