24.憎しみの末路
長篠高校 校門前
俺、氷霧、クインは朝日の下、長篠高校の校門にいた。遂に熱地との決戦なのだ。
「というか、教えられた次の日に決戦とか、かなり慌てた」
「あたし達が来たのも結構ギリギリなのね」
エディの死から一夜明け、早くも最後の戦いだ。泣いても笑っても、これが最後だ。
「さて、控室まで行くか……」
「気分悪い」
控室まで行こうとした俺達だが、氷霧が早くも体調を崩した。そうか、高校だもんな。高校生の大半は携帯を持っている。だから、その電波を氷霧は受信してしまったのだ。
そこへ、自転車に乗った順がやって来た。ヘッドフォンらしきものを持っている。
「やーやー、お待たせ。電波の受信を防ぐアイテムを持ってきたよ」
「それが?」
順が氷霧に渡したヘッドフォン。それが電波を防ぐらしい。しかし、一晩でやったのか? お前はジョバンニか。デスノートのラストを思い出した。
「実はエディの部屋に、いくつかラディリス・ソルヘイズ博士のレポートがあってね。電波を受信する人間に関するレポートもあったよ。そこには、この先携帯などが普及して、電波などを受信し過ぎて発狂しないようにする装置の設計図もあったよ」
「お前は……最初から合い鍵持ってるんだな、エディの部屋の」
順はソルヘイズ博士のレポートを参考にして、このヘッドフォンを作ったらしい。設計図があれば、一晩で出来るよな。ていうか、幼なじみだから当たり前なんだろうけど、最初から合い鍵持ってるとかちょっとジェラシー。
「しかし、そんなレポートがよく有ったな」
「ソルヘイズ博士の研究は、幾つか実用的でないものがあってね。デステアじゃ研究出来ないから、研究の完成を老後の楽しみにしようと、実家へレポートや資料を送ってあって、事故で消し炭になることなく無事だったみたいなんだ」
「研究熱心」
老後の楽しみに研究とは恐れ入る。氷霧は気分がよくなったらしい。骨の髄まで科学者なソルヘイズ博士のお陰で、氷霧は能力の副作用から免れたのだ。
「ソルヘイズ博士の研究成果は、今は殆ど熱地が独占してるが、それも今日で終わりだ。ま、熱地が目を付けた研究より、レポートが残っていた研究の方が実は価値が高いんだけど……」
「勝ってに終わりにするな、松永順!」
ソルヘイズ博士の研究について、順が現状を説明していると、スーツを着た大学生くらいの男が校門の前で叫んでいた。氷霧のとは違うイヤホンを装備している。
「おやおや、世紀末覇王の熱地南十郎くんだ。ついにそれに手を出してしまったな。それはとても危険だと言ったのにー」
順は棒読みで言う。なるほど、コイツが熱地のお偉いさんか。まだ若造じゃないか。そういえば、俺が昨日見た動画で、佐原会長に心臓マッサージという名の暴力を受けていたおじいちゃんが熱地学院大学の理事長、熱地南晴朗らしい。
ホントに雰囲気が世紀末救世主か覇王みたいな名前の南十郎は、やたら偉そうに言った。そのうち「シャオゥ!」とか言って、俺達をスライスにし始めるんじゃないか?
「馬鹿だな順よ! 所詮は司法を司る松永、裁判は出来ても頭脳じゃ熱地に勝てんわ!」
「僕はどちらかといえば、熱地寄りの人間だけどね」
「知るか! 貴様はわざわざこのゲームが強くなる道具を、荷物が多くて持っていけないから私に危険だと教えた! そんな単純極まりないフェイクに私が引っ掛かるか! ちょうど、今回のチーム戦用に三つあるし!」
順は何か、ゲームが強くなるアイテムを用意したのか。だが、それは敢えて熱地に使わせるように仕向けたようだ。
まさかと思い、一応俺は確認を取る。
「おい順。あれって副作用があるんじゃ……」
「あるよ。最悪死ぬね。あれは円卓の騎士団が他のプレイヤーよりアドバンテージを取るために、脳波の伝達量を倍加したんだ。だから、脳に負担がかかるし、ペインアブゾーバーも使えない」
やっぱり。どうやら南十郎は、順の忠告した副作用をフェイクと思ったようだ。そして、意気揚々と装着。馬鹿だ、阿呆だ、間抜けだ。
「貴様らはお陰で一個しか用意できなかったようだな! 馬鹿め! 阿呆め! 間抜けめ!」
いやお前だよ。と言いたいところをグッと堪える。コイツには死ぬほど痛い目にあってもらいたい。
「我々熱地学院大学は私に御祖父様、そして父上のチームだ!」
「新キャラ?」
「今更新キャラ出されてもねぇ……」
「もしかしてこのペースだと、渦海空気かもね」
南十郎が発表したチーム構成を見て、氷霧、クイン、順が感想を漏らす。熱地の直系チームだが、熱地を知らん氷霧とクインが見たら新キャラにしか見えんだろうな。順は渦海の出番を心配した。
「例えるなら、そうだな。ジオングにシャアじゃなくて新キャラ乗ってたみたいな気分か? 今のお前ら」
「あー、わかる」
「わからない」
