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最終話:姫と騎士

HRの後、真理は

転校を告げた椿を追いかけた。


後ろに椎奈と海那もいた。


椿はすぐ振り返り、決意したように三人を正面から見据えた。

目が潤んでいるように見えた。

「この一週間は心配かけてごめんなさい…

引っ越し準備や転校の手続きで学校来れなくて…

菖さんが入院して、あの家にはもう住めなくなったから、東北の遠縁のところに行くの。

先に皆には知らせたかったんだけど、連絡しなくてごめんなさい…」

悲しそうに笑う。

「皆と一緒にいれなくなると思うと…か、悲しくて…」

笑顔がだんだん崩れていく。

椿の目に涙が溢れた。


真理が椿をぎゅっと抱きしめる。

「泣かないで!大丈夫、また会える」


「そうだよ、椿さん!椿さんが泣くと、カナ達が泣けないじゃん…!」


「…って、真理も海那も、もう泣いてる!」


続いて海那と椎奈が椿に抱きつく。

みんなで寄り添って大泣きした。暖かかった。


予鈴が鳴って、


「私、今日は引っ越し準備があってこれで帰るから、みんなは教室戻って!」

椿がみんなを強引に教室に戻して、私達は解散した。


「明日、向こうに行くの。みんなで見送りに来てよ!」

涙がまだ残っている真っ赤な顔で、椿は笑った。






翌日私達は三人で椿を見送りに行った。

椿は大きな荷物を持って

「今まで本当にありがとう」

と言った。

「みんなと友達になれてよかった」


そう言って涙目で真理に抱きついた。

「真理、大好き、離れたくない」


「何言ってんの」

真理が照れて真っ赤になる。


「相変わらずラブラブですなぁ、姫様は王子にゾッコンですか」

海那が茶化すと


「うーん、真理は王子というより…私を守ってくれる騎士(ナイト)ですわよ」

椿が笑って言った。

碧い目が光に反射してキラキラ光っていた。


そのあと椿の親戚の人が来て椿は連れられて行った。


みんなと別れて一人で歩きながら空を見る。

今日は晴天。空の青がとても綺麗。

椿の目の碧を思い出す。


私は椿の力になれたのかな…

でも、

「笑顔が見れてよかった」


これから空を見るとき、椿の目の青を思い出すんだろう

離れたって、椿はもう一人じゃないよ。

私も一人じゃない。

こうやって、何度も君の事を考えるから。


 


空を見上げる。

青空に飛行機雲がずっと遠くまで伸びていた。


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