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ドラゴンプラネット  作者: 級長
第一部
12/123

6.騎士団の氷霧

 ドラゴンプラネット チュートリアル4

 騎士団

 グループと読む、DPOにおける攻略グループ。

 人数制限がないためか、大小は様々。また、騎士団ホームを設けることができる。

 デュエル

 プレイヤー同士の対戦。DPOにおいてはプレイヤー同士による合意のみで行われる。よって、DPOにPKプレイヤーキルの概念はない。騎士団同士に及ぶものを、集団戦と呼ぶ。

 5月27日 長篠高校


 「なあ夏恋」

 「なんだい白髪廃人」

 放課後の俺は今自分がしている行動の意味が掴めず、夏恋に聞いた。

 「なにが悲しゅうて、俺は一人で旗など作ってるのだ? ナンセンスか? ナンセンスなのか?」

 「係でしょ、ガンバ☆」

 「☆って言うな」

 俺は今、DPOにログインしたい衝動を押さえつつ、必死に学級旗を作っていた。他のクラスメイトが部活でこれないため、奴らの部活が終わるまで俺が一人で旗を作りざるをえない。最近変な夢見るし。

 DPOの墨炎が双剣使いのせいか、俺は両手に刷毛を持って高速で旗を塗り終えそうだ。

 「ふはは、この俺に戦いを挑もうなどナンセンスだな! トドメだ、【シザーネイル】!」

 双剣術の突き技で、旗に描いたピカチュウのほっぺを塗り終えた。あいつら来る前に終わったぞ。あーあ。

 夏恋、涼子、煉那は先生とピカチュウのハリボテを作っている。俺達は体育祭の準備に追われているのだ。ハリボテはパレードで使う。

 「俺、帰っていいか? 最近、変な夢見るし」

 「いいぞ帰れ帰れ」

 「変な夢?」

 煉那がぞんざいに扱うため、帰ることにした。しかし、涼子が食いついた。涼子は最近夢占いにはまっている。

 「変なって、アバターのボイスエフェクトに似た声がボソボソ呟くだけなんだが……。渚じゃないのが残念だ」

 「それじゃ占えないや。帰れ」

 涼子までもが俺をぞんざいに扱う。俺はかばんを持ち、急いで教室を出た。一日で旗を仕上げた働きは、みんなより早く帰るのに相当するらしい。

 俺がこんなに帰宅を急ぐのはわけがある。

 今日、DPOのアバター、墨炎をゲーム内写真に収めてクラスメイトに見せたのだが、

 『あまり女の子らしくない』

 『服装がかわいくない』

 『もとがかわいいのに残念』

 とか言われたため、俺は墨炎を女の子らしく飾るため、DPOにログインすることにした。


   @


 帰り道を急いで歩くと、前方に見覚えのある人影が見えた。

 「理架か、久しぶりだな」

 「あ、直江先輩」

 中学の後輩、真田理架だった。ショートカットの髪に眼鏡。図書室にいたら絵になるような奴だ。夏服のセーラーも合わさり、本当に文学少女みたいだ。

 そういえば、理架は俺が松永優だと気付いてないようだ。『あること』は言ってあるが。

 「最近どうだ? 生徒会長なんだろ?」

 「ええ、もう全感覚投入反対組合の件で大変ですよ。PTAが反対運動を激化させ過ぎて……。そういえば先輩、感情の方は大丈夫ですか?」

 理架が心配するのは、俺の感情。俺はあの、渚が殺された件で感情が壊死した。憎しみを除いて。

 「そういえば、なんか最近渚のことを話す機会があったんだが……。前と比べると記憶が曖昧だな。DPO始めてからだな」

 「それを忘れるくらい夢中になれるものが出来てよかったです」

 理架はホッとしたように言う。関ヶ原中も大変なようだ。長篠高校はあまりそういうことしてるって情報がないが。

 「関ヶ原中、このままだと悪いことが起きそうですね」

 理架が言う通り、PTAが動くということは関ヶ原中で悪いことが起きる前触れみたいなもんだ。俺が中学にいたころは、PTAの暴走でえらい目にあったもんだ。

 「伊達月人の事件か。あれはPTAの暴走だからな。奴らはああいうわけわからんものが大嫌いだしな」

 「二の舞にはさせません」

 「そうか」

 理架も完全にPTAの意見無視で動いてるし、二の舞にはならんだろう。心強い後輩だ。

 「んじゃな。PTAに負けんな」

 「直江先輩も、切り裂き魔にはお気をつけて」

 俺は理架とわかれ、家路についた。


 自宅


 家に帰ると、早速俺はログインした。

 「さて、ログインでもするか」

 慣れもしないフルダイブ感を通り越し、俺の意識は【墨炎】という少女の中に宿った。

 自室からゲーム内の自室へダイブする感じはまだ慣れず、体が借り物のように感じられる。

 「さて、どこ行こうかね」

 独り言ながら、自分が発してるとは思えないかわいらしい声に戸惑う。やはり慣れない。

 部屋を出て、来たのはプレイヤーホール。

 マイルームから少し歩いたとこにあるエレベーターを使うとたどり着く拠点だ。

 ここでは戦闘フィールドに行くための【トランスポーター】や各種ショップ、掲示板がある。クエストの類は【クエストカウンター】で受けられる。

 「クエストか……、いや、今はアバターを着飾ることに集中だ」

 俺はクエストの誘惑を断ち切り、【プレイヤータウン】の方へ足を向ける。そこはアバターを強化するものより、アバターの外見を飾るアイテムが売ってる。

 ひとまず、そこを見ておこうとしたのだ。なにかあるかもしれない、墨炎を飾るためのアイテムが。

 今着てる服、【メイルパーカー】は防具なので私服を探す。ナンセンスだしな、防具のままだと。

 このゲーム、防具と服が一体になってるので目的別でいちいち着替えるのが面倒臭い。なので大抵、防具で過ごす。しかし面倒だ。運営のインフェルノは何を考えているんだ? 公式が病気なのか?

