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ドラゴンプラネット  作者: 級長
第二部
59/123

26.藍蘭とスカーレット

 アイドル名鑑

 赤野鞠子

 サイバーガールズ最年少アイドル。ツインテで年下のイメージを見せるも、落ち着きがあり、そのギャップから人気。

 その正体は、学園騎士会長のパートナー、スカーレット。

 これは小説制作上の余談だが、作者の先輩にBを抜くとアサルトライフルの名前になるアイドルグループのファンがおり、その人の推しメンから名前を取った。アイドルといえばこの名前、と刷り込まれていたのだ。

 東京都 宵越テレビ本社


 「まさかね……」

 藍蘭とスカーレット。DPOを代表する名コンビの再会が、現実世界で実現したことに、夏恋は驚いていた。夏恋もDPOプレイヤー、この二人を知らないわけではない。

 「あれ? お姉ちゃん来てたの?」

 「あんた髪長くなった?」

 こちらはこちらで姉妹の再会。地味に髪が長くなった冬香が夏恋に気付いた。こちらの再会はすでに予定されていたため、あまり感動はなかった。

 「中学生だったの……小学生かと……」

 「スカーレットがアイドルなのが驚きだよ!」

 藍蘭の方が驚く要素が多いせいか、テンションが高い。相手が一般的中学生ではこうも驚かないだろう。なんせアイドルだ。

 実は学園騎士でも『赤野がスカーレットなのでは?』とささやかれていた。ボイスエフェクト未使用なので、スカーレットは声がテレビと同じなのだ。現実世界でテレビを見た学園騎士メンバーが、疑い始めたのがきっかけである。

 「何しにきたの?」

 「学校の卒業生に、サイバーガールズのメンバーがいてね。その応援。でも私はスカーレットを応援するよ!」

 藍蘭はクラスメイト達の前で裏切り宣言。本来は冬香を応援する予定だったが、藍蘭がスカーレット側に寝返った。

 「寝返りはありか?」

 「おれはしょうきにもどった」

 クインが驚き、氷霧が裏切りに関する名言を言う。藍蘭が竜騎士なら完璧だが、どちらかといえば藍蘭は侍だろう。だが、刀を三本同時に使う侍がいてたまるか。

 こらそこ、藍蘭をゾロとかバサラの政宗とか、ビギニングガンダムとか言わない。たしかに刀の持ち方は政宗やビギニングガンダムに似てるが。知らない人はヤフーでググれ。

 「つもる話もあるだろう。我々はここで退散しようぜ」

 佐原は空気を読み、全員を連れてその場から離れる。今、誰か空気を読める人の個性に切り替えたに違いない。

 「お、そうだ。せっかくだから芸能人の個性でもコピーしよう。いつ消えるかわからないアイドル三人の個性だけでは物足りないからな」

 佐原はスタコラといなくなった。クインは佐原の言葉に、疑問を感じた。

 「三人? サイバーガールズは四人いなかったか?」

 「赤野、黄原、河岸、冬香先輩」

 氷霧も人数を数えて確かめるが、四人いた。クインは先程、氷霧がこの四人から電磁波を感じたこと、朱色が妹を探してることをふまえて、ある疑いを持つ。

 「もしかして、朱色の妹が混じってた?」

 「まさか」

 いろいろ仮定をすっ飛ばした結論に氷霧はツッコミを入れる。

 「その可能はありね。最近、瑠璃おかしいもん。ほら、今だっていきなりいなくなってる!」

 「そういえば、ここ二ヶ月ほど変なような……」

 冬香と彩菜がクインと氷霧の話に割って入る。彩菜が言うに、瑠璃は二ヶ月前から変なのだという。

 そして、当の瑠璃はとっくにいなくなっていた。消える様とは、まさにこのこと。

 「前はファンのサインにも応じたんだけど、最近は断るようになってね。そういえば、誰かから物を受け取るのも最近は見てないね。あ、あと動物好きだから、前はよく見かける度に抱いてたんだけど、最近は撫でるだけになって……」

 『そうだね。ボクとしては、人間なんだからちゃんと受けとってあげないといけないと思うんだ。あと、動物抱けるのは死ぬほどうらやましい権利だから、ぜひ行使してほしいね。ボクは電磁波が効かないから物を持てないし、いくら電磁波で誤認させても物理法則を無視できないから、動物は触れても抱き抱えたりできないよ』

