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ドラゴンプラネット  作者: 級長
第一部
4/123

視界ジャックその1 保護者と被復讐者

 ドラゴンプラネットとは?

 ドラゴンプラネットとは、最新型のシステムを利用したオンラインゲームである。

 プレイヤーは『自然惑星ネイチャーフォートレス』、『機械惑星ギアテイクメカニクル』、『水没惑星アトランティックオーシャン』いずれかの住民となり、突如現れた巨大な惑星、『ドラゴンプラネット』から侵略を狙うドラゴン達に立ち向かうのだ!

 (『暗黒惑星ネクロフィアダークネス』は一周年記念に実装されたもの)

 愛知県警 『連続無差別切り裂き魔事件』捜査本部


 「でさ、ガイシャの話は?」

 「傷は命に別状ないですが、恐怖のあまり記憶が定かじゃないそうです」

 物々しい雰囲気に包まれる捜査本部。その中に彼女の姿はあった。

 直江愛花、遊人の育ての親だ。

 年齢的に親子というほど放れてなく、愛花は遊人と姉弟みたいな関係を築いている。

 長い髪をポニーテールに結った若い女性。美人の類いに入る整った顔立ちとプロポーションだが、いかんせん勝ち気で男勝りなので近寄り難い。

 「あー。犯人殴って事件解決せんかなー。俺はちまちました捜査よりガサ入れでドンパチやんのが性にあってんのよ」

 「愛花さん、警察は軍隊じゃありません」

 「そういうちまちましたことが得意な人が言うと説得力ありません」

 舎弟同然に連れてる部下二人からツッコミを入れられ、手にとった資料に目を通す愛花。彼女はサッパリして面倒見のよい性格ゆえ、慕う後輩や部下が多い。

 「なに? 今度のガイシャは遊人のクラスメイト? 行くぞお前ら、事情聴取だ」

 「私情挟みすぎ」

 愛花は被害者の名前を確認し、とっとと本部を出て行ってしまう。

 男前な言動に確かな捜査技術、直江愛花が他の刑事たちから慕われる理由はこれだ。上司も実績を知るから、多少なり彼女が私情を挟もうがなにも言わない。


 市民病院前


 時間的には遊人が恐怖の性別逆転事故の結末を部員に語った日の夜、切り裂き魔事件に新たな被害者が出た。

 名前はこの場では伏せておく。

 「全く、マスコミは蟲だよ。人の不幸に蝿の様にたかる」

 愛花の周りに何かの機械の部品やコードが散らばっている。愛花は警棒をパシパシと手で持て余しながら、マスコミを批判した。

 被害者の精神に悪影響を及ぼすため、マスコミには取材を自粛させてる。しかしホットな話題だけに報道は加熱、結果として愛花がマスコミを『粛正』することとなった。

 警察と名乗ってないし、目撃者=被害者みたいな状況で中継カメラを最優先で破壊したのが幸いし、とくに問題にはならなかった。

 マスコミは報道の自由を盾に好き勝手やるからな、愛花は呟いた。彼女自身、幼少の頃は過激な報道の被害者であった経験がある。親友が冤罪で捕まり、間違ったままマスコミが犯人として報道した。間違いがわかった後もマスコミは修正や謝罪をせず、親友を自殺に追い込んだ。

 「愛ちゃん愛ちゃん、被害者の子はショックで記憶が定かじゃないのよ」

 「聞いた、だからマスコミを無双乱舞で叩きのめしたんじゃん」

 病院から騒ぎを聞き付けた癒野が出てくる。愛花と同い年くらいの彼女は、司法解剖を担当する解剖医にして被害者のケアを行うカウンセラーでもある。

 「マスコミって過激。愛ちゃんもだけど。最近、マスコミは今回の事件、DPOプレイヤーが全感覚投入の影響で現実とゲームの区別がつかなくなっての犯行とか言ってるし」

 「マスコミは話盛ることにかけては一流だからね。この切り裂き魔事件は、DPOが大々的に広告される前からちょくちょく方向されている」

 愛花にDPOの情報を流し、結果的に遊人のログインを後押ししたのは癒野だ。愛ちゃんと呼ぶあたり、親しいらしい。

 「療子、俺は実はホシの目星が付いてるんだ。ホシだけに」

 「さすが破天荒刑事独走派。教えて」

 癒野の下の名前は療子というらしい。愛花は自分の推測を口にする。

 「この事件、実は九州でも昔、確認されてる。私が遊人を引き取った時期だな。そして、犯人は九州の時と同じ。皮肉なことに、犯人は遊人と関わりがある」

 愛花は言った、犯人の名前を。

 「××……、××」


 東京都新宿区 とあるマンション


 「このゲームにマイナスな印象を与えるために、論文かけとさ。まったく、大人はこれだから嫌いだね」

 新宿区にあるマンションの一室。そのソファで一人の少年が封筒から書類を出して言った。封筒には熱地学院大学と書かれている。

 「順の家って、最高裁判官の家系よね? なんで科学者してるの?」

 傍らに座る金髪の少女が順と呼ばれた少年に寄り掛かりながら言った。

 「適材適所さ。松永家の人間だからといって、全員裁判官に向いてるわけではない」

 「そう」

 少年の名前は松永順。遊人の弟だ。双子であり、顔立ちが非常に似ている。だが、髪は黒く、顔立ちも多少幼く見える。

 「で、仕事はどうするの? あの熱地学院大学だし……」

 「するさ。学会を牛耳る熱地学院大学にコネを作るチャンスだ」

 順は書類をめくる。

 「何故大人はゲームを忌避するのだろうね」

 遊人が生きる意味、復讐の相手は物思いに耽った。金髪の少女は眼鏡をかけて順を見つめる。

 「で、コネを売ってどうするの?」

 「どうするって、決まってるさ。目的を果たすんだ」

 順は見つめ返して答える。少女は順に倒れ込む。順も少女を抱きしめた。別に恋人同士ではないが、幼なじみなので男女を越えた関係を気づいている。故に、抱き合ったりキスしたりなどは彼らにとって日常茶飯事だ。

 「ただ、問題は兄さんかな……」

 順は少女が振り撒く太陽の香りを嗅ぎながら、別れた兄を思い出した。

 お詫び


 『2.チュートリアル』にて、なんかややこしい事態になってたことをお詫びします。もう修正しました。

 リーザってのは夏恋のアバターの名前で、メビウスリングから転載する際にカレンに変更したのを、修正が不十分で読者の混乱を招いてしましました。

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