 「俺は男なのに、アバターが女って……」

 俺は勇気を出して服屋に向かった。


   @


 ゲーム内時間で一時間、店を回っただろう。俺の隣に一人、増えてる。

 「騎士団の、サブリーダーなのか……。しかも大規模」

 「私自身は大したことないよ」

 増えるのはセミロングの白髪で左目を隠した、薄い紫の袴に胴着の少女だ。

 「墨炎はソロ?」

 「ソロソロだな。氷霧はパートナーとかいるの?」

 名前は氷霧。 DPOの攻略グループはまんま【騎士団グループ】と呼ばれ、その騎士団の中でも指折りの大規模実力派騎士団【惑星警衛士】のサブリーダーだそうだ。

 「リーダーのセイジュウロウさんが大学受験でいないから、一人」

 「そうか」

 しかし、ツッコミをいれなくて済む会話は久しぶりだ。夏恋と話しているとツッコミが必要になる。

 「いつもはセイジュウロウさんがツッコミやってくれるから、ボケられるけど……」

 「お前もツッコミ必要かい!」

 「ノリボケもできる」

 「ノリツッコミでなく? なにその必要性のないテク!」

 「ノリ弁もできるよ?」

 「ここで意外な料理スキル! ノリ弁限定かい!」

 「エンドレスツッコミ……」

 「ボケがエンドレスだからな!」

 どうやら、こいつもツッコミが要るようだ。セイジュウロウとやら、ご愁傷様だ。そろそろ買い物も終わったし、氷霧連れてクエストでも行くか。

 「さて、そろそろクエスト行こうか? 買い物も済んだし」

 「行く」

 氷霧はボケてるわりに口数もだが表情が少ない。新感覚、無口無表情系ボケか。とりあえず買い物も済んだし、俺はクエストしたい。

 氷霧の武器は弓。背負ってる矢筒から判断した。防具も胸当てに篭手と和風だ。

 俺と氷霧はプレイヤータウンを抜けてプレイヤーホールに戻ることにした。

 「そういや、氷霧の出身惑星ってどこだ?」

 「ネイチャーフォートレス。騎士団の本部もそこ」

 「本部があるのか……」

 俺達の会話は出身惑星の話題に移った。

 このゲームは五つの惑星を舞台にしている。一つはゲームのタイトルにもなってる【ドラゴンプラネット】。ここを冒険するには、少しゲームを進める必要がある。

 プレイヤーの出身惑星に設定できるのは四つ、選んだ惑星のプレイヤーマンションがプレイヤーの拠点になる。

 まず、俺【墨炎】の出身惑星である暗黒惑星【ネクロフィアダークネス】。永遠に明けない夜の惑星で、かなりリアルな都市の廃墟でバトルを楽しめる。

 氷霧の出身惑星【ネイチャーフォートレス】は豊かな自然と和風な雰囲気の惑星。

 他にも【ギアテイクメカニクル】と【アトランティックオーシャン】という惑星があるようだが、俺は詳しく知らん。

 「しかし、このドラゴンプラネットってなんなんだ? ドラゴンが住む星ってことくらいはわかるが……」

 「その惑星からドラゴンが侵略して来る。私達プレイヤーはそれを防ぐ」