クインは俺の例えを理解出来たが、さすがに氷霧は無理か。ここまで趣味の違う友人も珍しい。
そこへ、スーツを着て太った中年男が出て来た。多分熱地の誰かなんだろうが、なんか、妙に小物臭いな。『小物の匂いがプンプンするぜーッ!』と言いたくなる。
「私が熱地南太郎、南十郎の父だ」
「ただのオッサンじゃん」
クインが正直な感想を漏らす。たしかに、変哲もないオッサンだ。どこぞの中間管理職と紹介されれば、まだ熱地の人間と紹介されるより信用できる。
さらに、車椅子に乗った老人が現れた。動画で見たな、佐原に踏まれた奴か。つまり、熱地南晴朗だ。
「貴様ら……許さがふぅえげふぇしょりょしへっ!」
「うるさい」
南晴朗は氷霧に一蹴された。
まともに喋れず一蹴された南晴朗はさておき、そこへ佐原会長がやって来た。何やら、賞品と書かれた箱も持っている。
「それは?」
「最近発売の稼動フィギュア。ラディリスのやつが出たんだ」
賞品の箱から出て来たのは、これまた箱。箱は透明フィルムで窓が開けられ、中身が見える。これは……エディのアバター、ラディリスか。
「花の塔であの人に渡した景品もこんなんだったな。氷霧のやつだったけど」
「インフェルノは有名なプレイヤーの、こういうグッズも売ってるよ」
なるへそ。佐原に言われて初めて知った。他にも、似たような箱とフィギュアが出て来たぞ。おやこれは……、
「って、墨炎のもあるのか……。俺知らないぞ?」
「事後承諾だね」
まさかの事後承諾。知らんどる間にフィギュア出来とるがな。まあ、墨炎フィギュアは嬉しいが。
「では、双方控室へ行きたまえ。墨炎チームは保健室、熱地チームは合宿室へ」
「了解」
佐原の指示に従い、俺達と南十郎達は移動した。さて、さっさとログインを済ますか。熱地は南十郎が南晴朗の車椅子を押している。佐原の応急処置はよほど強引なものらしく、後遺症が残ったみたいだ。
まあ、佐原は緊急回避とかなんたらで罪には問われないらしいが。
俺達墨炎チームは保健室が控室だ。玄関から校舎に入ると、すぐ近くに保健室がある。
保健室に入るとクインが早速ベッドに飛びつく。
「氷霧、一緒に寝よ」
「ログインするだけだぞ……」
氷霧はクインと一緒のベッドに寝る。ログインするだけだが、仲がいいな。
俺も隣のベッドに腰を下ろす。さすがに俺まで同じベッドに寝るのは、スペース的にも倫理的にもマズイ。墨炎の姿ならまだしもな。
私立だからって、ベッドが特別フカフカで高級なわけじゃない。長篠は業者に掃除を頼めないくらいカツカツなのだ。
「さすが、私立のベッドはフカフカだね!」
「眠い。気持ちいい」
だが、ベッドに寝転んだクインと氷霧は何か勘違いをしている。ナンセンスだ。私立に希望を抱き過ぎだ。
さて、携帯を開いて確認するか。デュエルの申し込みが熱地チームから来てるはずだ。
俺はドラゴンプラネットのメニューから、デュエル申し込みを確認する。来てる来てる。
俺は携帯と耳にウェーブリーダーを装着。夏恋から貰った赤いやつは、今日は持ってない。
俺が代わりに取り出したのは、オレンジ色のウェーブリーダー。言うまでもなく、エディのウェーブリーダーだ。
「一緒に戦ってくれ、エディ」
「さて、あたし達も行きますか!」
俺はパーティーにクインと氷霧を設定、チーム戦を受ける。さて、フィールドはどこになるかな。
俺は世界が一周する様な、慣れた感覚を感じながら意識を墨炎に移した。相変わらず墨炎の身体は軽やかだ。細身で小柄な身体はメアと比べると頼りないが、懐かしい感覚だ。
服装はいつものワンピースじゃない。フード付きのワンピースは一緒だが、ワンピースは前開きの丈が長いカーディガンをワンピースとして着てるだけで、袖は半袖だ。普段は長袖なのだがな。
赤いアンダーリムの眼鏡も装備。普段と印象が違う。
「あたし達は普段通りだけどね」
「墨炎最終決戦装備」
クインと氷霧はいつも通り。だが、それがいい。コイツらまで変わったら落ち着かない。
いや、クインはやたら重装備だ。ショットガン『ベネリM4』を背負い、機関銃『ウルティマックス100』を手に、ホルスターにはハンドガン『ベレッタ90TWO』とマグナムリボルバー『スミス&ウェッソンM29』、ベルトには手榴弾。機関銃の弾まで襷掛けして、どこの傭兵だ。
装備の名前だけは索敵スキルのお陰で表示され、理解出来たが、詳しくは知らん。後で調べよう。
「さて、熱地の阿呆共は……」
俺は熱地チームを探す。周りの景色も見えてきた。これが今回の戦闘フィールドか。
今回のフィールドは、何やら病院みたいな施設だ。ここは、そのロビーだ。
「これは当たりだな。研究施設だ」
「当選」
クイン達によると、これは当たりフィールドらしい。だが、相手が見当たらないのはどういうことだ?