 彩菜の証言を聞いた朱色が、いきなり現れた。声だけでなく姿まで現れたため、全員が驚いた。

 朱色は電磁波発生装置ごと、インフェルノ東京支社に輸送されたはずだ。

 「朱色! 何故ここに?」

 『ここにも、電磁波発生装置があるみたいだね。無論、ボクの妹用みたいだけど、最大権利を持つボクは使えるみたいだね』

 クインが聞いたら、朱色はここにいられる理由を教えてくれた。妹ももちろん、同じようなデータ体。電磁波発生装置がないと、現実世界に出られない。

 「物理法則は云々って、どゆこと?」

 『ボクは存在こそ誤認させられるけど、それ以上は無理ってことさ。例えば部屋が水で満たされてる様、人に誤認させたとしても、そこで泳げるわけじゃないんだ。浮力が発生しないからね。冷たいし、息はできないけどね』

 あまり頭が良くない冬香が、朱色の仕組みを聞く。他の中学生と話していた夏恋が合流し、朱色に関する情報を漏らす。

 「遊人が朱色の出したナイフで怪我したって言ってたわね。なんか昔テレビで、アイロンと言ってボールペン当てたら被験者がボールペンで火傷したっていう話を聞いたわ」

 『誤認の効果だね。まあ、骨までは断てないだろうけど』

 彩菜は朱色の出来ることトークに花を咲かせる一団からこっそり離れ、つもる話をだいたい終わらせたらしい藍蘭とスカーレットに近寄った。


 宵越テレビ本社 社長室


 「リディア・ソルヘイズ。話は聞いてるよ。にしてもカワウィ~ね」

 宵越テレビ現社長、宵越弐刈はすっかりバブル期のディスコと化した社長室で、一人の少女と机を挟んで向き合っていた。社長室らしく接客用の机とソファは残されていた。

 金髪をポニーテールにして眼鏡をかけ、白基調のワンピースにオレンジの上着を着た少女だ。足はレギンスをはいてるせいか、あまり露出してない。名前はリディア・ソルヘイズ。

 「私は直江遊人を始めとするクローンを作るテストとして生み出されました。ラディリス・ソルヘイズからこっそり採取したDNAから生まれたんです。極秘に製造されたから、実は戸籍もなくて。学校も行ってなくて、熱地学院大学でこっそり育てられたのです。」

 「それで職につけないから、熱地と関わりのある宵越で秘書をしよう、と」

 弐刈はリディアの履歴書を見て呟いた。本人曰く、高校卒業程度の学力はあるらしい。それを証明するためか、模試の結果も履歴書に添付されていた。東大の合格率がCとは、地味に頭がいい。普通ならDもいかないだろう。

 「ラディリスのクローンだから、記憶とか計算は得意です。あ、あと英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語話せます」

 「でも……あまり怪しい人雇うとじい様方が五月蝿いし……」

 弐刈はリディアを雇うことを躊躇った。弐刈としては、能力が高くておまけに可愛いと、雇う理由は十分だった。だが、宵越テレビの先代社長、道夫や宵越新聞の実権を握る弐刈の祖父は死ぬほど口五月蝿い。秘書を雇うだけでも、かなり指図されるだろう。

 道夫が秘書を雇う際に出した条件は、高学歴。有名大学出身は第一条件だ。簿記の資格や秘書に必要な能力の有無など、二の次なのだ。なんという学歴至上主義。

 だが、高学歴の人間は付き合っていて面白味に欠けるというのが弐刈の経験だ。表五家の力で熱地学院大学に入学して現在も一応大学生の弐刈は、いかに大学に入るだけの勉強しかしてこなかった人間がつまらなく、人生を損してるか、理解していた。

 勉強とは、何も学校で習うことばかりではないというのが、弐刈の持論。

 弐刈が言い淀んだら、リディアが口を開く。

 「わかってます、自分が怪しい人間だってのも。普通、クローンなんて言っても信じてもらえませんし。でも、私は秘書になるより、自分の生きる意味が知りたいんです」

 弐刈は彼女の声が震えていることに気付いた。そして、リディアは涙を流していた。

 「よし! じい様は俺が説得しゃうよ! 殴ってでも黙らせる!」

 それを見た弐刈はいてもたってもいられず、リディアの隣まで移動して言った。そして、リディアの隣に座って彼女の肩を抱く。馬鹿だ。

 そして、リディアはそれを聞くと、涙を拭って笑顔を見せる。

 「ありがとうございます!」

 そして弐刈に飛びつく。弐刈の鼻腔を、太陽の香りがくすぐった。


 数分後、秘書になるための手続きやらなんやらを終えたリディアが社長室から出て来た。

 (馬ーーーーーー鹿っ!)

