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そのひゃくろく
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お嬢様の小さな手が、私の手に重ねられた。私はお嬢様を引き寄せ、潰してしまわぬ様にそっと抱きしめた。
―――お嬢様に、今の私の表情を見られる訳にはいきませんからね―――
彼女の視界から外れた彼の表情が、
口唇が、
獰猛な弧を描く。
『貴女に齎されるモノ凡て、私の手によるものでなければ・・・貴女に訪れる死は私の手によるものでなくては・・・我慢がなりません。貴女を護るのも、貴女を害すのも、私だけで良いのですよ・・・』
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声に出す事無く紡がれたその言葉は、彼の歪んだ愛情を正しく示していた。
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