「敵は遠くだよ。探そう」
「そうだな。索敵スキルの出番か」
俺は索敵スキルを全開にして敵を探す。索敵スキルは物陰に隠れた敵の姿が見えたり、後ろから敵が接近したらアラートが知らせてくれる便利なスキルだ。
「さて、奴らは……」
何も反応がない。俺のスキルでは届かない範囲にいるのか。俺達は、熱地を歩いて探すしかない。
目の前に別の棟へ続くらしい廊下がある。まずはそこを調べるか。奴らは散り散りになってこちらを探し回ってるだろうし、俺達は一緒に行動しよう。
「戦力を固めて一網打尽だ」
「一対多は有利」
「銃もあるしね」
長めの廊下を渡ると、たくさん部屋のある場所に着く。ここは宿泊施設か? 部屋もベッドがあったり、泊まるには充分な設備が整っている。
「研究員が泊まる場所か」
しかしながら、デュエル用のフィールドにしては広いな。プレイヤー同士の銃撃戦でも期待してんのか?
とりあえず俺達は、部屋に誰もいないのを索敵で確認しつつ調べる。
「うひゃひゃ、宝の山じゃー」
部屋にはクインが喜んだ通り、いくつかの弾薬や手榴弾があった。このフロアを調べ尽くす頃には、最強のクインが出来上がっていた。
「さあ熱地め! 蜂の巣にしてくれる!」
「危ない」
氷霧の言うように、チートもしてない初心者相手にこんな重装備じゃ、危ない人にしかみえない。
クインが完全にターミネーター化した時、俺の索敵スキルに反応があった。熱地チームのプレイヤーだ。天井越しに、赤い影となって見える。相手は上だ。さて、ここは近くに部屋があるだけの廊下、階段は少し遠いが、
「上にいくぞ!」
「その必要はないわー!」
上に行こうとした俺と氷霧だが、クインは機関銃を天井に向けて乱射。ていうか……、
「場所わかるのか?」
「あたしにも索敵スキルがあるのさ!」
クインも索敵持ちだったか。ならいいや。赤い影は階段に向かって移動。下に降りる気か?
「工作スキル!」
クインはメニュー画面を開き、工作スキル発動。俺達を部屋に押し込め、部屋の扉に何かを仕掛ける。
この部屋は先程の宿泊施設。氷霧はクインがしてることが理解できたのか、ベッドに潜り込む。
「準備オッケー。後は待つだけの簡単なお仕事です」
クインは仕掛けを終えて、俺達のとこに来た。扉には、紐と手榴弾でブービートラップが仕掛けられていた。
「なん……だと?」
「楽しみ楽しみ」
クインが索敵スキルで熱地のプレイヤーを見つけたらしく、ニヤニヤして待った。プレイヤーは索敵スキルで、名前の表示が見えるとこまで来た。名前は、南太郎。あの小物は一つひとつ、部屋を確認しているらしい。
そして、俺達がいる部屋の扉に手をかけた。
「ぐあああっ!」
そして爆発。しかし、鉄の鎧を冗談みたいにしっかり装備していたお陰でダメージは少ない。破片をばらまくタイプの手榴弾には強いか。
「今だー!」
クインは機関銃を南太郎にぶっ放した。いくら鉄の鎧とはいえ、ジワジワダメージを受けている。銃に対して鉄製防具は相性がよく、ダメージがあまり通らない。だが、こんだけ乱射されれば関係ないか。
「喰らえ!」
クインはマグナムリボルバーまで発射。これは鉄製防具相手にもしっかりダメージを与えられる。
「ぐおっ!」
顔面にヒット。南太郎は何も出来ずに倒れた。クインは追い撃ちに、燃焼手榴弾を投げる。
ごうごうと燃えて、南太郎は焼け死んだ。HPがもう無い。
さて、南太郎はほとんど一言も喋れずに戦闘不能。残り二人だ。
「下に南晴朗くんがいるね」
「クインの索敵は広いな」
クインは下を見て南晴朗の存在を確認した。俺にはわからないが。
さすが、戦いの年季が違うな。索敵スキルの範囲が全然違う。スキルは使えば使うだけ成長するから、年季の違いは顕著に現れる。
俺達は南太郎の屍を乗り越えて、廊下の突き当たりにある下へ向かう階段を下りた。このフロアを探索した時に見た上へ向かう階段と違い、狭くて暗い。
階段も鉄製だし、足音がよく響く。