 そして心の中で、弐刈を嘲笑した。まさか、あんな程度で宵越テレビに潜入できるとは、彼女も思わなかったのだ。先程の涙や笑顔も、演技である。

 (歴代最速ね。今まで落とすのにかかった時間ランキング)

 リディアは熱地が生み出したクローン。だが、極秘で生み出されたため、遊人や順の様に戸籍がない。あの二人は、松永家の後継者として生まれたのだ。

 熱地でしばらく育てられたリディアはある方法を勉強した後、熱地の下を去った。その方法が、先程の様な男を落とす方法である。熱地最新の心理学などを応用したのだ。

 リディアは世界を転々とし、世界中のセレブを堕落させて暮らしていた。上流階級や成功者達に取り入り、機密情報を手に入れ、それを売り飛ばして生計を立てていた。

 熱地学院大学に居れば生きるのには困らなかったが、彼女は世界を盛大に引っ掻き回したい衝動に駆られたのだ。熱地で極秘に生み出されたが、極秘に育てられ、極秘に死んでいくのは我慢できなかった。

 リディアは世界を動かし、混乱させることに生きる意味を見出だしたのだ。自分という存在が極秘でなく、公然となっている状況が、実感が欲しいだけなのだ。

 目的もなく世界を掻き回す人間は、陰謀を持つ人間より恐ろしい。現に、彼女は機密情報の売買などで国一つ転覆させたこともある。リディアの売った情報が内戦や国家間戦争の引き金にもなった。

 近年有名なギリシャのデフォルトも、リディアが関わっている。

 「世界は飽きた。今度は日本ね」

 リディアは飽きたというだけで、ターゲットを故郷の日本に変える。自分が世界を良くても悪くても変え、生きた証を残したい。

 そんな思いがリディアを動かしていた。

 リディアはノンビリ、宵越テレビ本社の地図を頭に叩き込もうと建物の中を歩く。ただの道順だけでなく、万が一のために逃走ルートも確保する。

 今まで、失敗がなかったわけではない。生きてるのが不思議な目にもあってきた。だから、こうした準備を念入りにする。

 「さて……何の情報が出るかな?」

 リディアは控室が並ぶ廊下までやって来て呟いた。彼女は特定の機密情報を狙っているわけではない。だから手に入れるのは、機密情報なら何でもいいのだ。

 「ん?」

 リディアは廊下の途中、奇妙な光景を目にした。スタッフが集まり、控室の前で騒いでいる。控室の標札には、紫野縁と名前がある。サイバーガールズのメンバーだ。

 「どうしました?」

 「この扉が開かないんだ! 確認したけど鍵は開いてるし建て付けは昨日直したから問題ないんだが……」

 スタッフの言動には焦りが感じられた。リディアは扉を見て、鍵が開いていて、建て付けもよいことを確認した。

 鍵が閉まっているかは、扉の隙間を見れば実はわかる。ドアノブに近い場所の、扉と壁の隙間を見るのだ。その隙間に、何かつっかえの様なものが見えたら、鍵は閉まっている。

 建て付けはリディアの経験で確認した。逃走時に、建て付けの悪い扉がルートにあると、思わぬ時間を食う可能性がある。そこで、リディアは逃走ルートの確認と同時に必ず扉の建て付けを確認するのだ。

 かなりの数、扉の建て付けを確認したリディアは一目で扉の建て付けがよいか悪いかを判断できるようになった。

 「あ、本当だ開かない」

 リディアは扉に触れて、本当に開かないか確認した。確かに開かなかった。

 リディアなら、万が一の時に鍛えた脚力で扉を破ることもできた。そして、何か工具があれば扉を解体することも可能だ。だが、リディアはそれをしない。

 リディアは男性に取り入るための能力、秘書スキルや家事能力、誘惑の為のイロハなど以外を秘匿している。事前にこちらの手の内を晒すと、逃走時に対策される恐れがあるからだ。

 リディアは自分に扉を開けることが出来ないフリをして、控室前を後にした。

 その途中で、リディアは扉に奇妙な感覚を抱いた。扉を閉めていたのが物理的なつっかえではなく、心理的なつっかえの気がしたのだ。リディアは鍵がかからず建て付けも正常な扉が開かないと、催眠術かなんかで思わされているのではないかという結論に至る。

 「あの扉は……?」

 他の扉も、開かない扉と見た目はなんら違いはない。何故あの扉だけ開かないのだろうか。いや、何故開けられないのだろうか。

 その結論に至ったのは、扉の仕組みが原因だった。鍵を閉めると扉からつっかえが現れて開かなくなるタイプのドアは、鍵を閉めてもドアノブは完全に回せる。控室の扉も、鍵の開閉を扉から出るつっかえから判断した通り、このタイプだ。

 しかし、あの扉のドアノブは、途中で回せなくなった。

 これはどういうことだろう。リディアは考えた。

 「お腹減った」

 お腹の減った頭ではまともに考えられず、すぐに思考を放棄したのだが。


 宵越テレビ本社 カフェ


 宵越テレビにはカフェがある。実質社員食堂だが、外部の人間も使える。大盛り宵越牛鍋丼という、宵越しの焼き豆腐(豆腐屋で、一日中水に付けてあった奴。宵越テレビの自家製豆腐というわけではない)を使った自虐的メニューが有名。

