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そのじゅういち
なんとかなった、のかな?
彼女は少し安堵して、出会ったばかりの彼と共に歩く。その間ふたりの間に会話は生まれない。沈黙が彼等を包むも、それは決して居心地の悪い物などではなく、寧ろ心地の良い物だった。
街灯の少ない細い路地を抜けると、そこは明るい大通りだった。辺りを一際明るく照らすコンビニの前まで来ると、彼はようやく立ち止まり彼女に言った。
「ここからなら明るい道だけを通って帰れますか?」
その優しい眼差しと言葉に、彼女の心臓が小さく跳ねた。さっきまでの恐怖によるもののような跳ね方ではなく、所謂トキメキと呼ばれる類の跳ね方だった。しかし彼女はそれには気づかない振りをして言葉を紡ぐ。
「はい!あの、態々ありがとうございました」
ペコリ、と頭を下げる彼女。それを優しい眼差しで見つめる彼。
「それでは、私はこれで」
そう言って彼女は、帰路へ着く。
「気をつけて帰って下さいね」
彼はそう言いながらその背を見送り、そのまま元来た路地へ戻っていった。
「やはり・・・貴女を一人にしてしまうのは危険ですね、お嬢様」
そして、彼はポツリと呟くとその姿を消したのだった。