階段を下りた先には、鉄の扉がある。そこを開けると、ゴミ捨て場になっていた。コンテナに入れられたゴミが目立つ。
そのゴミ捨て場の中央に、南晴朗のアバターはいた。プレイヤーネームも南晴朗だから、間違いない。
「南晴朗!」
「エディの仇か……!」
初期装備全開のアバターが南晴朗か。俺より先に、氷霧が弓を構える。アバターはモデルみたいな体型に顔立ちで、装備よりこちらに金を費やした感じがある。アバターはエステである程度改造可能だ。
「ワシが熱地の当主、熱地南晴朗じゃ! 若造が……ワシに勝てると……」
「勝つ」
氷霧はまだ喋ってる南晴朗に矢を射る。矢は南晴朗の右肩に当たり、南晴朗が吹き飛んだ。
「立て」
「氷霧が怖い……」
氷霧の底から冷えた様な声に、さすがの俺もビビる。恋人だった俺より、感情がある分怒りが激しいのか。緋色との戦いで心を取り戻した俺だが、今だ上手く感情を表せない。
南晴朗もその感情を肌で感じ、倒れたまま後ずさりした。だが、南晴朗のHPはレッドゾーンになっただけである。
「おのれ小娘! 【リベレイション=ハーツ】!」
南晴朗はボイスコマンドを叫ぶ。南晴朗の手元に現れたのは紫の液体が詰まった注射器だ。明らかにヤバいものだ。
「ん? なんぞこりゃ?」
『注射すればいいと思うよ?』
困った南晴朗に、朱色が助け舟を出す。声だけでのアドバイスだ。まあ声色からして、朱色は俺達がどうせ勝つと思ってるみたいだが。
『今はリベレイション=ハーツのリミッターを解除してるし、君は改造ウェーブリーダーを使っている。もしかしたら一撃で敵を殲滅できるかもね』
「なら、やるぞい!」
南晴朗は立ち上がり、右腕に注射器を射す。すると、すぐに変化が現れた。
「うおおおおっ! なんか力が出た気がするのじゃー!」
「気のせいでそんなに叫ぶな!」
南晴朗の上半身が肥大化した。右手は巨大になって鋭い爪に変化し、左腕はそのままなのでどこかアンバランスだ。肥大した心臓が身体の外に露出する。初期装備の服がビリビリだ。
「凍れ。【フローズンアロー】」
だが、氷霧はまたも一蹴。南晴朗の心臓に氷の矢を放つ。心臓が目に見えて凍り付く。氷は血管を通して全身に広がった。
「むおおおっ、動けん!」
南晴朗は動けない。せっかく巨大化したのにな。さらに、氷霧は追い撃ちをかけていく。
「【連動魔法】」
氷霧が構えた弓に、炎が燈る。
「あれは連動魔法! 武器に魔法の効果を付与するスキル!」
クインはわざわざ解説。だがイマイチわからない。俺は発動を楽しみに待った。
「【ラヴァウェーブ】」
氷霧は魔法の名前を呟く。弓で引かれた矢の鏃が、溶岩になる。
「【ペネトレイトアロー】」
氷霧は矢を放つ。凍って動けない南晴朗の身体に溶岩の矢が貫通する。貫通した矢は南晴朗の背後にあるコンテナに刺さり、溶岩の波を起こした。
「ぐぎゃああああああ! 熱い、熱いいいいいっ!」
溶岩の波に呑まれた南晴朗は、解凍されたが溶岩で溺れた。しかし、ペインアブゾーバーが効いてないような反応だ。そういえば、ペインアブゾーバーが使えないんだっけ、改造ウェーブリーダーだと。
「なるほど、武器に魔法の効果を追加するのか。エディは魔法は魔法、技は技で使ってたけど、これなら同時に出せるな」
思い出されるのはエディのシステム外必殺、ソルヘイズのラスト。あれは技の後に、しっかりボイスコマンドを入力しているな。
南晴朗は焼け焦げて倒れた。さっきから、普段は頭上に表示されるHPゲージが見えないから戦闘不能かどうか解らない。
「まだ形態変化があるのか……?」
「あるね!」
クインが嬉々として言った。そして、南晴朗は左腕も肥大させて立ち上がった。肩から胸、背中にかけてトゲが生えた。
叫び声は、もはや意味が聞き取れない。人の声というより、獣の鳴き声だ。
「この場所には焼却炉がある! 汚物は消毒だー!」
「よし! 【フルフレイム】」
クインの提案で南晴朗を焼却炉で焼くことに。俺は新たなスキル、『炎魔法』を使う。両手の剣に、炎が燈る。昨日、頑張って育てたんだ。
