表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

act 2

「ねぇ、本当に辞めるつもりなの?」

落ち着いた声で、真剣に話を切り出したのは、この店、『姫嬢』の現No1の沙柚だった。

まだメイクをしてもらっている季菜より早く終わった様で、椅子を季菜の方に向けてジッと見つめている。

まだこの部屋には季菜と沙柚、そしてメイクさんだけだったが、季菜はシィ~と指を立て、また鏡の方へとむいた。


「ま、まだ決まってる訳じゃ……」

「だって、さっきの口ぶりじゃ、そんなニュアンスだったから……」

沙柚は拗ねた様に口を尖らせてみせた。

No2だった、とは言えど、20歳になったばかりの女の子であって、肌の艶も、若干季菜よりはある様にも見えた。

とは言えど、季菜の肌がどうこう言ってる訳ではなかった。季菜の肌の質は、元々質が良かったおかげもあって、

エステにかける時間も、最低限だった。


季菜はミディアムカットで、客からは20歳前だろう?なんてよく言われていたが、

沙柚も、巻き髪なんて、手入れが面倒くさい、なんて言うふざけた理由で珍しいショートカットだった。


キャバ嬢といえば、思い浮かべるのは長い髪を使ったヘアースタイルだったが、

この二人のヘアースタイルは、どちらかと言えば、シンプルなものだった。しかしその髪から見えるうなじや、耳、鎖骨が客にはたまらなかったらしい。

勿論、それだけでこの地位を築きあげる程、この世界は簡単ではない。

美貌は勿論、会話のテクニック……それらがバランスよくあってこそだった。


「辞めちゃっていいの?」

沙柚の再度の言葉に、季菜は思わず本音が漏れた。

「だって……分かってるよ。もう少しでアレも終わるし……。でも、でもね。私ちゃんと、ママになりたいの」

「ママ?!」

今の言葉が信じられないとでも言うように、キャバ嬢ではなく、素の顔で沙柚はつっこんだ。

「そうママ! だって、今の時代、女もバリバリ仕事して、それなりに地位だって築ける。

でも、どっかで結婚しちゃったら? 好きな人が出来ちゃったら? 好きな人の赤ちゃんだって、きっと欲しくなる。

でもその時私何歳? その子が生まれて、幼稚園行って……小学校上がって……参観日に行く私って何歳? 

そりゃ、バリバリ仕事してて、給料も男顔負けで、独身でも、全然楽しい人もいるかも知れない。

でも、でも私は、やっぱり結婚だってしたいし、子供だって欲しい。でも今まだ恋愛だってしてないんだよ?」


まくし立てる季菜に、沙柚は、ボー然と聞き入った。

いい終えた季菜は、沙柚に胸の内を話してしまったことで、気持ちが何となく楽になった気がして、自分が本当に悩んでいるんだと、改めて実感してしまった。

「でもさ、でも――――」

「おはようございま~す!」

沙柚の言葉を遮るように入ってきたのは、出勤してきた女の子達だった。

言いたい事を止められた形になった沙柚は、もぅ! と鼻息荒くした。季菜も、この話はお終いとでも言うように、メイクさんに、一度目配せをした。

すると、ほんの少し、微笑んだ後、静かに頷いたので、季菜はほっと胸を撫で下ろした。





……To Be Continued…


宜しかったら応援お願い致します ^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