20/116
そのにじゅう
彼女はソファーに腰掛けると、濡れた髪を乾かし始めた。彼女はゆっくりと梳りながら乾かす。髪が乾く頃には睡魔に襲われ、ふらふらと覚束無い足取りでベッドに向かうのであった。
・・・勿論、その手にはしっかりスマホが握られていた。
ポスン、と音を立てて彼女はベッドにダイブする。握っていたスマホの電源を入れ、いつものように二次元の執事君を呼び出した。
「執事君、明日はお休みなんだよ。だから今夜はゆっくり寝るんだー」
彼女は眠い目を擦りながら、嬉しそうに告げる。
「だからね、明日は早い時間に鳴らさないでね?それじゃ、おやすみなさい。また明日ね、執事君」
そして彼女は布団に包まると、スヤスヤと寝息を立てて深い眠りに落ちたのだった。
一瞬、辺りを強く照らし出す光。光が収まると、そこには彼女に寄り添うようにして佇む燕尾服の彼。この世界には彼女しか居ないのだとでも言うかのように、彼女だけを優しく見つめている。彼はゆっくりと手を伸ばし、そっと彼女の髪に触れた。そして一房掬い取り口づけを落とす。
「お嬢様―――」
そして、甘く掠れた声で囁いた。




