番外 金環日食
今回は本編時間軸な上に金環日食だぜい。
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熱地との決戦前日 岡崎市 インフェルノ本社
「墨炎。何見てるの?」
インフェルノ本社のロビー。そこのベンチで金の指輪を眺めている遊人に、氷霧が近寄る。遊人の呼び方は墨炎固定らしい。
指輪は銀のチェーンが通され、遊人の首にかかっている。
「ああ。これはエディから貰ったものだ」
「ラディリスから?」
ラディリスはエディの母親の名前だが、氷霧やクインらプレイヤー達にとってはエディのアバターの名前というイメージが強い。
さらに、遊人の右手の薬指にはもう一つ、金の指輪があった。
「プレゼント交換しようとしてな。金の指輪がダブったんだよ。指にはめてるのは俺がエディにあげたやつ。お守りに借りてきたけど、エディのお墓には入れるよ」
遊人は二つの指輪を見比べて呟いた。プレゼント交換とはアベックらしいイベントだが、まさか指輪が被るとは不思議な現象だ。
そこへ、クインが歩いてきた。さっきまでインフェルノが貯蔵していた、資料用のモデルガンを見てきたのだ。
「指輪?」
「ああ。俺が指輪を選んだのは、似合うかなーって思ったからなんだが……」
エディから貰った、首にかけてる方の指輪を遊人は見た。
「エディは金環日食をイメージして選んだらしい」
「金環日食? あの、太陽と月と地球が一直線に並んだ時に見られる?」
「解説」
クインが丁寧に金環日食を解説。金環日食とは、クインが説明した条件を満たすと見れる現象である。通常の日食は太陽が欠けて見えるが、金環日食は太陽がリングに見えるのだ。
「どういうイメージ?」
氷霧が聞くと、遊人は昔を懐かしむように答えた。
「金環日食って、クインが言ったように太陽と月が一直線、重ならないと見えないだろ? エディが太陽で、俺が月。金のリングは一緒に居るって象徴なんだそうだ」
「へぇー。リア充爆発しろ」
クインはお約束の台詞を吐く。ゲーマーかつリア充とは珍しいキャラ構成。
遊人は金のリングを見て、強く言う。彼にしては珍しく、語気に抑揚がある。
「金のリングは象徴だ。生死ごときじゃ俺達を断ち切れん!」
「お腹へった」
「そうだそうだ。今日の晩御飯どうする?」
「おいおい」
氷霧とクインはそれをスルーし、晩御飯のことを考えていた。
花より団子と、言ったところか。