「バーニング……、【ライジングスラッシュ】!」
右手の剣からライジングスラッシュ。炎の斬撃が南晴朗に直撃。傷口が発火する。
「まだまだ! バーニング、【シザーネイル】!」
左手の剣からは突き技、シザーネイル。南晴朗はこれだけでかなりのダメージを受けたらしく、後ろへ後退する。
「喰らいな、【ボマーバレット】!」
クインの機関銃の銃口に、赤いスコープの様なエフェクトが現れる。そしてもちろん乱射。大量に撃ち込まれた弾は、南晴朗に突き刺さっているようだ。そして爆発。
南晴朗はさらに後退。焼却炉らしき扉が見えてきた。開閉レバーもある。隣にはガスボンベ。確実な焼却炉。
俺はふと、足元を見る。何かのレールが走っている。それは焼却炉まで続いていた。その逆の方には、ゴミのコンテナ。コンテナのタイヤがレールにしっかり掴まっている。コンテナの横には、床に付けられたレバー。
俺の頭に、とあるゲームのワンシーンが過ぎる。バイオハザードの、コードベロニカか。あれは飛行機に乗り込んだ敵モンスターを、荷物射出で外に放り出したな。
それで、南晴朗を確実に焼却炉へ落とす策を思いつく。
「クイン、このレールから離れて、南晴朗を足止めしろ! 氷霧は焼却炉の扉を開けるんだ!」
氷霧とクインは俺の言葉に頷き、移動した。氷霧は焼却炉の開閉レバー、クインはレールから離れてマグナムリボルバーを取り出す。俺もコンテナ横のレバーへ動く。
クインはマグナムで南晴朗の両膝を撃ち抜く。南晴朗は膝を付いて動けない。氷霧は焼却炉の扉を開けたようだ。焼却炉が開かれる。
「今だ!」
俺はレバーを倒し、コンテナを射出する。コンテナの速度は遅いが、力強い動きだ。南晴朗は両手でコンテナを押さえるも、踏ん張りが効かずにコンテナに押されていく。だが、焼却炉の寸前で踏ん張った。惜しい。
「しつこいよ!」
クインがマグナムを4回撃つ。当たった南晴朗もダメージに耐え切れず、少し弱る。すると、コンテナが焼却炉の方へ傾き、中身をこぼす。中身は廃油だ。南晴朗は油まみれになり、滑って焼却炉へ転落した。
焼却炉は深い穴のようだ。氷霧は焼却炉の扉を閉めた。扉は店のシャッターみたいに降りてくる。
氷霧は焼却炉のスイッチを押し、南晴朗を焼いた。油まみれの南晴朗はさぞかしよく燃えただろう。
さすがに南晴朗もあれで力尽きたか。しかし、南晴朗の雄叫びは止まない。しかも、何か上ってくる音がする。
「まさか……」
扉が大きく凹む。いや、俺達の側からは扉が尖って見えた。まさか、南晴朗が生きているのか?
「きぇあああああああっ!」
扉をぶち破り、凄まじい雄叫びを上げて南晴朗は復活。下半身も発達し、四足歩行になった。首周りに生えてたトゲが歯になるように、ワニみたいな顎が出来ていた。皮膚も鱗になっている。
先程もバイオハザードを思い出したが、ワニといえばアレだろう。俺とクインは顔を見合わせ、焼却炉の隣にあるガスボンベに目を向ける。氷霧はネタが解らないらしく、首を傾げていた。
「氷霧は南晴朗の足止めだ!」
俺がそう言うと、氷霧は頷いて南晴朗に向き合う。俺達はガスボンベを取り外す作業に取り掛かる。幸い、ガスボンベは固定されていない。二人で協力すれば運べる。
「氷霧、避けろ!」
クインが、氷霧に噛み付こうとする南晴朗にガスボンベをぶん投げる。南晴朗は矢だらけになって、カチンコチンに凍っている。氷霧の足止めだ。
ガスボンベに噛み付いた南晴朗は、歯がボンベに刺さって抜けなくなる。俺の出番だ。遠隔技があったよな。
「バーニング、【スワローテイル】!」
炎の燈る右手の剣を振り、炎の帯がガスボンベに直撃する。ガスボンベは大爆発を起こし、南晴朗の新たに生まれた頭部を吹き飛ばす。
だが、南晴朗は止まらない。仮の頭部が砕けたくらいじゃ死なないか。さて、どうしよう。
「スイッチの隣に地図あったけど、向こうに硫酸の処理施設ある」
氷霧が近くにある、大きな搬入口に走り出す。なるほど、硫酸で溶かす作戦か。車でゴミを搬入するらしき道に、俺とクインも急ぐ。
