番外編:真実
第十章の作戦会議の別サイド(真美目線)のお話です。
タイトルの読み方はご自由にどうぞ!
「おじゃましましたー」
慌ただしく椿さん達が帰って行った。お姉ちゃんも送っていく、といって一緒に外に出る。
静かになると急にさっき見た黒い影を思い出す。
あれはお姉ちゃん達と同じ中学の制服だよね…お姉ちゃんの知り合いなのかな…でも、それなら声かけてくるよな、
しかもあの人冷たくて怖い感じがした。
そんなことを考えながらカップを片付けていると玄関の鐘がなった。
いとこの美実だった。
「あ、美実ちゃんいらっしゃい!」
「真実ちゃん、久しぶり。お母さんに頼まれて大福持ってきたで」
「いつもありがとう」
美実の持ってきたビニール袋に入ったパックを受けとる。美実の家は隣町の和菓子屋さんで時々名物のおまんじゅうを持って遊びに来てくれる。
美実がふとテーブルのカップに目を止めて言う。
「ごめんよ、忙しかった?」
「大丈夫だよ。さっきまでお姉ちゃんの友達が来てたんだ」
「へぇ、真理人見知りやのにもう友達できたん?それともいつもの友達?」
「高校で新しく友達になった子もいるよ!あのお姉ちゃんがこんなに早く友達作るの珍しいでしょー。今の友達と仲良くなるのにも半年かかったのに。」
「確か小3の時やっけ。真理クラス替えで友達と離れたとか言ってあの時期ずっと暗い顔してたよな。友達できたって聞いてほっとしたでほんま。で、中学の新しい友達はどんな子なん?」
「音原椿ちゃんって言ってね、この辺では有名な家のお嬢様なんだよ!見た目もお姫様みたいで…美実ちゃん?どうしたの?」
椿さんの名前を出した瞬間に美実の表情が固まった。
「おとはら…」と繰り返し呟く。
美実が急に深刻な表情で私を見た。
驚いたが美実から視線を反らせない。
「真美ちゃん、その椿って言う子、なんか事件に巻き込まれてへん?」
私は椿さんの両親の事情と今日ここでしていた作戦会議の内容を全部話した。
話したらお姉ちゃんに怒られるかもしれないと思ったが、美実の真剣な表情に勝てなかった。
「それでね、今お姉ちゃんはその音原椿さんの家にいるはず…」
「真実ちゃんちょっと来て!」
いきなり美実に手を引かれて一緒に外に出た。
「美実ちゃ、どこ行くの?」
「真理のところ。助けに行くよ」
「お姉ちゃんを?」
「真理とその友達、それと魔女を」
美実は歩きながら
「あの人を闇の中からひきずりださんと。うちの常連さんやからな」
魔女さんの話をしてくれた。
「たとえ闇の外がもっとひどい所でもな」
その魔女の名前は、音原薊と言った。
補足☆美実の関西弁は元々大阪に住んでいて真理達のいる町に引っ越してきたという設定です。このお話の舞台は未定ですが東京静岡千葉…その辺りです!
そのうちプロフィールを公開したいと思っております~