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ドラゴンプラネット  作者: 級長
第三部
107/123

番外 クリスマスの復讐鬼

 クリスマスの夜、愛する人を失ったアイツが復讐に目覚める……。行け! リア充は殲滅する!

 『DPOゲーム内映画「キラーサンタクロース」ポスターのコピーより』

 DPO ネクロフィアダークネス 永久の聖夜に酔いしれる恋人達の街


 DPOではクリスマス期間のみ、特別なフィールドを解放している。暗黒惑星ネクロフィアダークネスにあり、昼夜問わずホワイトクリスマスが楽しめる街だ。雪が降り積もり、DPOにまでリアルの関係を持ち込むリア充共が行き交った。

 「メリークルシミマス……」

 その中に、ポツンと座る人影。ベンチにずっと座ってるらしく、頭に雪が積もっていた。

 墨炎だ。流石に普段の格好ではない。ファー付きの茶色いダッフルコートを着込み、黒いタイツと同じくファーが付いたブーツを履いてる。

 「エディがいたらどんなクリスマスだっただろうな……」

 完全にお通夜モードの墨炎。そう、彼女は愛する恋人、ラディリスを夏に失ったばかり。ただフラれたなら忘れようもあるが、死に別れではどうにもならない。

 普段の気勢は消え、心なしかアホ毛もうなだれる。しかし墨炎は不意に立ち上がった。両手には愛用の剣『シロクロツインズ』が。

 「そういえばここ、上級フィールドだからデュエル申請無しでPKできるじゃん」

 「ぎゃああ!」

 早速前を通りかかったギンを切る。普段からメイとイチャイチャしてるので、恋人に死なれた墨炎は芽生えたばかりの『嫌悪感』なる感情をバリバリに感じていたところだ。

 「ギン! ちょっと墨炎!」

 「うるへーっ!」

 メイがそこに現れた。いきなりの凶行に憤るも、すぐに切り捨てられた。今宵の墨炎は止まらない。憎しみの扱いなら慣れているが、それ以外はからっきしという彼女。沸き上がる嫉妬心や悲しみは抑え切れない。

 「【リベレイション=ハーツ】」

 その証明か、リベレイション=ハーツで生み出される翼も赤一色ではない。様々な色が混ざり合い、さながら暗いマーブル模様となっていた。

 「よしいいぞ。これでリア充は全滅だ」

 そこへ級長も踊り出る。ショットガンを手にしており、道行くカップルの頭を飛ばす。凶悪だ、いくら自分がモテないからって、クリスマスの町を惨劇に染めることないじゃないかこのクソ外道。

 「【ライジングストライク】! 【シザーアドバンス】! 【スワローウイング】!」

 新たに習得した上位技でカップルを仕留める墨炎。いくつもの恋人達が真っ二つ、串刺しとなり、離れていた者も青い帯に裂かれる。まさにこの世の地獄。

 「ヒャッハー! リア充は消毒だぶっ!」

 火炎放射機でいろいろ焼いていた級長が、突然爆発する。何かミサイルが飛んできたらしい。墨炎もそこを向く。

 「級長が死んだ!」

 「この人でなしー!」

 思わずカップルがお約束の台詞を叫ぶ。某オレンジパーカーの少年、聖杯戦争の槍使いも顔負けの死にっぷりだ。

 「この世に悪の栄えた試し無し! 正義のサンタ、プロトタイプ参上!」

 「めりーくりすます」

 サンタの格好をしたプロトタイプとレジーヌが墨炎の前に立ち塞がる。どうやらバイトをしていた模様。ミサイルはレジーヌが撃ったに違いない。

 「おいコラオリジナル! こちとらノルマのケーキ売らなきゃ買い取りなんだよ! 郵便局の年賀状ハガキも真っ青な自爆営業だコンチクショー!」

 「おーリアルリアル」

 プロトタイプは墨炎のせいで客足が遠退いたので、それを止めに来たらしい。久しぶりに愛用の鎌も持ち出したが、どうやら手入れしてないらしく、錆びたり蜘蛛の巣が張ってたりする。

 「そして死ね! 【デス・ステップ】!」

 「誰が! 【ローリングソード】!」

 懐かしい技の二枚看板で激しく切り結ぶ二人。プロトタイプが高速移動で周りのリア充ごと墨炎を斬ろうとするが、墨炎は大車輪が如く縦に大回転して攻撃を防ぐ。リア充だけが切り裂かれる結果となった。

 「【クロスダイブ】!」

 「【バニッシュ】!」

 プロトタイプの動きが止まったところを狙って、墨炎が剣をクロスさせた踏み込み技で攻める。プロトタイプは消えるほどの速度で後退して回避する。

 「【マグナムアロー】」

 「【シロクロタイフ……げふっ!」

 懐かしい技を発動しかかった墨炎に何者かの矢がヒット。これも懐かしい技だ。10話、11話以降登場していない技が大量に出て来た。

 「メリークリスマス」

 「クリスマスパーティーするから呼びに来たんだけど……なんだこりゃ?」

 現れたのは氷霧とクイン。矢を放ったのは氷霧だった。周りはリア充の死体だらけでとてもクリスマスどころではない。

 「さ、行こう。惑星警衛士がクリスマスパーティーの準備をしていたんだ」

 クインは倒れた墨炎を担いで歩く。見事、矢が頭に当たった墨炎はクリティカルダウンで一撃死。この要素もご無沙汰である。

 確かに墨炎は恋人を亡くしたけど、まだ友人がいた。墨炎のクリスマスはこれからなのだった。

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