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ドラゴンプラネット  作者: 級長
第二部
73/123

番外 それぞれの花火大会

 今回は本編時間軸ではないのだけれど、女性陣の浴衣姿に注目だ!

 現実世界 岡崎市矢作川周辺 夕方


 長篠高校の隣には堤防があり、そこに上ればすぐ一級河川の矢作川がある。その堤防は遊人が夏恋からDPOを薦められたり、遊人とエディが始めてキスしたりと『ドラゴンプラネット』の聖地である。花火大会の場所取りだけにこの場所を訪れるリア充どもは作者である級長に平伏せばいいと思うよ。

 その堤防の頂上は整備された道路になっているのだが、そこに浴衣を着た幼い少女がいた。

 彼女は凍空真夏。大人しい雰囲気に水色で金魚の柄が入った浴衣がよく似合う。

 「しっかしバトラーはお嬢様放置が多いな」

 そんな愚痴を真夏の隣で言ったのは、都煉那。活動的な彼女は、比較的ラフな格好で来ていた。ホットパンツにタンクトップで、サンダルを履いている。夏らしいといえば夏らしい。

 《バトラーは今、席を取っています》

 「大変だな執事。こんな暑いのに」

 いつものホワイトボードに言葉を書き、真夏は煉那に言いたいことを伝える。煉那がバトラーに同情してると、続々人が集まってくる。

 辺り一帯は場所取りのブルーシートが敷かれ、花火大会を言い場所で見る気しかない人々が押し寄せる時間となった。

 「あいつらまだかなー」

 「おーい、煉那ーっ!」

 完全に待ち疲れた煉那が言うと、夏恋達も集まって来た。夏恋は赤い浴衣を、涼子は白に朝顔の柄の浴衣を着ていた。着付けで時間かかったらしい。

 「なんだ浴衣で来たのかお前ら」

 女性陣で唯一浴衣でない煉那は、集まったメンバーを見るなり遅れた理由を理解した。着付けは雅が出来るのだが、一人でこの人数は確かに大変だ。

 「本当、大変だったよ……」

 早速ゲッソリしてる雅が夏恋達の後ろから現れた。さらに後ろから、浴衣を着た佐奈も現れる。

 「凄いカップルの数ですね。あの人達は花火大会が終わったら部屋なりホテルなりで第二の花火大会をするんですか?」

 「お前臆面も無くそういうネタを言う様になったな! 初期の自分が寝てる布団が遊人の使ってた布団だと知って顔を赤らめる、3話での奥ゆかしいキャラはどこへ行った!」

 遊人不在に付き、煉那がツッコミを担当。佐奈は初期のキャラから大分ズレていた。

 「私は元からこうですよ? あの時はちょっと興奮して濡れ……」

 「あーっ! あーっ! 聞こえない!」

 煉那は佐奈のキャラがあらぬ方向に飛んで行きそうだったので中断させた。

 他愛もない話の間に辺りが暗くなり、いよいよ花火が打ち上がる時間となった。暗い割に電灯がないから、星しか見えない。

 すると、不意に空が明るくなる。緑色の花火が空に咲いていた。

 「玉屋ー!」

 黒い空に次々花火が打ち上がる。だが、真夏は何かを忘れている様な気がしていた。

 「真夏お嬢様」

 「あ、バトラー」

 バトラーの接近に煉那が気付いた。バトラーはずっと、場所取りをしていた。


 DPO ネイチャーフォートレス 花火之河原


 ネイチャーフォートレスには、花火をするのにお誂え向きなフィールドがある。それがこの、花火之河原だ。

 「汚ねぇ花火だぜ!」

 「鍵屋」

 クインと氷霧が花火を上げていた。二人とも浴衣を着ているが、これがまた奇妙なテイストを出している。氷霧が似合うのは言うまでもない。薄い紫の浴衣が、氷霧のしとやかは雰囲気にマッチしている。