 そこの丸いテーブル席に、藍蘭、スカーレット、彩菜の三人がいた。

 「今日は疲れたなー。お腹ペコペコ。大盛り宵越牛鍋丼って、美味しくて安くて量あるのね」

 「じゃあ、私がご馳走するわ」

 早朝から新幹線に乗り、昼過ぎまでを移動に費やした藍蘭はクタクタだ。彩菜はそんな藍蘭とスカーレットをカフェに呼び、何か相談したいことがあるんだという。

 藍蘭は食べ物で釣れたが、スカーレットは藍蘭で釣れた。彩菜が釣り人なら、入れ喰いの大量でいい気分に違いない。

 だが、彩菜にはそんな入れ喰いを楽しむ余裕はなかった。表には現れてないが、遊人や愛花のような観察力に優れた人間なら気付くだろう、微細な変化はある。

 「今日は相談があるの。サイバーガールズのメンバーじゃない藍蘭さんや、口の固い赤野だから言える」

 「何ー?」

 藍蘭は真剣な彩菜の表示と裏腹に、軽く聞いた。あまりこちらが固くなっても、空気を余計に重くするだけだから、藍蘭の対応は結果として正しい。

 「赤野はともかく、藍蘭さんはサイバーガールズ総選挙の途中経過を知ってる?」

 「知らない」

 彩菜の問い掛けに、藍蘭はサラっと答える。

 サイバーガールズ総選挙とは、ファンによるメンバーの人気投票である。総勢40人以上のメンバーから、頂点が決まるのだ。

 投票には、まずCDを買って付属の投票券を手に入れる必要がある。それに好きなメンバーの名前を書き、ポストに入れれば投票完了。複数CDを買えば、一人何票でも投票可能だ。

 また、公式ファンサイトでの投票もある。ファンサイトに会員登録してると、一票投票可能だ。携帯サイトとPCサイトでアカウントを共有せず、二つアカウントを作ったりすればこれまた複数投票可能だ。

 そんな仕組みを持つ総選挙だが、先日途中経過が発表された。

 「途中経過は、私が3位だったわ。赤野が1位で、2位はユナ、4位は縁、5位が瑠璃」

 「スカーレット1位? パネェ! スカーレットさんマジカッケェ!」

 「……」

 彩菜が途中経過を読み上げると、藍蘭が全力の称賛をスカーレットに送る。スカーレットはかなり照れていた。

 そんな全力の称賛を聞いてか、スカーレットのファンらしき高校生が二人、カフェに突入してきた。藍蘭も先程見かけた長篠高校の制服を着ている。

 「赤野さぁーん! 来ましたぜい!」

 「あんまり騒がない方がいいとは思うが、興奮は隠せない!」

 その高校生はゲーム研究部の部長と佐竹だ。スカーレットは夏恋、冬香経由で彼らの立場と名前を聞かされていた。握手会では毎回来るから、顔は覚えたのだ。何回も列に並んで握手しにくるのだ、二人とも。

 サイバーガールズのCDには握手会で使える握手券がついているのだ。だが、複数のCDを買って複数のメンバーと握手するならまだしも、同じ人と握手するとは珍しい例だ。これはCDの販売戦力を立てたプロデューサーも想定外の事態だった。

 スカーレットもそんな一途なファンがいるから頑張れるのだ。

 「「ぜひ握手をぶはぁ!」」

 「黙れ」

 カフェの入口から机や椅子を押しのけ、二人がスカーレットに接近した瞬間、佐原が横から現れて二人を蹴飛ばした。二人はカフェのカウンター席まで吹き飛ばされた。机と椅子の被害は計り知れない。