南晴朗も俺達を追い掛けてきた。四足歩行の獣は、焦げたまま凄まじい速度で走る。この道は直線で、南晴朗が入っても床と天井の間に余裕がかなりある。
「消えろ!」
クインは何処からともなく取り出したロケットランチャーで南晴朗の左前足を撃つ。南晴朗は左前足を吹き飛ばされ、歩行速度が遅くなったようだ。
凶悪なことに、ロケットランチャーは4連装。残り3発は身体にぶつける。黒煙を上げて、南晴朗はさらに行動を遅くする。
「さて、通路の向こうには硫酸の処理施設があるな」
行き止まりに、厳重な扉がある。見覚えのあるバイオハザードマーク。処理施設と書かれている看板がある。この扉は、南晴朗より大きい。
扉の隣にあるコンピューターをクインが操作して、扉を開ける。さて、後はどうやって南晴朗を落とすかだ。
処理施設は、硫酸のプールになっている。扉の向こうに少しだけ、手摺りのない足場があるだけだ。
「さて、落とす!」
南晴朗が俺に向かって突進してくる。氷霧とクインは脇に避けている。
「【リベレイション=ハーツ】!」
俺はリベレイション=ハーツを南晴朗にぶつかる瞬間に発動。翼を背中に生やし、天井まで飛ぶ。南晴朗は止まり切れず、処理施設に落ちた。
「グオオオオッ!」
南晴朗は硫酸のプールで溺れた。溺れた時に水を飲む要領で硫酸を飲むもんだから、身体の中から焼け爛れるだろうな。ついに南晴朗は沈み、赤い液体が硫酸に滲む。
「やっと一人か」
「南十郎」
クインと氷霧はその様子を見ていた。あれが執念を具現化したリベレイション=ハーツか。まだ形態変化があるかも、と思えるくらいのしつこさだ。
「さて、戻るか」
俺達は搬入口、焼却炉のある部屋、狭い階段を通り、元の宿舎へ帰ってきた。
「さて、最後は南十郎だなっと」
クインが索敵スキルで宿舎中を探す。グルグルと見渡してるところから、なかなか見つからないようだ。
「あ、いたいた!」
クインが南十郎を見つけたらしく、そこへ向かう。俺と氷霧も追う。宿舎の最上階、そこに南十郎のアバターはいる。階段を上る途中にも、俺の索敵で見えるようになってきた。
「ようやく見つけたぞ!」
南十郎は宿舎の廊下にいた。明らかにモブ臭いアバターで、装備よりアバターの外見に金を費やしたらしい。アバターはエステで改造できるが、そんなに元のアバター気に入らなかったのか?
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!」
「ぎゃあああっ!」
クインが機関銃を乱射。南十郎は廊下の曲がり角に隠れた。たしかに怖いもんな。今のクイン。今回、クイン無双だな。最終決戦なのに。
「逃げる!」
「待ちやがれ!」
南十郎が逃げる宣言したので、俺も追う。二人も一緒に来ている。南十郎は分が悪いな。こっちは三人なのに。
だが、すぐに宿舎の一室からあいつが現れる。しつこいあいつだ。床や天井をぶちやぶって、ここまで上ってきたのだ。
「南晴朗!」
「しつこいね!」
「墨炎、先に行く。私達が足止めする」
俺は氷霧の言葉に頷き、南十郎を追う。南晴朗は飛ばされた足が復活して四足歩行の獣のままだが、背中に水ぶくれみたいなデカイ腫れ物がある。よくみたらコイツ、背中と腹がひっくり返っている。さっきまで腹だった場所が背中になっていた。
「化け物め!」
俺は南晴朗にそれだけ言うと、南十郎を追う。このじいさんにしてこの孫あり、とならなければよいが。
権力や命への執着が生んだ化け物、いわば、『固執生物』。執着、固執、そうしたものが歩いてるのとなんら変わらないのが、さっきの南晴朗だ。佐原に殺されかけ、熱地そのものも順に破壊されかけてなお、権力にしがみつく心がある。リベレイション=ハーツが解き放ったのは、そんな心だ。
さて、南十郎を追ってる内に渡り廊下に出たな。隣の研究棟へ行けるのか。研究棟を走り抜け、南十郎を追って走る。墨炎は歩幅が狭いから、走るのも南十郎より遅いのか?