 だが、クインが異端の異端という様な着こなしを見せた。派手な赤い浴衣を着て、おまけに左肩は脱いでいる。細いけれどしっかりと鍛えられた肩が晒される。胸にサラシも巻いており、もはや遊女だ。サイコロでも持たせれば画になるだろう。

 「これは何?」

 「悪趣味」

 そこへ藍蘭とスカーレットがやって来た。二人とも浴衣では無く、いつもの服装だ。

 二人が注目したのは、犬人間が入れられた筒。導火線が繋がっているから、花火か何かだろうと推測出来る。

 犬人間自体、本編ではキラートレインに藍蘭、スカーレット、彩菜の三人が挑戦して以来の登場だ。DPOではマリオでいうクリボー、バイオハザードでいうゾンビみたいにポピュラーな敵である。ドラクエでいうスライム、FFファイナルファンタジーでいうチョコボみたいなマスコット性は無いのだけれど。

 「打ち上げー!」

 「うわああっ!」

 「やめてくれー!」

 クインがおもむろにリモコンみたいな機械のスイッチを入れると、数人の犬人間が打ち上げられて花火になった。犬人間は打ち上げ花火の筒に、花火と一緒に入れられていたらしい。縛られて抵抗も出来なかったと見える。

 「チート対策と共にアップデートで追加された新要素、『捕虜プリズナー』! 捕まえた人型エネミーは実験台にしたり拷問したり自由自在!」

 「主に女性エネミーの需要が高い」

 クインと氷霧が言うことには、チート対策と同時に追加された新要素のおかげでこんな汚い花火を楽しめるのだそうだ。砕け散った犬人間の肉片が、辺りに落ちてくる。

 新要素『捕虜』。戦闘フィールドで犬人間や邪教徒、敵兵士などの人型エネミーを捕獲するシステムだ。麻酔銃を使って眠らせれば捕獲可能。

 これにより、今まではインテリアや友達同士のじゃれあいにしか使わなかった拷問道具の数々が、実際に使用可能になった。

 くのいち、諜報員などの女性エネミーを捕まえ、拷問道具を試す紳士も急増したのだとか。実際にそうした動画をサイトにアップロードする者もいる。

 そうした事実を鑑みてクインは花火の筒に入れた、とあるプレイヤーを見た。

 「その一人がコイツ……か」

 「すいません二度としません深夜のノリで部活の仲間と女性エネミー捕まえてマイルームにある拷問道具を片っ端から試してみた動画をニコニコ動画にうpしたりしませんから許して下さい」

 黒いコートにフードを被った我らが不審者、級長。またの名を、作者という。ちなみにどういうわけか垢BANはされなかった。

 「アカウント消されないだけマシだろ? お前の大好きな実況者さんみたいによ……!」

 「りんご雨さんのことかー!」

 クインはスパス12ショットガンを級長に突き付けた。級長はいつも愛用のショットガンを持っているが、縛られて筒に入れられているのでは使えない。

 「では、このゲス野郎を打ち上げるぞ!」

 「やっちまえー!」

 クインが点火準備に入ると、藍蘭が煽った。級長は高い所と注射が大の苦手で、先日も麻疹の予防摂取を苦労しながら受けてきたばかりだ。

 だが、ここまで来ると諦めからか開き直れるみたいだ。

 「部隊内恋愛していた兵士エネミーの彼氏を虐殺して、彼女の方を電気椅子で色々したりしたことは後悔していない! 花火大会を楽しんだリア充を私は殲滅したい! この、ベネリM3にキュービック弾を詰めて!」

 級長はいつの間にか縄を抜け、愛用のショットガン、ベネリM3をポンプして弾を込めていた。キュービック弾というのはショットガンに用いられる12ゲージ散弾の一種である。通常の散弾が丸い粒で満たされているのに対し、キュービック弾は丸い粒では無く立方体。だからか、殺傷能力が高い。

 「言いたいことはそれだけか?」

 クインがリモコンの点火ボタンを押す。すると、級長は天高く打ち上げられた。

 「リア充、爆発しろ!」

 級長は捨て台詞を吐いて、爆散した。

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