表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンプラネット  作者: 級長
第三部
115/123

番外 節分の直江家

 今回は数値の話とか出てくるけど、それらは本編時点での話として捉えてくれ!

 2月2日 遊人の家


 節分の直江家、リビングのテーブルに愛花、遊人、真夏の三人がいた。

 「今年の恵方は南々東だってね」

 「またかよ……」

 直江家では今まで、恵方巻を食べる風習が無かった。だが、さすがにいろいろと悪いことが起きたので、とりあえずあやかろうという話になった。

 《関西のローカルな風習に目を付けた父が恵方巻を商品化したのです》

 「おいおい、親父が恵方巻の伝導師とはナンセンスだぜ」

 真夏の発言を流しながら、遊人は恵方巻を手にする。愛花と真夏も、恵方を向いて恵方巻を食べ始めた。普通に食べ進める二人に対し、遊人は後半辛そうだった。

 「食った。恵方巻がここまでの量だとは……」

 「インフィニティが大食い設定何処行ったんだよ」

 《お兄ちゃんは元より入院生活が長くてあまり大食いじゃないんです。それに、順さん曰く『観察眼アナライズ』はインフィニティでも最もエネルギー消費が少ない能力らしいです》

 妹の真夏がしっかり食べてるので、遊人の少食は中々のものであるが。インフィニティでも消耗が無いとエネルギーが必要にならず、大食いという体質改善が発生しない。脳波が外に干渉するインフィニティ能力は、本来外に出ない脳波を外に出すだけでエネルギーを浪費する。

 「次はこれだ。福豆。数え年の数だから、年齢に一つ足すんだな」

 そう言って愛花が出したのは袋に出した福豆。遊人は17、真夏は12、愛花は34つ取る。真夏が意外そうな表情を見せた。

 「真夏は姉ちゃんがもっと若いと思ってたようだな」

 「そういえばあたし、今年で33なんだよね」

 真夏はてっきり、愛花を20代後半だと思っていたみたいだ。正確な年齢を知らなかった模様。しかし本編では夏休みの登場で学校の描写も無いためが、真夏の年齢も曖昧だったりする。愛花は本編で33歳、真夏は11歳だ。愛花が遊人と出会ったのは8年前、愛花が25歳の時である。

 年齢はさておき、福豆をボリボリかじりながら遊人が呟く。

 「姉ちゃんと真夏って、多分互いに知らないこととかもっとありそうだな。今のうちに話しておくか」

 「そうだな。真夏って、趣味はなんだ? DPOしてるイメージしか無いから、それ以外の趣味とか、例えば好きなキャラクターだな。女の子ならサンリオとか好きだろ。あたしは違うけど」

 愛花の質問に対する答えを、真夏はホワイトボードに書いていく。

 《あれは明らかに私の年齢をターゲットにマーケティングされてるので、何と無く避けたくなります。私は仮面ライダーとか好きです》

 「ああ、凍空は経営者の血筋だもんな……。親父があれだけ優秀な経営者だと、なんか納得だ」

 「俺は知ってたがな」

 愛花は改めて真夏の趣味に驚く。本能がマーケティングの思惑に逆らうのだろうか。遊人はバトラーとして真夏に仕えた過去があるので、そうしたことは知っていた。

 「DPOの他に得意なことあるか? 教科とか」

 《デイトレード。得意教科は数学です》

 またも愛花の予想を上回る答えが返って来た。というか小学生が得意教科を数学と答える辺り、真夏が普通でないことがわかる。

 「数学が得意なのもデイトレードの影響だ。株価を計算したりとかするんで、計算が楽になるよう訓練したらしい。だから他の教科は一般レベルだ」

 《この前、理架さんと二次方程式について話しましたが、理架さんの方が一枚も二枚も上手です》

 真夏の数学が実用面に特化してるのに対し、理架が問題解決に特化したからこその突出だが、愛花は何も言わなかった。文系の愛花は数学が苦手だ。

 「ちなみにデイトレードの個人資産は……」

 《まだ100万です。かつての資産は今回の初期投資費用の1万を除いて、全て寄付して出直しました。その時の資産が1億です》

 愛花はしばらく固まる。なるほど、確かに株をする金持ちが下でコツコツ働く人間を見下したくなるか、その理由がわかる。出直したのが凍空崩壊と同時期、夏休み序盤の7月下旬だとしたら、一月で100万稼いだ計算になる。年収にすれば1200万近い。

 《ですが、動く額が大きくてあまり健全な稼ぎ方ではないと父は言ってました。私的にもこの資産は切り札です。将来は経営者じゃなくて店員がしたいです》

 「なるほど……」

 真夏はそれでも、この稼ぎ方が健全ではなく奥の手であると父から教えられていた。汗水垂らす労働を軽視しては、経営は勤まらないとの考えだ。

 愛花は真夏の父親、寒気の人物像を彼女を通して見ることが出来た。子は親を映す鏡、その鏡に姿を映すには若すぎたために、遊人とは『親子』ではなく『姉弟』として接した。

 だが、これからは凍空寒気の代わりに自分が真夏という鏡に姿を映す。その覚悟を決めて、愛花は真夏に笑みを向ける。

 「いろいろわかってよかったな。真夏についてもっとよく知らなきゃ、母親面できねぇだろ」

 《よろしくお願いします、お母さん》

 また一歩距離を縮めた二人を見て、遊人は若干の危機感を感じた。彼のインフィニティ能力が知りたくもないことを教えるのだ。

 (姉ちゃんに問題は無い。だが、真夏……)

 問題は真夏にあった。寒気に会ったことが無い愛花すら父親の面影を真夏に見るほどだ。真夏という鏡に映った寒気の残像は濃い。

 (姉ちゃんと真田記者、多分あのまま行けば結婚するぞ。理架は最近、なんかギクシャク俺に接するのを辞めて昔みたいに、俺を弟みたいに見てる。だけど真夏は……、あの状態で父親を迎えられるのか?)

 遊人は父親である寒気が真夏に与えた影響の強さを危惧していた。

 ドラペディア

 直江家

 遊人「俺は姉ちゃんの弟だから、真夏は正確にいえば妹じゃなくて姪になるな。姉ちゃんに婿が来たら、親父じゃなくて兄ちゃんになる。俺は姉ちゃんの両親の養子になっているんだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