 「さ、ごゆっくり」

 佐原は去った。彩菜は戸惑いながらも、話を続ける。

 「私、意外に順位が高くて、戸惑ってるのよ。こういう時、どうしたらいいかなって。赤野なら、例え私より順位が下でも相談できたし……」

 「たしかに。私が彩菜より順位下でも、それは私の力が及ばないだけだからね」

 「イッツクール。ま、スカーレットみたいなドライな奴しかいないなら、彩菜さんも困らないよね」

 藍蘭の言う通り、自らの敗北を冷静に分析できる人間は少ない。実際は、嫉妬や妬みがサイバーガールズ内に蔓延り、さながら大奥の様な状態となっているのだ。

 彩菜は自分への評価が基本的に低い。だからか、予想以上の上位から来る戸惑いも仲間達からの嫉妬や妬みが上乗せされ、彼女を押し潰すのだろう。

 「つまり、他のメンバーの恨みつらみが気になると?」

 「そういうことになるわね」

 藍蘭がとりあえず問題をまとめる。そして考えること数秒、藍蘭はある結論に至る。

 「恨みつらみ……嫉妬に妬み……そうだキラートレインに行こう」

 「え?」

 「いつものこと」

 彩菜は藍蘭の結論に驚いたが、スカーレットは藍蘭がおかしな結論を導き出すことに慣れていた。流石パートナー。

 「今DPOで開催されてるキラートレインイベントで気分転換をしよう」

 藍蘭がいきなり脈絡の無いことを言い出した背景には、気分転換でスッキリしようという意図がある。

 藍蘭はウェーブリーダーを取り出し、辺りを見渡す。ウェーブリーダーだけではログイン出来ない。

 「ネット端末は……」

 「あ、控室なら使えるよ」

 ネット端末を持たない藍蘭は、ログインできなかった。中学生が携帯を持つというのは、現在でもあまり例を見ないことだ。

 彩菜は公共の場でログインするのは危険だと考え、控室に行くことにした。ログイン中は現実の体が無防備となり、何されるかわからないからだ。命の危険をウェーブリーダーが感知すれば強制ログアウト機能が働くが、命に別状がないことは全てスルーする。

 彩菜やスカーレットの様なアイドルのみならず、最近では藍蘭の様なリアルではモブキャラ同然の中学生まで狙う変質者がいる。そんな理由からなのか、インフェルノもログイン時は鍵のかかる個室などを利用することを推奨している。

 彩菜の提案で、藍蘭とスカーレットも控室に行く。彩菜は撮影が近く、控室が使えるのだ。


 DPO アトランティックオーシャン 海底駅


 そんなわけで、藍蘭、スカーレット、彩菜の三人はログインした。キラートレインイベントに参加するため、海底にある駅に着ている。

 一般的な都会の駅と変わりない見た目だが、空がガラス張りで海が見える。アトランティックオーシャンは水没惑星なのだ。

 「さて、電車に乗ろう」

 藍蘭の先導でホームに移動する。キラートレインイベントは、その名の通り電車に関係するイベントだ。

 イベントの内容としては、惑星の重要交通機関である電車を先住民が乗っ取ったので、先住民を倒して電車を取り戻そうというイベントだ。電車の中で戦うのだ。

 先住民とは、DPOプレイヤー達が宇宙からの移民という設定なのに対し、元々舞台となる惑星にいた人々を指す言葉だ。

 プレイヤー達と同じ人間もいるが、犬人間フェアウルフなど姿の違う種族に虐げられていた。そこを、プレイヤー達移民が虐げられていた人間と協力して解放したという設定。

 特権を持っていた犬人間の様な種族は特権を剥奪され、平等な社会が惑星にもたらされた。だが、特権を持っていた者達は移民による改革に反対し、各地で現在も蜂起を繰り返しているのだ。

 「ホームに着いたね」

 藍蘭達はエスカレーターを降りてホームに到着。後は電車を待つだけだ。藍蘭達は移民、そして現在電車を乗っ取っているのは先住民。先住民の蜂起は100年以上続き、すぐ大人になる先住民の性質や大人達の歪んだ教育、加えて高い繁殖能力などにより、鎮静化の兆しは見られない。

 『一番線に普通ドルフィンプラント行きが十三両で参ります。危ないですから、黄色い線の内側まで下がってお待ち下さい』

 「電車が来た」

 「楽しみ」

 「気分転換ね」

 藍蘭、スカーレット、彩菜はそんな社会的な設定を知ってか知らずか、武器を確認してアナウンスと共に来た電車に乗り込む。

 電車が十三両編成の理由はスタート地点とゴール地点が電車の両端に各一両あり、先住民が潜伏する客車十両、電車の中間に休憩地点が一両あるというものだからだ。敵がいるのが十両でも、スタートやゴールなどを含めると、十三両になってしまう。

 移民、プレイヤー達にとっては電車を乗っ取るという先住民による命懸けの蜂起も、一時の楽しみを得るイベントに過ぎない。それを知ってか知らずか彼らは乗っ取った電車に、享楽気分の少女三人を乗せた。