アバターの筋力が同一に調整された環境では、歩幅が足の速さを決める。
「待て!」
南十郎は水道施設と書かれた扉に飛び込んだ。俺も扉に入る。水道施設は、真ん中に柱がある、円柱状の縦長空間だ。柱に貫かれる形で、円形の足場がある。扉から足場までは橋があった。つまり、壁と足場の間には、足場の無い空間があるな。
「なんか、衛星兵器の砲口みたいだな」
俺は昨日の戦いを思い出す。足場には、南十郎が立ち往生だ。追い詰めた。
観念したのか、南十郎は俺に振り返った。武器も防具も初期装備で、勝ち目なしだろ。
「フッ、来たか。だが、私には力がある!」
南十郎はいきなり切り掛かってきた。凄まじい速度だ。これが改造ウェーブリーダーの力か?
「貴様の攻撃など、いくらでも避けれる! 頭が冴える!」
「あっそ」
だが、俺には南十郎の構え方で軌道が読めた。場所が解れば、なんとでもなる。インフィニティ能力でな。
「えい」
「ぎゃあああああああっ! 痛い!」
南十郎が向かってくるルートを予測し、俺は切り掛かった。南十郎はザックリ斬られてかなり痛そう。ペインアブゾーバー効かないと大変だな。
「くそっ! よくもこんなゲームを出来るな! 痛いではないか!」
「改造ウェーブリーダーには、ペインアブゾーバーがないんだよ」
俺の武器もさして強くないから、南十郎なHPはイエローにもなってない。では、ここから攻撃を加えていくか。
「【フルフレイム】」
移動で切れたフルフレイムをかけ直す。剣に炎が燈る。だが、南十郎は即座に、ボイスコマンドを叫んだ。心を武器にする、あのコマンドを
「【リベレイション=ハーツ】!」
南十郎の手には、怪しげな粉薬が握られていた。南十郎は何の躊躇いもなく、粉薬を飲む。ヤバいものに決まってる。
「痛みが引いた! HPも回復したぞ!」
「仕方ないな。バーニング【ライジングスラッシュ】!」
HP回復は面倒だ。俺は急いで南十郎に向かうが、バーニングライジングスラッシュは避けられた。無駄のない回避だ。
先程から俺はバーニング何とかと技を言ってるが、それは気分だ。バーニングに意味はない。双剣術の技を使う時は、バーニング変えてみるか。
「ブラスト【ソードリバレート】!」
両手の剣を交互に振るソードリバレート。その乱撃を、南十郎は難無くかわしていた。改造ウェーブリーダーを使ってるくせに、南十郎はドヤ顔だ。
「そんなものか!」
「いや、観察は完了だ!」
南十郎が突き出した剣を俺は回避して、反撃に出る。観察できれば、俺のインフィニティ能力で……。
「バーニング【ライジングスラッシュ】!」
「ぎゃあああ痛いよおおおおおおっ!」
右手から不意のライジングスラッシュ炎付き。南十郎はザックリグッサリ身体を斬られた。おまけに傷口から発火する。
「バーカバーカ!」
「ぐっ……」
薬で傷が治った程度で強くはならない。形勢は変わらなかった。だが、しつこさは南晴朗並だった。
「薬で!」
南十郎は粉薬を飲んで体力を回復。毎回全回復されたら敵わんな。さて、どう一撃で仕留めるか。なら、これはどうか。
「ブラスト【ソニックレイド】!」
「ぎゃあああ!」
双剣術の突撃攻撃、ソニックレイド。南十郎を吹き飛ばして回復をしばらくできないようにした。南十郎は吹き飛ばされて、回復どころではない。
全感覚投入ゲームで怖いのは吹き飛ばしだ。なにせ、体勢を立て直すのに時間がかかる。
「ブラスト【マグナムX】!」
Xの字を書く炎が南十郎に飛ぶ。体勢を立て直す前に連続攻撃だ。俺は両手の剣を合体、ツインランスモードにする。
「【フレイムバーナー】!」
両方の剣先から炎が吹き出る。あれを墨炎アレンジで喰らわせてやる! システム外必殺、ソルヘイズ!
