表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

第八章:団結した騎士団

椿目線の話です。


海那編完結です。


今回の話では、椿の復讐についての新しい情報が出ることを示唆しています。

次回をこうご期待!(こればっかし…笑)


美術室に向かう途中の階段で、雪と出会った。いつも屋上で昼食をとっている雪が降りてくるところだった。


真理が声をかけた。

「雪ちゃん!」

「今から海那の所に行くんだけど、一緒に行かない?」

それだけでは情報が足りないので、説明を付け足した。

雪は

「パス。他人の事情に干渉するの趣味じゃないから」「朝も言ったじゃん。もう別に止めないけどね。行ってきなよ。」

と、冷たかった。

さっさと教室に戻ってしまった。


「なにあの態度!真理大丈夫?」

私は怒っていた。


「大丈夫だよ。雪ちゃんの言ってること、正しいし」真理は力なく笑った。


「でも…」私が反論しかけたのを


「ストーップ!時間なくなっちゃうよ?海那のとこ、行こ?」

椎奈が笑って止めた。


椎奈はいつも笑ってくれる。なんにもないときも誰かが落ち込んでるときも、口喧嘩したときも。椎奈の優しい笑顔に癒されて、救われる。


そして三人はまた階段を登り始めた。









美術室の前に着くと、海那の鋭い大きな声が聞こえた。

「バッカじゃないの!? 何でそんなこと黙ってたの?」


こんな怒ってる海那は初めてだ。お父さんと揉めてるみたいだ…

やっぱり来ない方が良かったのかな…


横の真理と椎奈は平然と静かにドアの中の様子を探っていた。


今度は情けなさそうな内藤先生の声。

「ごめん。言いづらかったんだよ。わかってくれよ、大人としての、親としての面子があったんだ」


「面子がどうとかしらないけど、現実を認めたくなかっただけじゃないの?大人としてのって…あんた十分子供だよ。私とお母さんがどれだけ心配したか…わかってんの!?」


「ごめん、本当にごめん…!お父さんが悪かった…」

「もういいよ。これ以上謝られるのもうっとおしいし。その代わり、今日は家に帰ってきてよ?あ、今日だけじゃなくてこれからずっとだからね!そんで、お母さんにも本当のこと話すんだよ」


「分かった…」


ガラガラ…


ドアを開ける音が聞こえた。海那が出てきた。その表情は…笑ってる?なんかすごく楽しそうだった。


ドアの前で立ち尽くす私たちをみて、海那は言った。

「なんでここにいるの!?さては…立ち聞きしてたなぁ?全く、悪いヤツラめ!」

口調は怒ってるけどやっぱりなんだか楽しそう。


椎奈が安堵の表情で言った。

「海那、やっぱり大したことじゃなかったんだね。失踪した理由…。仲直りできてよかった。」


真理はあきれた表情で言った。

「いくら帰ってくるのが嬉しいとしても…お父さんに毒舌吐きすぎでしょ。海那の方こそ謝れ〜!」


「誰が謝るか!長い間連絡しなかったお父さんが悪いんだもん。お父さん、絵が売れなくなって、友達の薦めで教師になったんだって。そんなこと位言えよって感じだよね。親の責任が面子が…とか言っちゃってさ。そんなの初めからないって!」

海那の後に続いてお父さんが情けなさそうに苦笑いしながら出てきた。

「好き放題言われちゃってるなぁ…僕。家でお仕置きしないとな。お母さんに頼んで夕飯抜きにしてもらうぞ」

「それはヤダっ!」

内藤先生と海那、椎奈、真理で大笑いした。


椿一人おいてけぼり状態だった。ポツーン


何どういうこと!?

二人共、喧嘩してたんじゃないの?

あんな言い方の海那初めてだし…

でもでも、なんで怒ってるのに楽しそうなの!?


プチパニック状態だった。

私の動揺に気づいた真理が

「ちょっと!椿混乱してるよ」


海那が笑いながら言った。

「放っておいて、ごめん!心配かけちゃったね。

話し合いは成功したよ。

これ、私とお父さんのただのコミュニケーションだから、気にしないで!」


椎奈が言う。

「海那は親しい人には毒舌になるんだよ。特にお父さんには…ね。お父さんから連絡ない間は、寂しくてなかなか本調子出せなかったんだよね?」


「寂しくなんかないっ!」

椎奈と海那がじゃれている。

真理と内藤先生も一緒になって笑っている。


とにもかくにも…

「良かった…!」


何故か泣きそうになってしまった。それを隠すかのように真理の手をつかんで、椎奈と海那にダイブする。

「うわーっ!」

みんなで尻餅をついてしまった。


また大笑いした。


その時、内藤先生が手を差し出してきた。

「大丈夫ですか?音原椿さん」


続けて言った。

「あなたのお父さんを知っています。イギリスにいたころの友人でした。放課後、あなたのお父さんのことで話したいことがあるのできてください」


驚いた。内藤先生(海那のお父さん)と私のお父さんが知り合いっ!?


困惑する私に、真理が言った。

「よし、みんなで行こう!」

椎奈が言った。

「おせっかいだな〜」

海那が笑う。

「おせっかい賛成!」


それからみんなで笑った。

大丈夫。何があっても私にはみんながいる。みんなには、何を知られてもいいや!








キーンコーンカーンコーン

昼休み終了のチャイムがなった。

「HRが始まりますよ!みなさん急いでください!」

内藤先生に促されて

「急げっ!」

みんなで手をつないで教室までダッシュした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