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ドラゴンプラネット  作者: 級長
第三部
95/123

番外 涎小豆

 墨炎は氷霧のパートナーとなった。なので、墨炎は惑星警衛士の幹部昇進式をすることになった。その時の話である。

 ネイチャーフォートレス 惑星警衛士本部


 ここは日本の城みたいな惑星警衛士の本部。その庭に、腰までの長い黒髪に赤い瞳の少女がいた。

 「で、俺はなんでこんな場所にこんな状態でいるんだ? ナンセンスなのか?」

 墨炎は騎士団本部の白い砂利がひかれた庭に、両手を縛られて膝立ちさせられていた。青い着物を着た男、ナイトが質問に答える。

 「これより、惑星警衛士伝統の幹部昇進式、涎小豆を行う!」

 「虎眼流か! わかる人にしかわからんわ! あと、いきなり幹部なのか、俺」

 儀式の内容にすかさずツッコミを入れる墨炎。騎士団リーダーのパートナーとは、役職的には幹部らしい。ちなみに虎眼流とは、ある歴史小説に登場する剣の流派。シグルイというタイトルで漫画化されてるので、そっちを読んだ方がいいかもしれない。

 涎小豆とは、その虎眼流の流派の入門式である。額に豆の甘露煮をくっつけて、それを師範が斬る。度胸を試すのだ。

 「さあ、お立会い! 今から墨炎の度胸を試す!」

 いつの間にか縁側には、大多数の騎士団メンバーが集まっていた。かなりの数の視線が墨炎に注がれる。

 「式だよね? 見世物じゃないよね?」

 「いいからいいから」

 墨炎は文句を言ったがナイトに流された。ナイトの近くに小皿を持った部下が来る。

 「ナイトさん。これを」

 「うむ、この粘りならいいだろう」

 小皿に乗せられていたのは豆の甘露煮だった。ナイトが小皿に乗せられた甘露煮を一粒箸でとって粘りを確認すると、墨炎の額に乗せた。すると、甘露煮は落ちた。

 「三秒ルール」

 「氷霧さん! 落ちたものは食べちゃだめと何度言えば……」

 「粘り充分じゃないよね? 確認の意味ねぇだろ! あと氷霧、いつからいた!」

 いきなり出てきた氷霧が落ちた甘露煮を食べた。セミロングの白髪で、左目を前髪で隠した少女だ。薄紫の着物も似合ってる。あと、頬っぺたのご飯粒はなんだ。

 この氷霧が、惑星警衛士のサブリーダーである。現在はリーダーのセイジュウロウが大学受験を控えてるため、彼女が実質リーダーだ。

 「代わりのもの持ってきた」

 氷霧はバケツをナイトに渡す。その際、何気なく小皿を奪い取った。

 「代わりって、納豆だ! バケツいっぱいに!」

 「たしかに粘りは良さそうだ。まさか氷霧、そのご飯粒は納豆をご飯に乗せて喰ってましたってオチ?」

 墨炎が納得した様に呟く。すると氷霧は首を横に振って言った。

 「さっきまでパエリア食べてた」

 「まさかの洋食! ていうかお前、いつの間にか胃袋キャラになってるぞ!」

 墨炎のツッコミが始まった瞬間、氷霧は甘露煮を食べ始めた。

 「ああっ! 甘露煮食べたら、もう納豆しか使えないよ!」

 「仕方ないですね。納豆でやりましょう」

 墨炎の悲鳴をスルーして、ナイトはバケツを持ち上げた。それをナイトは墨炎の頭上へ持っていく。

 「ストップ! おもいっきり納豆をかけようとすん、ぎゃぁぁ!」

 墨炎につっこまれてもナイトは納豆のバケツをひっくり返すことをやめなかった。墨炎は納豆まみれ。ナイトは復讐を恐れて逃げた。

 「ナイト、マジで許さん……」

 「三秒ルール」

 「もう食うな!」

 落ちた納豆を、氷霧は食べようとしたのだった。

 ドラペディア

 三秒ルール

 墨炎「食べ物も落ちてから三秒はセーフっていうのが三秒ルール。実際は一秒でもダメらしいけど、アレルギーは暇を持て余した抗体が原因だから少しくらい菌を体に入れないとね」

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