吹き出る炎をコントロールして、ツインランスをプロペラの様にして飛ぶ。ツインランスだと、両方から炎が出るから工夫が必要だった。
南十郎の上空につくと、炎を出したまま降下開始。ツインランスを解いて二つの炎が出る剣で勢いを付ける。翼を使うより、バーナーの反動で飛んだ方が降下は速い。
「バーニング【シザーネイル】!」
「わああああああ!」
右手から出たシザーネイルが南十郎に直撃。さらに、トドメの魔法を出す。
「【ラヴァウェーブ】!」
溶岩に飲み込まれ、南十郎のHPはついにレッド。武器が弱いのと、魔法は敵の弱点に合わせないとあまり強くないのが原因で、倒すまで至らなかった。
「おのれー!」
溶岩から立ち上がった南十郎は、錠剤をラムネみたいにバリバリ食べる。良い子は真似するなよ。だがHPは全回復。
「【ヒートスナイプ】!」
「ぶっ!」
そこへ大量の弾丸が飛ぶ。弾丸が飛んできた方向から、クインと氷霧が走ってきた。
「南晴朗を倒したのか?」
「いや、まだ生きてる!」
そう言うクインの後ろからずかずかと南晴朗がやって来た。何をどうしたのか、ぐちょぐちょのずるずるである。つまり、原形を留めてない肉塊がやって来たのだ。
「熔鉱炉に落としてやったのに!」
「しつこい」
とりあえず肉塊に驚いている南十郎はスキだらけ。そこへ、俺はもう一つのシステム外必殺をぶつける。
「ああああああ高いとこダメなんだよ!」
俺は翼を生やして空を飛び、南十郎を上空へ連れていく。そこで手を離し、
「ブラスト【ガーネットディザイア】!」
四方八方飛び回って南十郎を斬る。さらに俺は昨日の練習中、このガーネットディザイアの特殊なポイントを見つけた。技の間にも、魔法が撃てるのだ。
「【フレイムボール】!」
斬る度に基本的な炎魔法をぶつける。これがシステム外必殺、ルナティックディザイアを改良したブラスティアディザイア!
「墜ちろ!」
技のラスト、俺は南十郎を南晴朗の化け物に向けて落とす。背中にはまだ、水ぶくれみたいな腫れ物がある。
「ぐあああ! 熱い、痛い! なんだこれは!」
南十郎は腫れ物に激突。腫れ物が潰れて膿が吹き出す。膿の正体は硫酸だ。化け物も焼けた南十郎で腫れ物を潰され、かなりダメージを受けている。
だが、これで終わるとは思えない。特に化け物。しかし、立ち上がったのは南十郎だ。南十郎は注射器を身体に刺した。
「なんか……薬中が悪化していく過程を見てるようでナンセンスだな!」
南十郎の身体は肥大化し、左腕は巨大な爪になる。肥大したものの、身体のバランスは取れている。心臓は露出しているが。
「しつこいな! だが、時間はたっぷりあるしゆっくりと……」
「いや、あまり時間がないようだ」
クインの予想に反して、時間は無い。俺は自分の両手を見て、そう感じた。赤い粒子が身体から漏れ、両手が消えかかっている。
そう、俺は死にかけていた。エディが死んだ時と同じだ。すっかり忘れていたが、俺の寿命は短い。
「瞬殺だ! 俺が死ぬ前に倒す!」
「なんだかわかんないけど、そりゃ早い方がいいね!」
クインがショットガンを撃ち、南十郎の右腕を吹き飛ばした。氷霧は矢を心臓に射る。南晴朗の時と同じく、少々鈍くはあるが血管を通して氷結が広がる。
「おおおっ……!」
「いくぞ! 【クロスダイブ】!」
俺は止まった南十郎に走り、双剣術を叩き込もうとする。相手は化け物の上。上るのが面倒だ。
だが、化け物の残骸を上ろうとして足が止まる。何かに足を掴まれた。
「なっ……」
足を掴んだのは南晴朗の化け物の右手。太い手が、墨炎の細い足を掴んでいる。アバターの力ではびくともしない。
「くっ、この!」
俺は南晴朗の腕を蹴って見るが、ダメージはない。仕方ないから、あの技を使おう。
「【シロクロタイふぐっ……!」
シロクロタイフーンを使おうとしたら、南十郎の爪が墨炎の身体を切り裂いた。衝撃で剣を落としてしまう。
傷は深く、HPがレッドゾーンに突入した。だが、南十郎の攻撃は止まない。繰り返し、爪が墨炎を引き裂く。
「くっ……!」
「墨炎!」
氷霧が駆け寄ってくるが、俺は手をかざして制止した。奴らは俺を餌に、氷霧とクインをおびき出す気だ。実際、初めの一撃以外は手加減して、俺が戦闘不能にならないようにしている。
「うぐっぅ……!」
そこへ、ついに痺れを切らしたのか、南十郎の爪が墨炎を貫く。口から大量の血が漏れる。HPがどんどん減っていく。
だが、爪に俺を突き刺せば、俺から逃れられない。つまり、避けられることなく……、
「【リベレイション=ハーツ】」
攻撃できる。それに気づいたのか、南十郎は俺を振り回して爪から抜こうとする。
「墨炎……!」
「何する気だ?」
氷霧とクインの声が聞こえる。こいつらは待避させた方がいいな。俺にも何が起こるかわからない。
「お前ら……下がってろ!」
俺がそう言うと、クインは氷霧の手を引いて水道施設から出た。それでいい。
「お前ら喜べよ。こんなにかわいい女の子が、心中してくれるってさ!」
俺は突き刺さった南十郎の腕を掴んだ。俺の手には、何やら赤い模様が浮き出ている。赤い模様を中心に、墨炎の身体が燃え始めた。
炎が身体まで達した時、俺の視界が赤く染まった。