 だが、この時は先住民も移民も気付かなかった。紫基調のパンク衣装を着た紫髪の少女が、体から伸びる蔦を使って天井に張り付いていることに。


 宵越テレビ本社 カフェ


 遅めの昼食でもしようかとカフェを訪れたリディアは、驚くべき光景を見た。

 「貴様、我々赤野親衛隊の邪魔を!」

 「排除するぞ!」

 「親衛隊がしたいなら、制服を脱げ。私立高校の経営は特に、風評に左右される」

 男子高校生二人と女子高生一人が全力の戦いを繰り広げていた。二人相手に余裕で押している女子高生に、リディアは見覚えがあった。

 「佐原凪……! 今日はマクドにしよう」

 リディアはガチバトルに巻き込まれないように、佐原に見つからないように、マクドのクーポンが愛用の鞄にあることを確認してカフェを立ち去った。


 DPO 電車内


 「終わった牛鍋丼っと」

 走り出した電車内、藍蘭は始めから絶爪を使って快進撃。もう三両目だ。乗車したスタート地点となる車両を含まないため、実質四両の客車を突破したことになる。

 だが、ややこしくなるので、ほとんどのプレイヤーがスタート地点やゴール地点などの敵がいない車両を数に入れない。

 キラートレインは一般の電車と同じ間取りなので、狭い。

 キラートレインは、電車の中にいる先住民を倒してゴールにたどり着けば、次の駅に停車というルールだ。スカーレットと彩菜は、藍蘭が積み上げた死体の山を見て呟いた。

 「藍蘭は食べ物がかかると強いですね」

 「早いわね。さすが学園騎士の会長さん」

 死体の山には、茶色い毛で覆われて犬の頭をした犬人間、青い鱗で覆われた半魚人マーマン、植物の身体を持つ植物人間マンドレイクがいた。

 植物人間を見て、藍蘭は朱色が言っていたことを思い出す。花の生えたエネミー。植物人間に花が生えたらさぞややこしいだろう程度に藍蘭は捉えていた。

 四両目に突入した藍蘭は、手に木の実を生やした植物人間にしかける。植物人間は手が花の蕾か木の実かで、攻撃手段が異なるのだ。

 「【袈裟斬り】!」

 藍蘭は絶爪を横に凪ぐ。藍蘭の装備する『刀術』スキルの基本技だ。『片手剣術』でいうとこの、ライジングスラッシュてある。

 ただ、爪の様に三本の刀を指に挟んだ状態で発動すれば、技の印象はかなり異なる。

 さらに、藍蘭は『千人斬り』スキルを持つ。これは、技を発動した直後なら、技の効果が残った状態の武器をしばらく振り回せるのだ。千人斬りで袈裟斬りをした場合、しばらく左右に高速で刀を振り回せる。

 「えいっ!」

 後から来た半魚人に袈裟斬りを返す刀で攻撃。この攻撃には、袈裟斬りの速度補正と威力補正がかけられている。

 斬られた半魚人は緑色の鱗をしていたが、これは淡水に住む半魚人だからだ。海水に住む者が青い鱗を持つのだ。

 後ろの車両から、今度は紫色の鱗を持つ半魚人が殺到。たった四人だが、狭い電車内だとそれでも殺到レベルの人数だ。

 「深海半魚人!」

 「任せて! 【フルボルト】【ラムダスパイク】!」

 驚いたスカーレットに代わり、彩菜が槍を突き出す。『雷魔法』スキルの技によって槍が電流を帯び、突きの威力が倍増する。

 「【燕返し】!」

 体制を立て直したスカーレットは両手に刀を持ち、その両方から斬撃を出す。これは刀術スキルの遠隔攻撃で、片手剣術でいうとこのスワローテイルだ。

 彩菜とスカーレットの技で、深海半魚人も全滅。一行は歩を進め、五両目も難無く突破。五両目と六両目の間には、インターバルの敵がいない車両がある。

 彩菜は先程の深海半魚人が紫色だったことから、サイバーガールズの紫担当に思いを馳せる。

 「紫っていえば、縁ね。縁は縁起が悪いからって、深海半魚人とかの紫色のエネミーを倒さないようにしてたわ」

 「願掛け、ね。縁大好きだもん、そういうの。アバターは紫パンクのくせに」

 藍蘭は休憩地点に用意された自販機で飲み物を買い、ゴクゴク飲んでいた。何故か藍蘭は、マズイと有名なガラナという炭酸を飲んでいる。これがお気に入りなのだ。

 ガラナは北海道で実際に売られている炭酸飲料だ。子供用の咳止めシロップみたいな味がして、少し飲む分にはおいしいが、一缶もなかなか飲めない。500ミリリットルのペットボトルなど、狂気の沙汰だ。

 「あー美味い!」

 「ガラナをペットボトルで一気飲み……!」

 「遠方の飲料、というロマンで藍蘭の味覚は破壊されているのです」

 その狂気の沙汰をやり遂げた藍蘭に驚く彩菜。スカーレットはいつものことと冷静だ。さすがパートナー。

 愛知県にもジョージアのマックスコーヒーというご当地ドリンクがあると、彩菜はあかりから聞いたことがある。九州のご当地ドリンクも気になった彩菜だが、咳止めシロップのガラナ、コーヒーなのに練乳入りで破壊的な甘さのマックスコーヒーとくれば、ろくなものでないものが来るに決まってると詮索をやめた。

