クリスマス小話・中編
2015年12月24日活動報告掲載分。全3話。
今日はクリスマスイブ。世の中はクリスマスムード真っ盛りである。しかし彼女はブラッk・・・じゃなく、限りなくブラックに近いグレーな会社にお勤めである。まぁ、仕事なのはしょうがないだろう。残業?勿論あるに決まっているじゃないか。(キリッ by 作者)
彼女は残業まで何とかこなし部屋へと帰る。昨夜のうちに作っておいたビーフシチューに火を入れ、簡単なサラダを作る。パンを切りながら、昨日焼いたガトーショコラを入れてある戸棚に視線を向けた。
「どうしよう・・・もう切っちゃおうかな?いや・・・ご飯が終わってからに・・・」
真剣に悩んでいた。しばらく視線を戸棚と手元の間で彷徨わせていたが、どうするのかようやく決めたようだ。
「・・・ご飯食べて、後片付けまでしてから食べよう・・・!」
そう呟くと、彼女はテーブルへと料理を持って行く。
「いただきます」
しっかり手を合わせ、彼女は夕飯を食べ始めた。ゆっくりと咀嚼し、料理を味わう。(しかし独りである。寂しいねぇ・・・←しみじみ by 作者)
「ん。おいしい・・・上手く出来て良かった」
彼女の頬は淡く色付き、口元は自然と綻ぶ。最後の一口までしっかりと味わうと、彼女は再び手を合わせた。
「ご馳走様でした」
その言葉を言い終えると、彼女はいそいそと空いた食器を片付け始める。勿論、流しに置くだけではなく、ちゃんと洗って食器を干している。後片付けが終わると、彼女はうきうきとしながら戸棚からガトーショコラを取り出した。ナイフを温め(*)、キラキラと瞳を輝かせながらケーキを8つに切り分ける。
「今晩は・・・ん~・・・どうしよ。2つは多いよね。夜だし・・・」
本当は2切れ食べたいようである。それってつまりは1/4ホール・・・え?夕食後にそれは多過ぎるんじゃないかな?寝るだけでそんなにカロリー消費しきれないよね!?作者の焦りが届いたのか、彼女はその夜に食べるケーキを1切れだけに決めたようだ。
「・・・我慢、大事・・・残りは明日にしよう。お供はコーヒー?否。夜飲んだら寝れなくなっちゃう。紅茶かな」
残念そうな声色でそう呟くと、彼女はケーキ皿に1切れだけ取り分け、残りを再び戸棚へと仕舞った。そしてマグカップに紅茶を入れると、テーブルへと移動する。
「いざっ♪」
フォークでガトーショコラを小さく切り、口に入れる。ほろ苦い甘さが口の中にじんわりと広がり、彼女の顔は今日一番の笑顔になった。そして、何を思ったのかスマホを持って来るとケーキの写真を撮り誰かにメールを送った。
『昨日作ったガトーショコラを食べてるよ!無茶苦茶美味しくできた♪羨ましいかっ!!』
喧嘩を売っているのだろうか?宛先は「兄」。そう。彼女は自分の作ったケーキの自慢をする為に写真を撮り、それを兄に送り付けたのである。(確実に喧嘩を売りに行っていると作者は確信した・・・!!)自慢メールを送って満足すると、彼女はスマホのホーム画面で可愛らしく動いている執事君に目を留めた。
「執事君が現実世界に出てこられたら良いのにね。そしたら・・・ご飯も、ケーキも一緒に食べられるのに。独りで食べなくて済むのに・・・」
最後の言葉はあまりにも小さく、その声は空気に淡く溶けていった。だがしかし。彼女の声であればどんなに声でも拾ってしまうのが我らが執事君である。彼女の小さな呟きもしっかり聴いていた。
『いつでも貴女のお傍に。お嬢様・・・』
スマホの中の二次元な執事君のその言葉は、彼女には届かない。
『今はそれでも良いのです。今は、まだ・・・』
悲しげにも聞こえる彼の言葉は、彼女に届くことなく儚く溶けて消えた。
ガトーショコラも食べ終え、食器の片付けも終えた彼女。後は寝るだけである。ふと、彼女は窓へと歩み寄り、夜空を見上げた。明日は満月なのだ。今は雨雲に覆われている月も、本来ならまん丸に近い形をしている筈なのだ。その姿が一目でも見られないかと、彼女は淡い期待を胸に夜空を眺める。一瞬、雲の隙間から月が覗いた。
「っ・・・!」
彼女は嬉しそうに目を細め、口元は小さく弧を描く。
「明日は、クリスマス・・・きっと、お仕事は大変なんだけど、お家に戻ってから良い事がありますように。プレゼントが欲しい、なんて我儘は言わない。ほんの少しの良い事でいいの。お願い、サンタさん・・・」
まるで小さな子供のように、彼女は「サンタさん」への願いを口にした。願い事を終えると、彼女は布団へ潜り込み、スマホの電源を入れて執事君(クリスマス仕様な格好をしている)を呼び出した。
「執事君、明日の朝もアラームお願いね。おやすみなさい」
そう言うと、彼女はスマホを充電器にセットし眠りの世界に旅立った。
スヤスヤと、穏やかな寝息が響く部屋の中、何時の間にか黒い影がそこに居た。その大きな掌で彼女の頭を優しく撫でる。同時に、強い光が瞬き黒い燕尾服を纏った彼が現れた。
「気安く私のお嬢様に触れないで頂けますか?(その手切り落とすぞあ”ぁん??)」
(あれ?おかしいな妙な副音声が聞こえる・・・ by 作者)
彼は射殺さんばかりの視線を影に向け、不機嫌な声で告げる。
「ふぉっふぉっふぉっ。これはこれは・・・まるで騎士のようじゃのぅ」
影は、真っ白な髭を口元に蓄え赤と白の服を着ていた。そう。まさしく「サンタさん」である。
「君達にプレゼントを持って来ただけじゃよ」
「サンタさん」は彼に殺気を向けられているにもかかわらず、ニコニコと人の好い笑顔を浮かべ彼に近付く。そして眠っている彼女にしていたように、彼の頭を優しく撫でた。
「あの子の願い通り、明日の夜君らにプレゼントを持って来ようかのぅ。お前さんもゆっくりお休み」
「サンタさん」はそう彼に告げると、現れた時と同じように何時の間にかその姿を消していた。彼は周りに誰も居ないことをしっかり確認すると彼女にそっと近付き跪いた。「サンタさん」が触れた場所に触れ、念入りに撫でる。そして消毒だと言わんばかりに口づけを何度も落とした。
「全く・・・お嬢様に触れて良いのは私だけだと言うのに・・・」
彼は満足するまで「消毒」を行うと再び姿を消した。
『ゆっくり休んでくださいね、お嬢様』
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あれ?おかしいな。
前回より長くなっちゃったよ??
何故だっ!もっと短く収まる予定だったのに!!これだけ文字数あれば本編で4~5話は連載できる
よ・・・orz
てか、サンタさんっ!なんでアナタ出てきてるんですか!?
え?クリスマス小話だから?行く場所他にあんだろうよっ・・・!!!