 「最近のドラゴンは大気圏突入能力があるのか……。それって、ナンセンスだな……」

 氷霧は無表情に語った。どうやら氷霧の兄貴がDPOサービス開始時点からやっていて、その影響で始めたそうだ。

 「オープニングが凄かったって。地球から4惑星への移住50周年の記念式典で、いきなりドラゴンプラネットが上空に現れたって」

 「移住50周年の式典に現れる侵略者、いい設定だ」

 DPOのことを氷霧と話していると、クエストカウンターにたどり着いた。相変わらずワクワクするな、ここに来ると。

 先客がいたようで、和装のプレイヤーがちらほらいる。よほど珍しいのか、ザワザワと他のプレイヤー達が集まっている。

 「やっと見つけましたよ、氷霧さん」

 「う……、ナイト……」

 「知り合いか?」

 そのうち、青い胴着の男が氷霧に気づいて近寄って来た。それを見て、和装のプレイヤーがナイトというプレイヤーのもとに集まる。

 やじ馬の声を聞くと、やたらと惑星警衛士という単語が聞こえる。

 「無事でしたか、最近はチートプレイヤーが多いですから気をつけてください」

 「探しに来たんだ……」

 ナイトは氷霧にそう言った。オンラインゲームにもチートがあるんだ、初めて知った。ていうか、頻発してるみたいな言い方だが、このゲーム大丈夫か?

 すると突然、氷霧は俺の後ろに回り込んで肩を掴んだ。

 「この人、新しいパートナーにする」

 「へ? 俺を?」

 いいよね? と氷霧は俺とナイトに確認をとった。だが、大騎士団のサブリーダーほどの実力者から選ばれるとは、光栄だ。

 「俺はいいぜ」

 「僕はわかりかねます」

 ナイトは即答を躊躇った。騎士団のサブリーダーのパートナーなんて騎士団内にやりたい奴はたくさんいるだろうし、ナイトの一存では判断できないのだ。

 「わかりました、なら、墨炎さんが僕に勝ったら許しましょう」

 ナイトは条件をつけた。サブリーダーのパートナーには実力が要るということか。

 「面白い、受けてたとう!」

 俺はこの条件をのんだ。

 周りのやじ馬プレイヤーがざわつく。ナイトは騎士団でも指折りの実力者なのだろう。腕が鳴る。

 ナイトが腰のサーベルを抜く。なんで刀じゃないというツッコミを飲み込んで、俺はナイトに向き合った。

 ナイトは青白く発光するメニュー画面を操作した。すると、俺の目の前にメニュー画面と同じく、青白く発光するウインドウが現れた。

 『ナイトがデュエルを申し込んできました。受けますか?』

 「もちろん」

 俺はウインドウの『YES』をタッチした。すると、ウインドウの文字が変化した。

 『BATTLE START!』

 「こい! 貴様の実力、試さしてもらう!」

 ナイトがサーベルを構えて走り出した。ナイトの頭上にはHPゲージらしき赤色のバーがある。プレイヤーマンションでは表示されないはずの、俺のHPゲージも視界右端にある。

