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姉がうざい

姉の傍観系ヒロイン気取りがうざかったので本気で妨害してみた

作者: ロルフ

 俺と姉は気がついたら乙女ゲーの世界に入り込んでいた。

 なんで気がついたかというと、まあ、学校の名前が変だったとか先生や生徒たちの中にも名前が変わってる奴らがいたり、と結構わかりやすかった。

 ちなみに姿かたちはみんな三次元。そりゃそうだよな、ただ三次元のイケメンどもを見ているとちょいと腹が立つ。俺はイケメンではないからな! …………ハハッ。


 あー、何だっけ? そうそう、何で俺たち姉弟がゲームの世界に居るのかはさっぱりわからん。確か思い出すかぎり、直前まではこの世界と同じ乙女ゲーをプレイしていたような気はするんだがどうだったか。

 姉が買ってきた乙女ゲーとは言え、知識では俺のほうが優っていると思う。ってか、俺のほうがプレイ時間は長かった。別に俺はホモとかではない、決して、それはもう全然。

 理由は……ヒロインが可愛かったのだ。それだけだ、性格も容姿も全て良かった。だからって全ルートやる必要はなかったかもしれないがいいじゃないか、ヒロインの反応が可愛いんだもん。

 姉はというとお気に入りキャラしか攻略していないはず。気に入らないキャラもいたらしいし。


 そういえば、ゲームの世界だと気がついた時の姉のはしゃぎっぷりはうざかった。その時はまだゲームのヒロインが転校して来る前で姉は傍観するとか何とか言っていたがその時の目がすっげえ輝いていた。ああ、ヒロインの座を乗っ取る気だなこいつ、と。俺は冷めた目で姉を見ていた。

 特に、ヒロインが俺のクラスに転校してきてからの姉の行動が目に余る。

 お気に入りのキャラと仲良くなろうと積極的にアピールするわ、イベントの乗っ取りしようとするわ。そのくせ姉は「ああ、傍観者でいたいのにみんな寄ってくるワー、困るワ―」的発言を俺にしてくる。ドヤ顔で。いや、自分から近づいてんだろお前、と正直イラっとした。だから俺は姉の行動を邪魔することにした。




 廊下を歩いていると、噂の姉がいた。ふはは、いい所に。


「よう、姉貴。さかき先生が資料室で困っていたようだけど手伝ってくれば?」

「マジで! すぐに行かないと」


 走り去る姉を俺はニヤニヤしながら見送った。

 榊先生とは姉のお気に入りキャラその一だ。だが、もちろん資料室にはいない。しかし、そこまでの通り道が肝心だ。ここから資料室に行くには職員室の前を通らなくてはならないのだがこの時間帯そこには姉の苦手な人が居るはず。姉はそいつと遭遇するのが非常に嫌らしく、大抵避けて通るのだが、今はそんなこと気にしてはいないだろう。おまけに走っている。絶対になんか言われるな、と急いでいる姉が止められてうんざりしている姿を想像する。マジ笑えるんですけど。

 ただ、そいつは姉のことを憎からず思っているらしい。なんでだ、どこがいいんだあんなの。

 そんなことを考えていると向こう側から歩いてくる人がいた。

 この乙女ゲーの世界の要であろうヒロインの梅桃ゆすらだ。


「やあ、梅桃さん。こんなところでどうしたの?」

「えっと、その。鈴木くんはどこに行こうとしていたんですか」


 おっと、聞き返されてしまった。ちなみに鈴木は俺の苗字だ。こちらの世界に来ても俺たち姉弟の名前に変化はなかった。


「ああ、生徒会室に。榊先生の手伝いでね、人手不足だそうだよ」


 そう、榊先生が困っているのは本当だ。ただ姉に教えたのとは場所が違うだけだ。


「あの、私もお手伝いしてもよろしいですか?」

「ん? もちろんだよ。人手は多いほうがいいだろうしね」

「はい」


 と梅桃は嬉しそうに返事をした。彼女は三次元でも可愛いな、おい。

 ちょうどいい、このまま、梅桃を生徒会室まで案内するか。もしかしたら何かのイベントが始まるかもしれない。これも姉への妨害の一つだ。


 隣を歩くヒロインを眺める。俺がこの世界にきた時は本当にやってくるんだろうかと疑ったもんだが、実際に彼女は転校してきた。彼女は三次元でも思っていた以上に可愛かったのでそこは良かった。いや、本当に。

 ふと、彼女の髪を見る。二次元のイラストだとピンク色だったその髪は三次元の今では黒になっている。しかし、不思議なもので遠くから見たり、光が入ると綺麗な桃色に染まっているように見える。

 俺が眺めているのに気がついたのか梅桃は恥ずかしそうに頬を赤らめた。そんな態度されたら誰だって惚れるって。

 梅桃が転校してきた当初彼女は人見知りなのか、クラスになかなか馴染むことはなかった。そこで俺の出番よ。ある程度の彼女についての情報を持っているのでさりげなく近づいて仲良くなろうとした。最初は姉がうざくなってきたのでその妨害用の情報収集だったり、梅桃に攻略対象を押し付けようと思ったりの行動だったんだけどな。

 彼女と話すようになりクラスにも馴染み始めた頃、ゲームのストーリーも始まったようだった。

 梅桃の近くに居るだけでイケメンどもが寄ってきては何かしらイベントが起こるのがわかった。その時俺はそっと立ち去り、姉が登場しないように周囲を見張っている。ゲームのイベントなんてほとんど覚えてないだろうになんであんなにも遭遇率が高いんだ姉は。

 そんな感じで姉についてイラついていると梅桃が話しかけてきた。


「鈴木くんは、あの、ゴールデンウィークにどこか行く予定とかありますか?」

「え? えっと、そうだな……」


 そういえばゴールデンウィークには友人に生徒会の仕事を手伝ってくれと泣きつかれていたっけな。ちなみにその友人も攻略対象だったりする。というかあの生徒会のメンバーがだいたい攻略対象だ。


「うん、生徒会の手伝いに駆り出されているからそっちに行くよ、休みの前半は。後半は絶対に休みたいんだけどねー」


 普段でも姉の妨害で忙しいんだから休日くらいは本当に何も考えたくない。その時には姉が学生寮の部屋から一歩も出られないような用事でも前もって考えておけばいいだろう。ああ、無駄に忙しい。


「わ、私も手伝いに行ってもいいですか!」


 おっと、これも次のイベントのフラグっすか。俺はもちろん了承する。


「いいと思うよ。この時期結構大変らしいし、着いたら榊先生にでも聞いてみようか」

「はい!」


 どこか嬉しそうな彼女を見ているとほのぼのする。姉の妨害工作を始めてから気の休まることのない俺にとっては癒しだ。彼女は可愛いからな!

 それにしても、休日なのに積極的に仕事するなんてどこがいいのかねー。あれかイケメン多いからか。ただし俺を除く。

 まあ、これでヒロインと攻略対象の親密度が上がればいいか、なんて考えていた俺にはその時梅桃が呟いていた言葉が聞こえるはずもなかった。



「ゴールデンウィークの後半なら鈴木くんと遊ぶ約束しても大丈夫かな? でも前半はずっと一緒かあ。ふふ、楽しみだな、頑張ろう」




 なんかおかしい……と俺が気づくのは夏休み明け、俺と梅桃が学校公認のカップルだと噂されているのを耳にした時だった。なんでだ!



続かない

姉は猫かぶり

弟もヒロインには猫かぶってる

ヒロインは普通に可愛らしい性格、弟に対して乙女

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