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第13章:少女の闇は自らを魔女に変えた

「私が全ての黒幕よ」

(あざみ)は続けて言った。

「交通事故を起こして椿さんの両親を殺すように仕向けたのは私よ」



それから薊は音原家の昔話をした。










電子機器系の大きな会社を経営している音原家に(あやめ)(すみれ)という年子の姉妹が生まれた。



妹の菫は勉強や運動、その他色々な習い事をさせても姉の菖より優秀で、また素直で誰からも可愛がられていた。


一方姉の菖は何をするにも平均的で、また妹に嫉妬して妹ばかり可愛がる両親によく反発していた。


姉妹中は悪くなかった。


菫は菖に懐いていて、

菖は突っぱねても何度でも引っ付いて来る菫をうっとうしいと思っていたが、

素直で可愛い妹を嫌いにはなれなかった。


菫が菖と両親の仲を取り持つことで良好な親子関係が保てていた。


そんな音原家に事件が起きる。

  

妹の菫が大学卒業後すぐに駆け落ちして家を出て行った。


菫は同じ大学の留学生と交際していて両親は外国人との交際を反対していたのが理由だった。


両親はひどく落ち込んで

捜索願いを出したり親戚や知り合いに情報から集めて必死に菫を探した。


何年後かに連絡がつき、両親は菫と何年も手紙でやりとりを続けた。

十年ものやりとりの結果菫と両親は和解し、菫が音原家に戻って来ることになった。


しかし元々病を患っていた父が、菫と会う約束を取り付けた直後に亡くなってしまった。


そこで音原家では急遽

後継ぎを誰にするか、

ということが話題になった。


菖と菫の母は菫を後継ぎにすることを身内に告げた。


菖は結婚した翌年に離婚していて、借金を抱えていることもあり、後を継ぐには不安定な状態にあると判断された。


菖は菫夫婦が次期社長になることを受け入れていた。



しかし母のことを傍でずっと見ていた薊には納得できなかった。


お母さんは離婚してから私を一人で育てながら、ずっと会社の手伝いをしてきた。

会社のこともよくわかっているし、お母さんが次の社長になるべきだと思った。


それに菖の父の遺言では次期社長に最も多くの遺産が残されることになっていた。

お爺様の遺産があれば借金が返せる。


お金の問題で反対されていた大学にも行けるかもしれない。


いや、違う自分の大学のことは関係ない。

長年母を苦しめてきた借金をなくすために。

会社に尽くして頑張ってきた母のために。

そう、母のために。


何としても母、菖を次期社長にしないと。


そう決意した薊はお婆様に母を次期社長にしてほしいと頼みに言った。


しかし何度言っても聞き入れてもらえなかった。

まだ会社のことに口を出すのは早いと。


当時17歳、未成年の薊は無力だった。


そこで薊は次の方法を考えた。

そうだ、菫夫婦を殺せばいい。

薊はその頃ストーカー被害に遭っていた。

その男に自分から近付いて利用した。


「君のためならなんでもする」そう言った男に

酒を飲ませて菫夫婦が乗っている車にわざと衝突させた。

飲酒運転の事故。

よくあるシチュエーションを装った。

自らの手は汚さず、事故の現場を陰から見守った。

汚い手を使っている。

自分でも思ったが、こうするとバレる確率が低い。

自分の母のためならどんな弖を使っても構わないと思った。


元ストーカーの男は奇跡的に軽い怪我で済んだが、

狙い通り菫夫婦は死んだ。


しかし一つ想定外の出来事があった。

菫の子供が生きていた。

しかも我が家で暮らすことになった。

毎日ドキドキしながら過ごした。

椿の様子を陰で伺った。

菫の子供の椿は案の定何か勘づいているようだった。


椿が真相にたどり着く前に邪魔をしようと

椿の動きを知るために監視役を置いた。

家が近所で遠縁である(せつ)を利用した。

雪は自分に惚れているようなので都合がよかった。


雪から椿の様子を聞いた。

大分真相に近付いているようだった。

雪に椿の友達を襲わせようとした。


しかし一方で薊の心に罪悪感が生まれ大きくなっていた。

もう取り返しがつかないことをしている。

これ以上悪い方向に行かないように、誰かに止めてほしい。そう願っていた。


そんな時、私に笑顔を向けてくれる人がいた。

その人に縋った。


私は魔女。魔女になってしまった。

私を止めて。

これ以上闇が大きくならないように。

(少しネタバレな発言かもしれませんが…)魔女の下りはどこかで回収します。

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