『星の涙』 その後
『シエラ・ストーム十週連続、銀河ミュージックビルボード、ワンツー』
いまもっとも熱いアーティストといえば歌姫シエラ・ストームだ。もともと「星の涙」で人気沸騰中だった彼女だが、国際宇宙会議センターでの奇跡の生還で話題をさらい、楽曲売上は他の追随を許さない勢いだ。しかも、生還直後に発表した「星の絆」が併せて大ヒット。今週で十週連続銀河ミュージックのビルボード一位と二位にランクインしたのだ。ところでこの新曲「星の絆」だが、シエラ嬢はどこかのふたりに捧げると宣言した。はたしてそれがどこのなのかがいま話題になっている。噂では、某国の女王陛下ではないかという説もちらほら。しかも、歌詞の内容から考えると、シエラ嬢はそのお相手にハートマークなのかも? これからも、歌姫シエラ・ストームから目がはなせない!〈銀河ミュージックニュース〉
『ESA大統領選、現職のジョージ・マテイトス氏苦戦』
任期満了に伴う、ESA(拡大星系アメリカ)の大統領選挙がスタートした。現職のジョージ・マテイトス氏と保守派の新人クリアス・ネメット氏の一騎打ちだが、マテイトス氏が苦戦している。惑星ネオ・ニューヨークを中心に、都市部に絶対的な基盤をもっているマテイトス氏だが、先の〈星系代表者会議〉の失敗が尾をひいている形だ。氏は、ESA重工業組合から多額の違法献金を受けていたとの噂があるうえに、国際宇宙会議センターの事故を意図的におこしたのではないかとの噂も相まって、支持者が離れてしまっているのだ。予備選挙を経て、最終的な選挙は一年後だが、それまでに支持を回復することができるかどうか、現職大統領が正念場を迎えている。〈ESAビジネスニュース〉
『デトナ星系政府とESAの黒い癒着』
惑星ポルキアを震撼させたコンテナ事件から半月。本紙は、デトナ星系政府とESA政府の癒着にメスを入れたい。そもそも、デトナ星系の大半の権利を持つデトナグループはデトナ精密工業社を筆頭としたグループだが、昨今は重工業部門にも力を入れはじめていた。その矢先の今回の騒ぎ。本紙が入手した情報によれば、デトナ星系政府は、偽装テロの標的として惑星ポルキアを差し出すのと引き替えに、〈星系連合軍〉結成のあかつきには、かなりの額の工業受注を受けることになっていたようなのだ。結果的には企みは失敗した訳だが、人々の生活を危険にさらすような両星系政府のやり方は、決して許されるものではない。本紙は両星系政府を強く非難するとともに、今後も継続して取材を続けていく予定である。〈デトナ星系日報〉
『国際宇宙会議センター改修 遺体発見騒ぎも』
先月〈星系代表者会議〉が行われた国際宇宙会議センターだが、大会議場の大型モニタが落下するなどの事故があったことを受けて、この度大改装を施すことが決まった。同センターは、当初の建築計画がずさんで、幾つかの無用な通路や設備が存在していることで知られている。それらは行政の怠慢で放置されてきたが、今回、ようやく改修されることになった。政府の関係者によると、特に事故のあった大会議場については設計を大幅に見直すとのことで、完成は三年後の八月になる見通しだ。なお、今回の改装に伴う現地の視察に置いて、大会議場演壇下で女性の遺体が見つかるという騒ぎがあった。これは、演壇中央にある奈落と呼ばれる昇降装置の下にあったもので、なんらかの理由でそこから落ちて絶命したものと思われる。しかし、この装置も無用の装置の代表格で、センターは落成以来使ったことがないとしており、どのような経緯でここに落ちたのかは謎のままである。警察は、現在女性の身元の確認を急いでいる。〈銀河通信速報〉
『デトナグループ 惑星ペルキスの開発断念』
デトナ星系の五つの有人惑星の権利をもつデトナグループは(星系内の有人惑星は六つ)、グループが保有する六つめの有人惑星とするべく惑星ペルキスを開発する予定だったが、今回、その計画を中止する旨発表した。惑星ペルキスは惑星ポルキスと同一公転軌道上をまわる珍しい星で、太陽からの距離も丁度良く、開発には適しているとされていた。デトナグループは、計画中止の理由を資金の問題としている。〈惑星世界経済ネット速報〉
『謎の長距離砲』
惑星ポルキアを巡る騒動は記憶に新しいと思う。発送座標の間違いにより、公転軌道の反対側にある惑星ペルキス宛てのコンテナが、惑星ポルキアに打ち込まれそうになった事件だ。結局、惑星ポルキアに出入りする輸送業者の小型船がコンテナを回収したのだが、その回収におけるとある出来事があまり報道されていない。このコンテナの回収にあたっては、所属不明の宇宙船が邪魔をしていたという情報があった。結局これは回収の障害にはならなかった、というのが公式発表だが、実はそうではなかったという話なのだ。なんと、謎の宇宙船二隻が、コンテナ回収に赴いた二隻の小型輸送船に体当たりを仕掛けてきたという。そして、万事休すかと思われた瞬間、どこからともなく、長距離砲のようなものが謎の宇宙船に打ち込まれたというのだ。もちろん、宇宙船二隻は大破した。しかし、この件を取材しようとすると、関係者のだれもが口をつぐんでしまう。いったい、真相はどこにあるのか? さらなる陰謀が隠されて
いたりはしないのか? 続報を待って欲しい。〈銀河大衆報道〉
『報告書』部外秘
星歴460年 ESA歴460年 2月3日
ESA特殊部隊 第4605581 号
作戦名:星の涙作戦(1)
期 間:460年1月25日
場 所:国際宇宙会議センター
従事者:フェイン・カルガラン特殊工作員
内 容:偽名「ロゼ・ファルディ」を使い、VのSに接近、状況開始とともにSを牽制。Kの行動を補佐。後に捕縛される。
経 過:20:00 Sに接近 成功
20:37 Sを牽制 成功
20:45 Sと格闘の上捕縛される 成功
備 考:本作戦は成功と、状況全体の失敗は関連性が薄いと判断する。 以上
《星の涙 了》
エピソード『星の涙』はこれにて終了です。おつきあいありがとうございました。