 「【ライジングスラッシュ】!」

 「危なっ!」

 ナイトはいきなり俺の顔面目掛けて剣を振ってきた。剣は右頬を掠めた。【ライジングスラッシュ】は単純な動きで高い威力を持つ初歩の【片手剣術】スキルの技だ。俺も使える。

 「てめぇ、俺の(アバターの)顔に傷を!」

 剣が掠めた場所には、血が流れていた。DPOは別に全年齢対象ゲームではないため、流血表現もありだ。腕も取れる。

 「喰らえ! 【シザーネイル】!」

 「効くか!」

 「左で【ライジングスラッシュ】!」

 双剣の強みは双剣術以外の技なら、左右別々のものを出せる点だ。今のは、右手で突き技、左手で斬り込み。左、右と発動する方の手を指示しないといけないから、プレイヤーに当てるのはなかなか高等テクだけど。

 「お返しだ!」

 「僕の顔に同じ傷を……」

 ナイトは防ぎ切れず、俺と同じ場所に傷を負った。だが、まだ気は済まない。顔に傷を負った時、女性の方が精神的ダメージがでかいと聞くが、どうやら本当らしい。墨炎の顔の傷、この程度ではおあいこにはできない。

 「受けろ! 【ライジングスラッシュ】乱れ撃ち!」

 「無駄だ!」

 やはり同じ技の連発ではダメか。なら、緩急をつける。技発動中にボイスコマンドを発すれば、別に左右の指示はいらないらしい。

 「【シザーネイル】【ライジングスラッシュ】【クロスダイブ】!」

 技の組み合わせ。【双剣術】の【クロスダイブ】も組み合わせた。が、ナイトは防ぎ切った。

 「なんどやっても同じこと! 僕は君の声と手首の動きで技をいち早く見抜いている!」

 「そうか! 【シザーネイル】!」

 「同じ技……? いや……」

 ナイトは戸惑った。それもそのはず、俺はボイスコマンドでは【シザーネイル】と言ったが、右手の初動操作は完全に別の技だ。

 正直、ボイスコマンドと初動操作のどちらが優先されるかなんて知らない。だからこれは賭けだ。

 手首は完全に【シザーネイル】を出す動き。発動したのは【シザーネイル】だ。

 「くっ、小癪な!」

 「俺にも出る方がわからないなら、お前にも防ぎようはない!」

 そう、ナイトはボイスコマンドと手首の動きを同時に見てると言った。だから俺は、ボイスコマンドも手首の動きもグチャグチャにした。

 「防いだ!」

 「どうかな?」

 ナイトは【シザーネイル】こそ防いだ。しかし、俺にはもう片方の剣がある。左手の剣が。

 「【ツインシザー】!」

 双剣術【ツインシザー】。左手を突き出し、右手を戻す。また左手を戻し、右手を突き出す。連続した【シザーネイル】と思ってくれていい。

 「しまった!」

 ナイトはこの攻撃をまともに受けた。いくら防具の性能が高かろうが、この猛攻は厳しいはずだ。

 予想通り、ナイトのHPゲージは技の終了と共に無くなった。

 『WIN 墨炎』

 「墨炎、勝った」

 今まで空気になっていた氷霧が呟いた。装備的な性能差のある戦いだったが、氷霧はこの結果を予想していたみたいな表情だ。

 「実力はある様だな。なら、氷霧さんを任せたぞ。ただし、足を引っ張るな」

 ナイトはそう言うと、帰ってしまった。どうやら俺は氷霧のパートナーとして認められたらしい。氷霧が俺の傍に駆け寄る。

 「じゃ、まずクエスト受けようか」

 「ネイチャーフォートレス、行く?」

 俺はクエストに行くことを提案した。そこで、氷霧はネイチャーフォートレスに誘ってきた。

 ネイチャーフォートレスとは、自然溢れる和風な惑星である。氷霧はそこの住人だ。

 「行こうか、ネイチャーフォートレスへ」

 俺はネイチャーフォートレス行きを快く引き受けた。正直、ネクロフィアダークネス以外の惑星は始めてだ。

 氷霧に連れられ、俺は宙港に向かった。それはしばらく歩くと見えた。