 名物に美味いもの無しとはよく言ったものだ。その土地の名物は、その土地の人間には美味いかもしれないが、よその土地から来た者には味覚が合わないという場合が往々にしてある。

 その後、藍蘭がガラナから力を得たのか、あっという間に最後の車両まで到達した。

 「駅で準急に乗り換えね」

 彩菜が誰もいない先頭車両で停車を待つ。キラートレインにはランクがあり、普通、準急、急行、特急、快速特急、新幹線と上がる。ランクはゴールの車両に到達すれば電車が駅に止まり、乗り換えが出来て、それで上がる。

 新幹線を突破すればクリアだが、イベントのランキングはキラートレインでどれだけ敵を倒したかで決まる。先住民一人につき1ポイントとなる。

 電車が止まり、三人は駅に下りる。彩菜の足取りは、イベント前に比べると軽い。気分転換になったようだ。

 「準急からはボスが出るし敵も増えるから、気を引き締めないとね!」

 「何か来るよ?」

 彩菜が藍蘭とスカーレットに呼びかけるが、藍蘭は何かを目撃したようだ。彩菜の声色からは悩みが消えていた。

 藍蘭の見たものを確認するため、彩菜は駅のホームを見渡す。水没惑星らしい海底のホームは長く、彼女達は一番端にいた。そして、藍蘭が目撃したものは反対側の端にいた。

 「あれは?」

 彩菜が見たのは、紫色のパンク衣装を着たアバター。そのアバターに彩菜は見覚えがあった。

 「縁? なんで?」

 そのアバターは紫野縁のものだった。だが、ここにいるのは変だ。キラートレインの電車内や途中の駅などは、パーティーごとに別のマップが用意される。つまり今この場には、彩菜、藍蘭、スカーレットしかプレイヤーはいられないはずだ。

 「様子が変」

 スカーレットは縁の異変に気付いた。縁のアバターからは、蔦の様なものが生えていたのだ。縁は武器の紫色をしたギターを取り出す。

 「サイ……ナ、アカノ……」

 「縁?」

 明らかに様子のおかしい縁に、彩菜は戸惑う。藍蘭とスカーレットは武器を構え、縁との距離を積める。

 「コイツ、エネミーだ!」

 「多分、知り合いに化けるタイプの。私と彩菜、縁をフレンド登録してるでしょ?」

 彩菜が戸惑っている間に、二人は相談して答えを出したのだ。キラートレインのルールで、ここにプレイヤーが自分達以外いるのはおかしい。つまり、この場にプレイヤーがいたら、それはエネミーが化けたものということだ。

 プレイヤーに化けるエネミーは前例が無いわけではない。何より、化ける対象にパーティーの内二人がフレンド登録してある縁を選んだところが、プレイヤーに化けるエネミーである可能性を高めていた。

 その手のエネミーは対峙するプレイヤーが、フレンド登録してあるプレイヤーに化けるのだ。

 「デュエル申請無しで攻撃出来たらエネミー確定だな」

 藍蘭がそういうと、縁はギターを地面に叩きつけた。器楽スキルのショックノイズ。振動を起こして相手の動きを止める技だ。

 藍蘭とスカーレットは直前に跳んで回避したが、彩菜は振動を受けてしまった。

 「エネミー確定だ!」

 藍蘭は三本の刀を構え、縁に接近する。そして、技を放つ。

 「【飛天円月斬り】!」

 この技は、回転して周りのエネミーを切り裂く技だ。突進技なので、少し離れた相手にいきなり接近して攻撃するという方法も可能だ。

 縁は巨大な爪に引き裂かれ、ギターを落とす。

 「これでっ!」

 藍蘭は接近したまま、もう一度飛天円月斬りを放つ。千人斬りスキルのおかげで、身体を捻り回転するだけで技が出せた。補正がしばらく付いたままになるので、さっきと同じ動きをするとボイスコマンド無しで技が出せる。

 システムのアシストは無いから複雑な動きの技は無理だが、身体や刀に速度や威力の補正が残ったままだから、技を真似て攻撃せずとも、通常攻撃だけで十分速くて強い。

 「【死刃舞】!」

 藍蘭が次に発動したのは、複雑な動きをする技。踊る様な足取りで、縁を切り刻んでいく。この死刃舞には相手を出血状態にする効果がある。出血状態は徐々にHPを失う状態異常。毒状態と違い、動かなければHPが減らないというわけではないため、そこそこ厄介だ。

 死刃舞の妖艶でなまめかしい動きは、藍蘭を一時、遊郭の舞子に見せた。縁を切り裂く度に舞う血飛沫が、より美しく藍蘭を彩る。

 「あらよっと!」

 踊りの終わった藍蘭は、死刃舞の補正が効いた刀を振り回して、めちゃくちゃに縁を切り裂いた。さっきとはうって変わって妖艶さも美しさもない動きだが、血飛沫の量も倍増していた。

