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1.険悪な出会い

衣笠は由緒正しき魔装剣士の家系である。

そんな家系に生まれたのが衣笠 礼次郎だ。

詳しい事情は知らないが衣笠の姓を持つものは生まれたときから魔剣と契約している。

そんな家系の中、礼次郎だけは違っていた。

礼次郎は魔力が極端に低く、言ってみればほぼ無いに等しかった。

更にはその魔力の低さから契約さえまともに出来ない。

故に礼次郎は衣笠家の落ちこぼれ、と呼ばれるようになった。


魔物が頻発に発生するこの御時世、傭兵という言葉は少しその意味を変えていた。

汚れ仕事をする以上に凶暴な魔物から人々を守る事も傭兵の重要な仕事になってきたのだ。

傭兵を教育ために作られた教育機関の内のひとつが、月宮傭兵学園である。

夕焼けに染まる空の下、月宮傭兵学園のグラウンドで補修に励む少年がひとり。

少年は人ならざるものと相対していた。

身長二メートルの巨躯に青緑の肌。

爛々と不気味に光る眼、頭部には鋭い二本の角が生えている。

その姿から分かるとうり少年が相対しているのは正真正銘の鬼だ。

「あと三枚・・・」

彼は端正な顔に疲労の色を浮かべて呟きながら真紅の一文字が刻まれた頬を右手の甲で拭う。

頬の血を拭う手の指の間には文字のようなものが書かれた三枚の札が挟まれていた。

その札には魔物を倒すための術式が念写されている。

既に同じような札が鬼の体の各所に五枚ほど突き刺さっていた。

雄叫びを上げながら鬼が突進してきた。

まともにぶつかれば少年の方が押しつぶされる。

それが分かっているのだろう彼はギリギリまで鬼をひきつけ左にステップし、避ける。

素早く鬼にめがけて札を投げ放った。

一直線に飛んだ札は鬼の背中に鋭く突き刺さる。

「あと二枚!」

鬼の剛腕が男子生徒を薙ぎ払うように襲い掛かってきた。

くらえば重傷は確定だろう。

彼は地面に片手を着き姿勢を低くして回避。

剛腕が頭上を通り過ぎた。

立ち上がり様、すかさず放った札が鬼の胴に突き刺さる。

「あと一枚!」

雄叫びを上げた鬼が正拳突きを放つ。

少年は軽々とその剛腕に跳び乗り「ラストの一枚!!」と鬼の頭に札を叩き付けた。

後ろに跳び退いた彼が着地するのと同時に鬼の体が白い煙を上げながら蒸発していく。

その跡には八枚の札が残っているだけだ。

「やっと、終わったー!!」

勢いよくバタリと仰向けに倒れた彼、衣笠 礼次郎はそのままグラウンドの真ん中で眠ってしまった。


補修を終え泥の様な睡魔に身を任せ眠ってしまった礼次郎は一時間後に教官に蹴り起こされて起きた。

「やっぱ俺って落ちこぼれだな・・・」

あの補修を受けていたのは礼次郎ただひとりだった。

衣笠家の落ちこぼれ、って言われるのが嫌で衣笠家を出ても自分は落ちこぼれのまま・・・。

思わず自嘲の笑みがこぼれる。

暗い気分になりながらも礼次郎は寮に着いた。

「!?」

ドアが微かだが開いていた。

泥棒か、いや、盗む物なんて無いはずだが・・・。

身構えつつ室内に入っていく。

暗い中、居間から光が唯一漏れている。

意を決して居間に踏み込む。

「・・・・」

居間に転がっているそれは穏やかそうな寝息をたてて眠っている。

それは少女だ。

短く切られた艶やかな黒髪にボーイッシュな顔立ちが非常に似合っている。

表記を正しくするなら美少女だ。

「さて、捨ててくるか」

「何でそうなるんだよ!!」

寝ている筈の少女が上半身だけ起こしてツッコんできた。

「起きてたのか、ならさっさと出て行け」

「何でボクが出て行かなきゃならないんだよ」

「ここが俺の部屋だからだ」

「ボクも今日からこの部屋だよ。もしかして聞いてないの?」

その言葉に記憶の底をさらってみる。

『お前の部屋に編入生が入ってくる事になったからな、くれぐれも失礼の無いようにしろよ』

そういえば、そんなことも教官が言ってたな・・・。

「とりあえず、自己紹介しとくけど。俺は一年六組の衣笠 礼次郎だ」

「無愛想だね衣笠君って」

悪かったな無愛想で!

「必要ない情報を省いてるだけだ」

「もっと愛想よくしたら」

「必要ない」

少女は眉間に皺を寄せた。

「ボクはルルド シュタイン以後、よろしく」

その声には明らかな険がこもっていた。

「仲良くなれそうだな」

「そうだねー」

ははは、と互いのこめかみに青筋を浮かべながら自分達は笑いあっていた。

この作品を読んでくれた皆様方、はじめまして作者のフトシです。

最初に、駄文ですいません、できれば生暖かい目で見守ってくれると嬉しかったり・・・。

こんな作品でも評価とか感想とか貰えたら有難いです。

更新は遅くなると思うので堪えてください。

それでは次話でまた会いましょう。


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