 プレイヤーマンションに設けられた宙港。まるで国際空港のロビーみたいな造りだが、惑星間を移動するのだから空港みたいで当たり前か。シャトルで移動するらしい。

 動く歩道に乗った俺と氷霧は、他愛のない会話をしていた。

 「本当は男なの?」

 「ああ、恐怖の性別逆転事故ってやつだ」


   @


 目の前は緑一色で、色を確認出来ない。出来て、目の前をちらつく前髪が黒いこと程度しか解らない。

 肌と肌が触れ合う感覚がある。どうやら胎児のような格好で緑色の液体が満たされたカプセルに、一糸纏わぬ姿で入れられているらしい。

 身体中に電極の様なものが貼られている。なにかデータを取られてるのだろう。カプセルの外では白衣を着た研究者達が何かを話していた。

 『調子はどうだ?』

 『間もなく、完成します。この計画はネクロフィアダークネスと蔑まれる我らが星の希望です』

 そんなぐぐもった声が耳に届いた。裸の背中に髪がサラサラと触れる。

 そこで意識は途切れた。


 ネイチャーフォートレス 国際宙港


 「墨炎、起きる」

 「ん……あ……?」

 氷霧に体を揺すられて、俺は目を覚ました。ネクロフィアダークネスからネイチャーフォートレスまでの宇宙の旅、その間に俺は寝てしまったらしい。

 外を見るとネクロフィアダークネスの夜空ではなく、自然溢れる和の景色だった。ほんの数分だっただろうが、シャトルの椅子は気持ち良すぎて寝れてしまうほどだった。

 「うーん。夢が見れるほどとは……」

 「なんの夢、見てたの?」

 「よく解んねぇ。なんか緑色の液体が入ったカプセルに詰められてた夢。しかも、詰められたのはアバターでだ」

 夢の内容を氷霧に聞かれたので、概要をかい摘まんで説明した。まあ、わけはわかるまい。

 「じゃあ、あれがそろそろ始まる」

 「何が始まるんだ?」

 しかし氷霧は、こんなわけのわからない夢の話で何かを掴んだようだ。

 俺は早速聞いてみた。プレイヤーとしては、氷霧は先輩だから何か知ってるかもしれない。

 「それは、お楽しみ」

 氷霧は自分の口に人差し指を当ててはぐらかした。その姿はなかなか可愛らしく、写真に撮りたいくらいだった。


   @


 「こういうのもなんだが、お前なかなかかわいいな」

 「貴女も、ね」

 氷霧と宙港なる施設をしゃべりながら歩いた。氷霧の身長は俺より高い。ちょっとうらやましい。

 宙港とは、惑星間を移動する乗り物、シャトルに乗るための施設だ。今俺と氷霧は、ネイチャーフォートレスの宙港にいる。

 「あ、そういえば性別逆転事故は? アバターの動きは大丈夫?」

 「ああ、少しぎくしゃくするけど大丈夫」

 氷霧は俺の性別逆転事故について触れてきた。元々アバターの運動能力が現実より上なのであまり気にならないが、時々動きががたつくのだ。そういえばシャトルに乗る前、氷霧に話していたっけ、本当の性別のこと。

 「運営に頼んでアバター変えてもらう? 男に」

 本当は墨炎のままがいいんだけど。氷霧はそう言った。戦力として換算するなら、確かに動きがいい方がよいのだが。

 「いや、俺もコイツは捨て難いんだ。なんか、昔想像してた架空の友達に似ててさ」

 「架空の、友達?」

 氷霧は首を傾げた。まあ、そんなこと言われれば当然か。

 「ならいいけど」

 「さ、クエストはどこへ行こうか」

 俺は氷霧を引き連れ、宙港を出た。

 次回予告


 ナイトを倒して氷霧をパートナーにした俺、墨炎。

 二人でクエストに出掛けたけど、変な声聞こえるわアバター動かせなくなるわでもう大変。

 しかも、追い撃ちをかけるように超巨大ドラゴン接近だと? 面白い、ナンセンスなくらいにな!

 その程度、俺が倒せぬとでも?

 次回、ドラゴンプラネット。『滅びの流星』。全てを滅ぼす流星が、今降り注ぐ!

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