 千人斬りの便利なとこはこの様に技の補正がしばらく続く点だ。強力な技は、動きが大きく連発出来ない。だが千人斬りスキルなら、その威力補正を維持しながら通常攻撃を行える。つまり、強力な技特有の大きな動きをキャンセルできるのだ。

 死刃舞は威力が高いが、舞う様な動きのせいで手数が少ない。だが、藍蘭は千人斬りスキルのおかげで、死刃舞の威力を無茶苦茶な手数で縁に喰らわせてれるのだ。

 「おっと!」

 藍蘭は縁が蔦を伸ばして鞭の様に振った左手を、屈んで回避する。その隙にスカーレットが接近し、攻撃を喰らわせる。

 「【大雀蜂】!」

 右手の刀だけで、出血効果を持つ突き技を縁の胸に突き立てる。スカーレットが刀を引くと、藍蘭が立ち上がって追撃する。

 「【大雀蜂】絶爪バージョン!」

 スカーレットと同じ技だが、絶爪では威力が違い過ぎた。縁は思い切り弾き飛ばされ、ホームを何度も跳ね回り、藍蘭達から20メートル離れた場所でようやく止まった。

 度重なる出血効果で、縁の周りは血の海だ。DPO随一の名コンビは、正体不明の敵を見事なコンビネーションで倒した。

 「あれ?」

 彩菜はそこでおかしな点に気付いた。化けるタイプのエネミーは、倒すと変身が解けて正体が明らかになる。しかし、縁に化けたエネミーは倒されても正体を明かさないのだ。

 さらにいえば、縁が先程彩菜と赤野の名前を呟いた。だが、両方ともDPOに登録してない本名だった。彩菜はイエロー、赤野はスカーレットと名前を登録している。

 おまけに、ボスの類は準急以降からしか登場しない。この縁には、おかしな点がいくつかあるのだ。

 「いろいろ変ね……」

 「準急行くよー!」

 彩菜はしばらく考えたが、準急に向かう藍蘭の声で思考を放棄した。キラートレインに来たのは気分転換なのに、難しいことを考えてしまうところだった。

 彩菜は電車に乗る。そして、準急の電車は走り出した。その電車が去った駅のホームで、縁のアバターは立ち上がった。


 宵越テレビ本社 カフェ


 「まだやってる……」

 リディアがマクドで昼食を終えて戻ると、カフェでは佐原、部長、佐竹の戦いが最終局面。

 「こいつ、強い!」

 「私は後、二回の変身を残しているのだよ佐竹くん」

 宵越テレビの警備員が数人参戦したようだが、その全てが佐原に片付けられた。それ以降、警備員は戦いを止めに入ってないようだ。

 「見つかると面倒だな……」

 佐原に見つかると後が面倒なリディアは、そそくさといなくなった。先程見た開かない控室が気になり、もう一度様子を見に行くことにした。

 エレベーターに乗り、控室があるところまで戻った。地図はもう頭に叩き込んだ。

 「まだやってる」

 控室が並ぶ廊下を歩くと、まだスタッフが騒いでいた。工具すら用意してない有様で、宵越は上も下も無能揃いだ。

 「あ、まだやってたんだ」

 「工具は?」

 「ここって、縁の控室よね?」

 そこへリディアが見知らぬ中学生、赤野、彩菜の三人が来た。彼女達がしばらく前に見た時も、こんなことをやっていたのだ。

 リディアが知らない中学生は、もちろん藍蘭である。ゲームで藍蘭を知る者も現実の彼女を見て藍蘭とは気づかないだろう。

 「さて、ご飯にしましょう」

 藍蘭と赤野の二人は彩菜に誘われ、そのままカフェに向かった。リディアは激闘の舞台と化したカフェの惨状を見てきたので、ご愁傷様としか言えなかった。

 次回予告

 バトラーです。縁さんが来ませんね……。何やら悪い予感がします。

 明日は氷霧さん達、熱地学院大学に行くそうです。氷霧さんのお兄様が資料の整理に来るそうですから、お兄様に会いに行くつもりなのでしょう。

 さらに、懐かしい顔もいくつか……。

 次回、ドラゴンプラネット。『犠牲者達』。

 次回も是非、ご覧下さい。


 サイバーガールズメンバーリスト


 河岸瑠璃 生存(第5位)

 稲積あかり 生存(第6位)

 木島ユナ 生存(第2位)

 黄原彩菜 生存(第3位)

 赤野鞠子 生存(第1位)

 紫野縁 生存……?(第4位)

 上杉冬香 生存(第8位)

 泉屋宮 生存(第11位)

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